平成20年 5月12日(月)(毎週月曜日発行)第938号
        発行所 有限会社 先物ジャーナル社
        発行人・米良 周 編集人・高橋 伸幸
〒103-0013 東京都中央区日本橋人形町3−7−13−503
TEL 03-3668-3450 FAX 03-5695-1686
購読料・月2,310円 年27,300円(税込み


  
◇競争力強化と委託者保護 C・M底上げが、業界再編を促進か
 取次ぎ店の魅力をアピールする努力を
◇“めらの目”インド、食料品先物禁止へ
◇“先物寸言”相場師タタ
◆くりっく365 一番人気は米ドル/円
◆中大取 マレーシア証券委から認定
◆フジF 本社移転
◆人事異動 岡藤ホールディングス 岡藤商事


競争力強化と委託者保護
C・M底上げが、業界再編を促進か
取次ぎ店の魅力をアピールする努力を
  
 商品先物市場は産業インフラに欠かせない大切な役割(価格の発見・発信、需給の調整、価格の平準化、そしてヘッジなど)を担っている。そのために金融商品取引法とは一線を置いて、商品取引所法を存続させるというのが主務省の姿勢である。
 市場論の立場からすればもっともな話だが、ユーザーサイド(投資家)からすれば関係のない話。使い勝手がよく(楽しめて)、安心してお金を預けておける店(人)があればよい。そこに必要なのは業界の信用であり、市場の信頼である。商品先物業が信用情報産業といわれる所以でもある。
 社会的信用の裏付けとなるのが、顧客の窓口となる取引員の資産内容だ。明日消えてなくなるような会社に大切なお金は預けられないから、顧客の資産保全に万全を期すことは委託者保護の最重要課題といえる。これまでに業界をあげて取組んできた問題でもある。いまでは顧客資産は分離保管されて個々の経営資産とは完全に区分けされている。委託者保護基金による弁済制度や取引所場勘決済のクリアリングハウス(日本商品清算機構=JCCH)による違約対策など、不測の備えには十分に対処してきた。
 ここにきて行政サイドは競争力強化・委託者保護、更なる市場の信頼性向上を図るため、クリアリングハウス(JCCH)の機能強化に動き出した。JCCHは株式会社であるから、経営基盤の強化には内部留保が不可欠。不測の事態(カウンターパーティーリスク。いわゆる違約の発生、清算会員の倒産)に備えて、決済不履行積立金(違約担保財源)の大幅増額を決めた。現在の7億円から5年先には50億円規模に積み増す。その財源はJCCHの受取利息(年間約10億円、税金控除後で6億円程度)が当てられる。この税金分まで清算会員(取引員)の負担になるわけで、ここにも不満が出ている。
 これまで受取利息は運営資金に回されてきたが、担保財源としてプールされることから会費が大幅にアップされた。現行1円/1枚を今年10月から3円50銭に、さらに来年4月からは6円に引き上げようとするもの。経営不振のなかで取引員の負担増が続く。
 それを決定づけたのが清算参加者(クリアリング・メンバー=CM)の底上げだ。清算資格要件として、資本金3億円以上、現行の指定商品市場の必要純資産額(全市場参加でも9.7億円)から一律20億円、純資産額規制比率200%の高いハードルが設定された。この時点で、受託会員の20社近くがCMから外れるといわれる。他社に清算業務を委託するか、取次店に業態変更するか、市場から脱退(廃業)するか、いずれかの選択をを迫られている。
 業態変更したくても、それを受けてくれるCMを探すのも一苦労。「格下げ評価にみられている取次店にはなりたくない」(取引員経営者)というのが一般的な見方のようだが、財務面の有利さから「気分的に楽になった」(取次店経営者)との声も聞かれ、あながち軽視されることもない。純資産額20億円は一気に信用規模を証券業界並みにしようとするもの。片や丸代金商売、こちらは証拠金の取扱いで預かり資産には雲泥の差がある。同じ尺度で物事を論じないで欲しいというのが業界人の言い分のようだ。
 それではCMの資格要件はいくら位が適正かとなると時代の趨勢によって変わってくるのだろう。その昔、CMになるには預り資産と同額の流動資産がなければならないと聞いたことがある。それからみれば20億円はさほどの金額ではない。いづれ証券と足並みを揃える時がきたのだろう。「なぜ今なのか」が問題なのだ。
 一方で、委託者紛議が減らないと嘆く。これだけ荒れた相場展開のなかでは一時的な紛議(苦情)増があってもやむを得ない。取引員の経営努力を買いたい。片看板(単品市場)の受託会員は必要純資産額が5倍以上に跳ね返ってくる。これまで紛議も起こさずに顧客第一主義でコツコツ積み上げてきた中小の取引員、「正直者がバカをみる」ようなことであってはならない。
 証券界ではCMよりもノンメンバー(取次店)のほうが多い。組織力や営業カの差はあるだろうが、それで証券会社を選択されている話は聞かない。取組高に自社の名が載らないからの反論も取組、手口表が非公開になる商品先物業界、場をつなぐスピードもISV経由でCMと遜色ないとまでいわれている。商品先物取引振興協会(先物協会)の仲介あっせんの労が、どこまで会員を満足させられるか。今後の動向が気にかかる。
(た)

 (2008年5月12日―第938号)