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(2019/11/12 2964 掲載)

 SBIグループの戦略・上
「ネオ証券化へのステップ
証券事業の連結利益比率が30%以下に

 ソフトバンクグループが7〜9月期の連結決算(国際会計基準=IFRS)で7,000億
円の最終赤字を出した。ファンドヘの投資で1兆円の損失が発生したことが主な要因だという。孫正義会長兼社長は「投資の判断がまずかった」と記者会見で語ったが、その孫氏から5,000万円の出資を受けて創業したSBIホールディングスの北尾吉孝社長も次々と内外の企業に投資をしている。だが「企業買収に関して、孫さんはレイトステージで買うが、SBIはアーリーの段階で買っている」と手法の違いを述べている。今回からネット証券最大手のSBI証券を有するSBIクかループの現状を特集する。

 10月30日に発表したSBIホールディングスの2020年(令和2)3月期第2四半期決算概要によると、上半期の売上高は1,921億4,700万円(前年同期比8.7%増)となった。だが、税引前営業利益が480億4,900万円(同11.3%減)、親会社所有者に帰属する四半期純利茶は278億9,000万円(同17.0%減)となった。

 まず会見で北尾氏が強調したのは「証券事業がSBIの連結利益に占める割合は30ェ%に低下しており、証券会社の範疇で捉えられない企業グル−プとなった」ことである。つまり従前のような証券会社間の決算比較は意味がないとする指摘で、グループ同士で総括的に比較すべきだとの考えを述べている。

 下記表ではSBIと野村ホールディングス(米国会計基準)、大和証券グループ本社(日本会計基準)を比較しているが、それぞれ会計基準が異なる上に、利益の記載法も違うため比較には注意が必要になる(表はSBIの資料から作成)。

 SBIの特徴としては、証券事業の利益比率が減ったことで、株式市況の変動に左石されにくい収益基盤への転換が促進していることである。

 実際、セグメント別の税引前利益では金融サービス事業が262億7,400万円(同23.7%減)、アセットマネジメント事業が354億5,500万円(同19.1%増)、バイオ関連事業が61億7,500万円の赤字となり、会計基準でIFRSを導入後初めてアセッ
トが金融を上回った。

 一方で証券事業も従来通り主力事業に据え、「ネオ証券化」という北尾氏の造語をもとに改革を進める方針だ。


(以下、次回通常号へ続く)


中国金融市場の形成とその発展・追記@
ドルペッグ制離脱以降、介入強める中国政府

 2005年7月21日、中国政府は人民元の為替レートについて従来のドルペック制をや
め、複数通貨からなるバスケットレートを参照して決定すると発表した。同時に元の為替レートを1ドル8.28元から8.11元へと2.1%切り上げた。

 以後08年末までに元のレートは17〜20%引き上げられた。だが06年、07年は微調整に留まり、07年11月時点の為替レートの過小評価割合は26%と試算された。このため中国の経常収支の黒字は改善されず、多額の外貨準備金が積み上がった。その後07年末から08年にかけて実効為替レー卜の引き上げペースは加速していった。

 世界の貿易に関し中国が占める割合は、1979年には1%未満だったが30年後の09年には世界3位にまで上り詰めた。この間、01年には世界貿易機構(WTO)への加入を果たしており、世界の関心は中国における貿易制度の形成と、WTO協定を遵守するかどうかに注がれていた。加えて中国の為替政策にも世界各国が高い関心を寄せるようになり、05年の政策転換以降レートの動向から推察される中国政府の恣意的操作に対しても批判の声が高まった。

 ドルペッグ制から離脱したことで為替レートの上昇を容認した形の中国政府だったが、過度の変動を抑制するため介入額は増え続けた。人民銀行は流動性を吸収するため預金準備率の引き上げや、公開市市場操作の手段に加え、98年に廃止た貸付枠管理も復活させ銀行や地方政府への指導で直接的なコントロールを行うようになっていた。

 一方、金利操作については為替相場の安定化を第一義に据えたことで米中の金利差が縮小あるいは逆転した場合、過度な投機資金の流入を招くことが懸念されるため引き上げの余地は限られていた。流動制を調整する手段は限られ、03年以降のマネーサプライが名目GDPの1.6%と国際的な観点でも高水準で横ばいに推移していることからも、政策効果は極めて限定的であった。
(以下、再来週通常号へ続く)

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 編集発行人:村尾 和俊
(2019/11/12 2964 掲載)