(16)オプションは、どうなったら利益が出るの?
- −Q− オプション取引で利益が出るのは?
- −A− オプション取引も、先物と同じように、プレミアムが安くなりそうなオプションを売って、あとで買い戻す、高くなれそうなオプションを買って、あとで転売するということです。オプション取引はオプションの転売、買い戻しを通じてプレミアムの差額を利益にするのです。例えば粗糖の権利行使価格25,000円のコールをプレミアム1,000円(粗糖は1枚50トンだから50,000円)で買って、その後、このコールのプレミアムが1,500円(1枚75,000円)に上がったとします。そのとき、このコールを売れば500円(1枚25,000円)の利益になります。こういう仕組みは先物の買いで、相場が上がったら利益になるのと同じです。コールもプットも、それぞれ価格(プレミアム)がついていますから、プレミアムの安いときに買って、高いときに売って利益を得るのです。
- なぜオプションのプレミアムが高くなったり、低くなったりするかというと、それは基本的には原市場の先物相場が上がったり下がったりするからです。これをボラティリティ(価格変動率)といいます。つまりボラティリティが高いときは、プレミアムも高いのです。兎と亀の例で言いますと、ボラティリティが高いというのは、亀がゴールに到達する前に、兎が跳ね起きる可能性が高いということです。
- オプション取引は、前に申しましたように、価格変動リスクにプレミアムをつけて市場で流通させる、「リスクの取引」とも言えるのです。いわば価格変動リスクが、プレミアムつきで一人歩きをし出したのです。この場合、リスクとは、価格変動のことですから、一人歩きしているリスクそのものが変動するのです。オプションを買うということは、プレミアムをつけてリスクを移転してしまうことです。いま貴方がプットかコールのオプションを買
- って、私が売ったとします。菊地さんがオプションを買ったのは、私にリスクを移転したことで、貴方はその時点で権利しか持っていないのです。です
- から、その権利を忘れてしまおうと、行使しようと、貴方の自由です。私はオプションを売って、リスクを引き受けたのですから、義務を負っています。それと引き換えにプレミアムをもらっているのです。(6)参照
- −Q− プレミアムの動きで利益になる?
- −A− そうです。例えばプレミアム1,000円(粗糖なら1枚50,000円)で貴方が買います。貴方は1,000円(1枚50,000円)支払って市場に参加しています。その後、何もせず、時間だけが経って、プレミアムが800円(1枚40,000円)に下がって行くと、その時点では、オプションを売った私の方が200円(1枚10,000円)の利益です。しかし、ボラティリティが上がって、プレミアムが1,500円(1枚75,000円)に上がったとき、貴方が買ったオプションを市場で転売したとします。必ずしも私が買い戻すとは限りませんが、貴方はプレミアムの差額の500円(1枚25,000円)の利益を得るのです。
- −Q− プレミアムの幅は、原市場の先物の委託手数料に比べて、3―5倍くらいに当たりますか。感覚的に「プレミアムというのは割高で大変かな?」と思うのですが、いかがでしょうか。
- −A− プレミアムはかなり変動します。ここに97年5月の理事会に配った資料がここにありますが、例えば、4月の大豆の相場は非常に動きました。4月1日に権利行使価格45,000円のプットのプレミアムは1,340円です。大豆は1枚30トンですから、30倍しますと、40,000円ですね。大豆の先物の当初証拠金の半分くらいでしょうか。このプレミアムが4月21日には、3,350円になっています。30倍しますと、100,000円強ですね。3週間で、2.5倍になっています。この例からすると、プレミアムの動く幅としては、かなり大幅と言えるでしょう。
- −Q− プットの売手は、リスクを負ってスタートしているわけでから、こういう状況を黙って見ているのでは馬鹿みたいな話です。大急ぎで何とかカバーするのが当たり前なんでしょうね。
- −A− そうです。黙って手を拱いて見ていたら、みすみす大損をしますから、必ず先物にヘッジする(つまり大豆の先物を買う)か、期限まで待っていないでそのプットを買い戻すか、手を打つわけです。
- −Q− そうしますと、柳沢さんと私しかいないオプション市場というのは、身動きができなくて駄目でしょうね。
- −A− そうです。買手と売手と2人しかいない市場では駄目ですね。それが市場の厚みという問題で、流動性が十分なければ市場として機能しません。買手も売手も、何百人、何千人と市場に入って、しかも、いろんな見方をする人々でないと、つまり当業者だけでなく、リスク・テイカーとしてのスペキュレーターがたくさん入るような市場でないといけません。でないと、オプションを転売しようにも買い戻そうにも、相手がいないということになります。一方的な見方しかしない人が大勢いても、それは2人だけの市場と変わらないでしょう。つまりスペキュレーターがたくさん入ってくる市場が健全な市場といえます。これから相場が上がるだろうと思う人や、いや下がるだろうと思う人や、いろんな人が入ってくるのが良い市場でしょう。
続く
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