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      オプション取引 Q&A(上)    
―おくればせの事はじめ―
柳 沢 逸 司
(19)オプションは競馬や宝くじとどこが違うか?

−Q− 偶然の結果を期待して、適当にコールやプットを買って待っている、というのはギャンブルなのかな、という気もしますが、この点はどうでしょうか。
−A− オプションは、これから先物相場がどのくらい上がるか下がるか、あるいは動かないかを予測してそれをプレミアムという数値に示しているのです。
 よく先物もオプションもギャンブルだ、と言われることがありますが、どっちも予想(スペキュレーション)に基づきますから、そういう要素もないことはないでしょうが、これらを一概にギャンブルだというのは正しくないと思います。オプションは組合わせや戦略があって、ゲーム性が一段と高いですから、アメリカでもギャンブルではないかと思われたことがあるようです。
 しかし、そういう考え方は、リスク・マネージメントということを理解していなかった議論だと思われます。馬が勝手に走っているのは競馬とは言いません。宝くじは番号を人為的に決めなければ当たりも外れもないわけです。つまり人為的にゲームを仕組んであるのです。考えてみけば結婚も、職業の選択も、企業も、ある程度、スペキュレーションなんですね。少なくともそういう要素はあるんでいね。
 先物もオプションも、価格変動というリスクを対象としているのです。価格変動は、自由な市場経済では必ず存在する自然現象みたいなものです。最近は、為替もひんぱんに動いています。為替が動けば、大豆や粗糖やコーンのような国際商品の価格は、需給に関係なくても動きます。円高になれば商品相場は下がりますし、円安になれば商品相場は上がります。大豆も粗糖もコーンも農産物で、自然現象によって需給が変わりますから、農産物価格は当然動きます。この価格変動というリスクをヘッジしたり移転したりする市場が先物市場であり、オプション市場なのです。とくにオプション市場は「リスクを商品化」したものです。

−Q− リスクの商品化とは、うまい工夫ですね。
−A− ええ、実にすばらしい現代アメリカ人の知恵だと思います。オプションは「リスクを商品化」したものです。マイロン・ショールズ先生たちは、リスクを流通させるにあたって、どのくらいのプレミアムをつけるのが適当かを理論的に究明して、方程式を発見した。そうしたら、これは商取引に使える、これで市場ができると考えた人が現われた。そして、巨大なデリバティブ市場を作り上げたのです。
 オプション市場はリスクの移転市場で、当然、先物や現物のヘッジ市場としても機能するのです。市場が出来ると、今度は、新聞や雑誌やテレビやインターネットで市場情報を何百人という人々が取り扱うようになって、現代の一大産業になったのです。
 オプションは現代人のニーズに合った商品です。昔からの先物も、現在なお重要な役割を果たしています。リスクだけを分離して、それにプレミアムをつけて流通させるというオプション取引の多様性、選択性、安全性も高いことを考えると、より現代にマッチしているのは、オプション取引の方だと思います。これらの特徴を持つオプション取引を使って、アメリカの農家のような、いままで先物市場に参加しなかったような層にまで、委託者を拡大し、先物市場のパイを大きく出来たのも、オプション取引の現代的(トレンディ)な面を示していると思います。

続く

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