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   オプション取引 Q&A(上)   
―おくればせの事はじめ―
柳 沢 逸 司
(5)できれば安全に儲けたい

−Q− 安全に儲けたい、という願望は、虫のいい話かもしれませんが、極端な投機ではない相場のアクションをしたい人々が多いと思うのです。私なども、そのひとりですが、「ハイリスクは御免だが、リターンは多いほど良い…」といつも考えています。こういうニーズにオプション取引は合っているかもしれませんね。
−A− そうです。先物がハイリスクだといわれるのは、先物には買手にも売手にも不測のリスクが内在していて、当初の証拠金のほかに、追証拠金が必要となることがあるからです。その点、オプションの買いは、追証の心配が一切ありません。ですから、不測の損害を受けたくないとか、一定のコストで終了したいという人には、オプションは向いていると言えます。プレミアムを失う覚悟さえあれば、安心して利益を追求できるのです。
 この世の中「虎穴に入らずんば虎児を得ず」で、懐手をして、ただ利益だけ得られる取引はないと思いますね。リターンを望むのでしたら、コストをかけるかリスクを取るかしなければならないはずです。
 オプションの買いは、先物と違って不測のリスクはなく、最大のリスクは当初支払ったプレミアムに限られます。どんなに相場が動いても、あとで追証の心配はありません。この追証がないという点が、オプションの買手の最大の特徴です。プレミアムをコストと考えれば、あとは利益を追求するだけという意味では、オプションは安全に儲けたいという人向きといえるでしょう。

−Q− しかし、私が希代の相場下手で、プレミアムばかり払い続ける人ならば、結構、損をするということですね。
−A− 絶対に価値が上がりそうもないオプションばかり買うとか、本来の価値よりも物凄く高いプレミアムを支払うかすれば、お金を失うことになるでしょう。しかし、オプションを買えば、先物相場を見たり、産地の天候や為替の変動に目を向けるでしょうから、そういう楽しみを買ったと思えば無価値ではない。競馬にたとえれば、絶対に上位に来そうもない馬を買うのと同じで、おそらく馬券も安いでしょうから、それも競馬を楽しむためのコストと言えなくもありません。

−Q− 儲けを保証する方法はないが、リスクはシステム的に限定されるから、心配はないというところがミソですね。
−A− そうです。オプションの買手の最大リスクは当初のプレミアムに限定されるのですが、期限が来て、初めに支払ったプレミアムまで返せという人は、市場に参加する資格のない人です。馬券を買わずに競馬で当てることはできませんが、外れたから馬券代を返せというような人は、競馬に足を踏み入れる資格のない人です。

−Q− それは話になりませんね。オプション取引でも、名人芸みたいなことはあるでしょうか。上手な大工が見事に板を削るように、うまいオプション・トレーダーが手際よくしあげる、ということがありますか?
−A− 先日、ある本を読んでいましたら、「先物は個人ビジネスの極致」だと書いてありました。オプションも、いわばプレミアムの動向を予想するわけですから、天才的に上手な人と下手な人はあると思います。ファンドの運用なども、そうかもしれませんね。しかし、ことのほか下手な人でも、オプションの買いではリスクが限定されています。また、オプションでは、いろんな組合わせができますが、いまの相場動向で、どういう組合わせが最適か選ぶのも、一種の天性かもしれませんね。
 オプション取引はアメリカで再開されたのが、20年くらい前になりますが、日本でも、商品先物のオプションが始められたのは5、6年くらい前です。アメリカでは先物だけでは裸で外を歩いているようなもので不用心だといわれます。オプションをプロテクターにするという手法は、アメリカでは近年ずいぶん開発されて来ました。
 オプションは先物の派生商品ですが、先物が現物取引から独立してスペキュレーションの対象となったいるように、オプションも、原市場の先物に影響はされても、オプション市場だけでの取引が行なわれるようになっています。
 いま貴方がオプションを買ったとします。例えば、貴方がプレミアム1,000円(大豆なら1枚30トンですから、1枚30,000円)のオプションを買って、そのオプションのプレミアムが上がれば、貴方は直ぐに転売して利食うこともできますし、オプション市場では相手がいないというときは、権利行使して、先物に移行してもいいのです。貴方にオプションを売った人は、貴方がいつごろ権利行使して来るか予想を立てます。貴方が合理的な行動をとる人であれば、大体予想できますから、先物で用意しておくわけです。オプションでは、買手は権利を行使してもしなくてもいいのですが、売手は買手の権利行使は必ず受けなければならない義務があるからです。

−Q− 数量的にどのくらい来そうだという予測はつきますか?
−A− ええ、オプションの買手が合理的な行動をとる人であれば、損をしてまで権利行使しません。つまり相場が動いて、権利行使して利益が出るときだけ行使します。例えば、権利行使価格30,000円のプット・オプションを持っている人は、先物相場が32,000円のとき、権利行使したら損ですから、権利行使しません。先物相場が2万8千円に下がれば、権利行使したら益が出ますから、プットの買手にはチャンス到来です。このオプションの売手は先物ポジションを用意しておきます。

−Q− プラス勘定の総枚数は分かるわけですね。その範囲で渡すべきポジションを用意すればいいわけですか。
−A− ええ、自分の売った枚数は分かっています。

−Q− うっかり失念したり、横着を決め込んでいたりしてはいけないわけですね。しかし、原市場の先物が予想外の急落が起こった場合は慌てますね。
−A− オプションの買手は忘れてもいいですが、売手はポジション管理が大切です。オプションの売手は、市場をよく見ていて、買手が行使してくる度合いに応じて、ヘッジする先物を増やしたり減らしたりします。それがオプション取引で「デルタ・ヘッジ」といわれるものです。
【(22)、(32)参照)】

続く

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