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【コメ先物市場本上場への道】No.28
 試験上場認可見通し、近く発表へ
 2年間の延命措置、即座に営業と組織体制の強化策を

 大阪堂島商品取引所が試験上場の再申請を行ったコメ先物取引を、主務省である農水省が認可する意向だ。5日に農林部会が開かれ、そこでコメ先物について4度目となる2年間の試険上場延長を認める流れで、7日までに正式発表される。堂島取にとっては悲願の本上場達成とはならなかったものの、市場の廃止という最悪の結果は免れた形だ。とはいえ、2年という期間は決して長いものではない。即座に2年後の本上場に向け営業戦略を強化すると同時に、取引所の株式会社化など組織体制の強化策も併せて講じる必要があるだろう。

総合取最終合意は東商取1株487円、買収総額55億円に

 日本取引所グループ(JPX)と東京商品取引所における総合取引所の最終合意契約の内容が7月30日、明らかになった。

 両社とも同日に取締役会を開催し、最終合意契約をそれぞれ承認したが、合意における最大の障壁であったJPXの株式買取価格が、最終的に1株当り487円で決着した。JPXによる東商取の買収価格は約55億円となった。

 当初6月末までに最終合意を結ぶ方針だったが、株式公開買付(TOB価格)で合意に及ばず、1カ月遅れた。これは両社の値段についての考えが異なっていたためで、TOB価格の基本的な考え方についてJPXサイドは純資産をベースにプレミアムを乗せた金額を提示していた。

 一方の東商取はディスカウント・キャッシュフロー法で、総合エネルギー市場創設などによりビジネス機会が拡大するという前提でキャッシュフローを計算し、現在価値を割り出した金額を提示した。

 同日会見したJPXの清田瞭CEOは総合取引所創設による商品先物市場が受けるメ
リットについて、これまで東商取の市場参加者が極めて狭い範囲に限られていたという考えを示し、「JPX傘下の大阪取引所と統合することで世界の機関投資家を顧客に持つ大手の証券会社や外資系の銀行など多方面から口座の開設が進む」と述べた。

 さらに今の商品先物業者に対しても、「大阪取の取引参加者になることで投資家とのパイプを作るのにチャンスが広がる」と前向きな見方をしている。これについては大阪取への入会金5,000万円を東商取会員を対象に免除し、金商法に基づく信認金300万円の預託のみで済む形になる。

 さらに清算機関の統合についても、JSCCの証拠金額24兆円を引き合いに、日本商品清算機構(JCCH)の約1,000億円から信頼性が大きく向上すると語っている。

堂島取の株式会社化、業界外からの出資で市場拡大の可能性が



 一方今回の総合取議論からは蚊帳の外に置かれた堂島取だが、5月に発表した中期経営計画では2020年度の株式会社化を打ち出している。現在堂島取は受託会員10社、一般会員58社という構成たが、既存会員の権利を損なわず持ち株会社による金融商品市場の開設など収益の多様化を図る。

 取引所の株式会社化は世界的な潮流といってよく、シカゴマーカンタイル取引所(CME)も2000年の株式会社化後、急速に規模を拡大している。

 もちろん現在の堂島取の規模は前述のJPXや東商取に比べてずっと小さい。今年3
月期の決算では、予算規模5億4,700万円に対し4,300万円の最終赤字となったが、収入では定率会費の1,400万円に対し最多項目は不動産の賃貸収入で、1億9,00万円と突出している。一方、支出は先物システム料が1億1,200万円と抜きん出ており、運営費5,600万円の倍に膨らんでいる。

 ただ堂島は何といっても「先物発祥の地」というブランドカがある。これは日本の金融関係者が考えるよりはるかに大きなネームバリューで、実際CMEなど海外の大手取引所にも先物取引を紹介する上で「堂島」というキーワードが使われており、先物関係者からの知名度も低くはないようだ。しかも堂島ほ先物の総本山として認知されているためか、海外から結構リスペクトされている。つまり「堂島」というブランド名は、それだけで武器になり得るという優位性がある。

 加えて取り扱う主力商品がコメであることから、プロモーション次第では金融以外の分野にも出資を募ることができる。むしろ、商品先物業界以外からよりコメの実需に密接する業者から出資を募ったほうが、結果的に市場が大きく膨らんでいく可能性があるともいえる。

 まずは残り2年間、スタートダッシュが今後の命運を決めるといえるだろう。そのためには年内に株式会社化構想を具体化させるくらいのスピード感が欲しいところだ。堂島取の未来は、それほど悲観するものではない。





 SBlの市場復帰、流動性向上の起爆剤に

 SBIグループの動向が、今後の堂島取の運命を決めるといってよさそうだ。もともとSBIフューチャーズ(SBIF)は、9年前まで同名の業者が受託業務を行っていた。

 初代のSBIF2000年(平成12)設立で、国内初となるオンライン専業の商品取引員だった。ただ05年以降の商先市場縮小の流れには逆らえきれず、撤退前の3年間はずっと赤字だった。

 現在も親会社であるSBIホールディングスを率いる北尾吉孝CEOは撤退するに当たり「主務省に業界を育てようという意欲が感じられない」などと不満を述べ、業界の先行きについても悲観的な見方をしていた。

 ただ理由はどうあれ再度商先市場に戻ったことについては、商先業界にとっては朗報といっていい。「システムを握られ、いずれ業界自体がSBI色に染まるんじゃないか」と心配する声も一部で上がったが、SBI関係者は「既存の商先業者の領域を侵すつもりはない」という。

 今はとにかく流動性を上げることが第一義の商先市場で、背後に巨大な個人投資家層を抱えるSBIグループの参入はやはり期待せざるを得ない。特にコメの本上場を2年後に果たしたい堂島取では、SBIを通じコメの流動性を高めるよう注力すべき時にきている。SBIの顧客と堂島取のコメ先物市場が繋がれば、そのパワーは想像を凌く破壊力かもしれない。


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 編集発行人:村尾 和俊
(2019/8/6 2945) 掲載