(7)アメリカでの大衆化は成功したか?
- −Q− アメリカではどうなっているか、という点をお聞かせください。
- −A− 2、3年前にアメリカに行ったとき、アメリカでは全家庭の10パーセントくらいの人々が、オプションの経験があると聞いて驚きました。もし本当ですと、その数の膨大なことと普及の度合いの大きさは相当なもので、驚くほど大衆化したものだと思います。
- アメリカでは、農産物やエネルギーだけでなく、株式や金利や債権にもオプションが導入されていますし、シカゴには、株式などのオプションだけの取引所(CBOE)もあって、出来高は世界のベスト5に入るくらいの大市場に成長しています。
- アメリカでは、オプション出来高が96年には先物オプションが1億200万枚、株式オプションが2億9,400万枚、97年には先物オプションが1億1,100万枚、株式オプションが3億5,000万枚に増えています。
- アメリカでも、オプションが出るまでは、商品先物は一般に怖いというイメージがあったようですが、オプションの出現で、初めて先物に出会ったという人々が沢山いるようです。その意味で、オプション取引は「先物の救世主」と言っても過言ではないと思います。
- もともと先物市場の事情がアメリカと日本では非常に異なっています。アメリカでは、オプションが出て来るまでは、大衆の先物参加が日本に比べて非常に少なかったようです。オプションの登場で、一挙に大衆にまで市場参加者が拡大したようです。もっとも、いまでも古い世代はオプションをやらず、若い世代がやっているという世代ギャップはあるようです。日本ではオプションの出現以前から、かなり大衆化していますから、オプションを先物の顧客層を拡大する絶好なツールとする考え方は、欧米に比べて少ないかもしれません。しかし、アメリカでは、オプションなしでは先物の発展は考えられないとされています。日本でも、先物のイメージを変えられるのはオプションでしょう。
- −Q− アメリカの大衆があまり参加しなかった理由は何でしょう?
- −A− やはりアメリカでも、一般的には、先物取引は危険だと思われていたことが背景にあったのだと思います。先物は、買っても売っても不測のリスクがあって、追証を払わなくてはいけないとか、損失が限定されていないとか、先物は、結局は資金力の大きい者が勝つのではないかという見方が一般的だったようです。
- それがオプションが再開されて、事情が一変したようです。実験実施(パイロット・プログラム)とはいっても、アメリカ農務省が補助金まで出して、コーンや小麦の生産農家にプットを買うように勧めたことも、オプションの普及に役立ったと思います。政府の価格政策の一環として、税金を使っても、それまで何も知らなかったオプションを農家にまで奨めていること自体、様変わりと言えます。オプションは、価格変動というリスクをマネージするツールとして、有効で効率的だということを、政府が認め、いわばお墨付きを与えたということでしょう。
- オプションを大衆に奨めてもいい理由としては、オプションの買いは、コストが限定されていること、当初支払うプレミアムが最大のコストであること、つまり追証がないこと、その範囲があらかじめ分かっていることは、オプション市場がファンド資金の運用の場としても適しているとみなされたことだと思います。これからファンド資金の運用の場としても、オプションは先物市場になくてはならない「車の両輪」になったのです。
- −Q− 東京の穀物、粗糖オプション市場にファンドを吸収することが可能でしょうか?
- −A− 東穀市場への海外玉は、95年8万枚だったのが、96年は57万枚、97年は100万枚を超えました。いままでは国際的に東穀取の市場情報が少ないと言われていましたが、95年末からインターネットで市場情報をグローバルに発信し始めてから、ようやく東穀市場にも世界の人々の目が向けられるようになりました。東穀取のホームページへのアクセス件数は、96年が100万件を97年は320万件、99年は700万件を超えました。増加率からいいますと、とくにタイ、マレーシア、インドネシアなどの国々からのアクセスが急増しています。東穀取の市場情報が海外にも開示され、知れ渡って行けば行くほど、まだまだ海外玉も増えるような気がします。東穀への注文は、台湾や香港などのアジアばかりでなく、イギリスやアメリカからの注文の方が多いときもあるのは注目すべきです。
- −Q− それは先物の話ですね。
- −A− いえ、東穀取のオプション市場にも、数百枚ですが、イギリスやアメリカから入ったことがあります。しかし、これらの会社は、東穀取のオプション市場に入って、同時にそれを先物市場にヘッジしようとして、オプション取引がザラバで、先物取引が節商いであることに、ちょっと戸惑いを感じたらしく、2、3カ月でやめてしまったようです。
- アメリカでは先物のピットとオプションのピットが隣り合わせに並んでいて、先物市場の人たちが、後向きにオプションのピットの端に立って、後耳で聞きながら、オープン・アウトクライし、反対にオプション市場の人たちが、先物のピットの端に後向きに立って、叫んでいるのです。この光景は、まさに「車の両輪」ですね。
- −Q− 海外からの注文は、オムニバス・アカウントで、手数料を安くしていますね。
- −A− 海外玉の手数料は、ファンド玉の手数料と同じで、上限方式で自由化されているのです。東穀取のオプション取引は、いわゆるグローバル・スタンダードに近い国際共通性があると思いますから、もっと活用されるようになると思います。
- −Q− 台湾市場では日本勢が過当競争になって大変だったとか…。
- −A− 何事もあまり無理な競争をし過ぎると、共倒れになる危険性はあると思います。取引には何でも、一定のコストはかかるものだということを、市場参加者全員が認識することが大切だと思います。手数料も、取引のコストです。競馬にしても宝くじにしても、馬券や宝くじを買わなければ決して当たりません。取引に一定のコストがかかるのは当たり前でしょう。
続く
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