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本上場へのラストチャンス、まずは株式会社化
【コメ先物市場本上場への道】No.29
 4度目の試験上場延長、崖っぷちで踏みとどまる 

 農林水産省は8月7日、大阪堂島商品取引所が申請していたコメ先物市場の試験上場延長を認可した。これにより2021年(令和3)8月まで2年間試験上場が延長された。コメ先物は2011年(平成23)8月に試験上場が認められ、以後2年ごとに試験上場の延長措置を繰り返して現在に至る。今回4度目の試験上場延長は異例の措置で、自民党が5日に開いた農林部会でも「試験上場は今回で最後」との見解でまとまっている。堂島取が2年以内に本上場できなければ、コメ先物市場は廃止となる公算が高い。今回の試験上場延長を受け、堂島取の岡本安明理事長はコメント(下段に掲載)を発表したが、本上場が認められなかったのは「十分な取引量が見込まれず本上場の基準に適合しない」ためだった。言い換えれば取引量さえ増えれば本上場は可能であり、堂島取はこの2年で周囲を納得させられるだけの出来高増を実現させなければいけない。株式会社化など含め課題は多いが、すべてが時間との闘いになる。

 上場廃止という最悪の結果は何とか免れたが、悲願のコメ先物本上場はまたも持ち越しとなった。まず本上場申請し、試験上場申請に切り替えるという流れは前回と同じだったが、農水省は取引量が足りないという。

 確かにこの2年間について、出来高不足を指摘されると認めざるを得ない。だが新潟を中心にコメ生産農家の参加は着実に増えており、先物市場の必要性に理解を示す声も徐々にではあるが高まっている。

 また商品先物市場全体が低迷から脱却できず、農産物市場が年々縮小していく中で、コメ先物は市場シェアを増している。今後商品設計を改善するなど利便性を高めれば、当業者の参加も高まるだろう。

 ただ生産農家へコメ先物を啓蒙したくても、堂島取の営業部隊だけでは限界があり、さらに商品先物業者の支店網も市場縮小に連れて減少の一途にある。

 まずは早急な株式会社を実現して新たな株主や取引参加者を導入する必要があるだろう。このままズルズルと時間を費やしているだけでは、結局2年後に同じ状況に陥ることは確実である。

 コメは現在世界中で代表的な先物市場がなく、だからこそ堂島取の市場に期待を寄せる声も多い。だがここにきて中国の大連商品取引所が16日からジャポニカ米の先物取引を開始し、コメ価格の覇権争いに本腰を入れてきた。仮にこのまま大連のコメ先物市場がライバル不在で独走してしまえば、日本の主食の値段が中国で決まるという、極めて深刻な事態になりかねない。

 だからこそ「将来性」とともにコメの価格決定権を中国が持つことの「危機感」も訴えていかなければならないだろう。

 2年間がどれだけ短いか、堂島取関係者なら全員がわかっている。とにかく本上場に向けたスタートダッシュが大事で、年内に株式会社化に向けた道筋を示せるくらいのスピード感がほしいところだ。

 このたび、本所が試験上場継続の認可を受け、市場の継続をはかることができましたのも、これまでに取引に参加された皆様、また、先物市場における適正な取引や市場の継続に向けてご協力いただいた関係者の皆様のご指導、ご協力の賜と厚く御礼申し上げます。

 コメの先物取引につきましては、本年8月7日に8年間の試険上場期間が経過するなかにありまして、課題とされておりました生産者の市場参加数が倍増していることに加え、生産者や流通業者から本上場を強く望む声が多数寄せられていたことなどを踏まえ、7月16日に本上場に移行することを旨とする定款変更の申請を行いましたが、その後、農林水産省から、十分な取引量が見込まれず本上場基準に適合しないとして、本所の意見を聴取する旨の通知がございました。

 こうした状況を踏まえまして、現状においては本上場の実現が極めて困難であり、このままでは、市場参加者の皆様に多大なご迷惑をおかけすることになると考え、市場継続を最優先する観点から、7月29日に本上場申請を取り下げ、改めて試険上場を2年間延長する旨の定款変更の申請を行ったところ、本日、農林水産省から当該申請の認可を受けたところです。

 本上場移行がご理解いただけなかったことは、誠に遺憾ではございますが、試験上場延長とはいえ、市場継続が認められたことは、コメ先物市場の重要性につきまして、一定の理解を得られたものと認識しております。

 本所といたしましては、2年後の捲土重来を期し、コメ先物取引における価格変動のリスクヘッジ、在庫調整の場の提供及び取引の指標となる客観的な価格形成などの機能向上が国益に資するとの信念のもと、不撓不屈の精神で本上場実現に向けて邁進する所存でございますので、関係者の皆様におかれましては、引き続き、ご指導、ご協力の程、よろしくお願い申し上げます。





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 編集発行人:村尾 和俊
(2019/8/9 2946) 掲載