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電力先物新規上場、初日44枚
立会外取引も20枚、OTCクリアリングのニーズも

 東京商品取引所は9月17日、電力先物取引を新規上場した。取引開始時刻の8時45分には取引所で打鐘式が行われ、民放の中継カメラなど多数のマスコミで賑わった。初日の出来高は44枚で、うち立会外取引が20枚あった(濱田隆道社長のコメントを下に掲載)。電力先物は東日本と西日本でエリアを区切り、それぞれ需要の多い時間帯を対象とする「日中ロード電力」と、1日分を丸こと取引する「ベースロード電力」の計4種類が取引対象となる。なお同日はロイヤルパークホテルで上場記念パーティーが開催され、関係者およそ200人が参加した。



 電力先物は2014年、電気事業法等の一部を改正する法律による商品先物取引法の改正により、無体物の上場を可能としたことで本格的に検討が始まった。翌2015年3月から経産省主導で電力先物市場協議会が開催され、5回会合を行った後7月に報告書を取りまとめている。

 取引所サイドも2016年6月から東商取が電力先物の模擬売買を開始し、2017年12月から再度経産省主導で電力先物市場の在り方に関する検討会が4回開催されてきた。同会議も2018年4月に報告書を取りまとめ、今年3月に試験上場を認可申請し、8月に認可を取得、今月17日にようやく取引開始に至った経緯がある。

 17日の取引開始後はロイヤルパークホテルで上場記念パーティーが開催され、経産省の藤木俊光商務・サービス審議官はエネルギーの安定供給を「重い課題」とし、電力先物市場の発展に期待を寄せた。日本商品先物振興協会の多々良實夫会長は、挨拶で電力先物で」一般委託者が除外されている点に苦言を呈し、規制の排除を
求めた。

 本日、当社は電力先物取引を開始することができました。これもひとえに、関係機関、取引参加者及び電気事業者等の皆様のご協力、ご支援の賜物であると深く感謝申し上げます。先行する海外の電力先物市場を見ても、電力先物市場の活性化には一定の期間を要している訳ですが、当社といたしましては、当初は小さなマーケットであったとしても、当社の電力先物市場は、健全に育成すれば、必ずや大きく育つものと信じております。

 特筆すべきは、取引開始直前に東エリアのベースロードの2019年10月限で20枚立会外取引が成立しました。当該立会外取引は海外の複数の社により成立したもので、これは日本の電力先物市場に対する海外トレーダーの関心の高さを裏付けるものであり、欧米の電力先物市場において普及するOTCクリアリングに対するニーズの高さを確認できました。

 欧米の電力先物市場では、OTCで成立した取引を、ブロック取引によって取引所の建玉に付け替えて信用リスクを補完する「OTCクリアリング」が活発に行われており、当社において初日から複数の社によって立会外取引が行われたことは、我が国においてもOTCクリアリングのニーズが潜在的に強いものと考えています。

 最後に、当社は、電力先物市場が電力スポット市場の価格指標として、また価格変動リスクのヘッジ手段として、我が国の電気業界の健全な発展に寄与できるよう、当社の総力を挙げて市場運営を行ってまいる所存です。




 
流動性向上には、まず商先業者の経営安定化を

 FIAジャパンの総合取セミナーでは6人の有識者によるパネルディスカッションが行われたが、そこでパネラーから規模の小さいブローカー、つまり大手を除く大半の商先業者の一時的なコスト負担に対する懸念が示された。

 たしかに総合取では商先業者への救済措置として、大阪取の中にコモディティー専用の資格を新設するなど、スムーズな移管を目指すサポート体制もある。証券会社に比べて財務基盤が弱い商先業者に、証券資格の取得を強要したら大半が脱落して市場から撤退するか、取次業者になるしか道はなくなる。

 しかしいくら救済措置を講じてもらったところで多少のシステムコストは避けられない。JPX側は今回、移行に伴って発生する資格審査料など取引所関係の費用はすべて免除することにしている。

 電力先物市場がとうとうスタートしたが、先物協会の多々良實夫会長が指摘するように、一般委託者の参入が除外されているため、電力が商先業者の利益に貢献する状況は、当面考え辛い。規制を排除したからといって即座に個人投資家が電力先物に集まる状況もなかなか想像しにくいが、商先業者も本当にカツカツの状況で何とか経営を維持しているところが多い。

 商品先物の流動性向上を目指すのであれば、まずは商先業者の経営を安定させなければならない。 


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 編集発行人:村尾 和俊
(2019/9/24 2954 掲載)