「インド、食料品先物に批判の的」
英紙ファイナンシャル・タイムス〈FT、6日付)1面には食品中心の高インフレにタイヤを燃やして抗議する群衆の写真を抱いた記事が出ている。
「インドは食料品先物の包括的禁止を考慮しており、アジアに広がる『最近の商品値上がりに果たしているヘッジファンドと金融市場のトレーダーの役割についての懸念』を浮き彫りにしている」
記事のポイントを抜き出してみる。
●5日、インドのチャイダムバラム金融相は緊急提案として食料品先物市場を閉鎖する考えを示した。5年前にインドを金融センターとする手だての一環として導入された先物市場だが、その流れをさえぎる動きである。
●マドリッドのアジア開発銀行(AUB)の年次総会でチャイダムバラム氏は農作物のバイオ燃料への転換について「我々が(食料品危機下にある単独での最大の原因である」と厳しく批判している。この発言はプッシュ米大統領が「食品値上がりはインドのせい」というコメントの次の日のもので「やわらかくいえば食料作物のバイオ燃料化は馬鹿げた策であり、きつくいえば人類に対する犯罪である」と述べている。米国のバイオ燃料源はトウモロコシだが、チャイダムバラム氏はマレーシアとインドネシア主導でのアジア地域でのバーム油の燃料化もやり玉にあげている。
(概要)
ソマリア 少なくともデモの群衆のうち5人が殺された。食料品値上がりに抗議する人の群れに治安部隊が発砲した。
南ア マント・トシャバララ・ムシマング衛生相が南アは食料引換券の発行を検討し、基礎的食品については税制で救済すると発言。
EU エコノミストのジェフリー・ザックス氏が米国とEUに農地をバイオ燃料源に奪われないようにうながす発言。
セネガル アブドラヤ・ウェ−ド大統領が非効率なUN食糧・農業機構の改組を求め、国連主導のグローバルな農業支援組織を提唱。
ベトナム スタンダート・プアがベトナムを安定的なBBから格下げを示唆。食料品インフレ下の政情不安定を懸念。 |
●先物禁止について痛烈な批判も出ている。インド出身でAUBのマネージング・ディレクター、ラジャット・ナグ氏はFTに「取引の制限は誤ったシグナルを送り、決して建設的ではない」と語り.AUBの同じくインド出身のチーフ・エコノミスト、イフザル・アリ氏は先物取引の禁止は有権者をあざむく政治的な策略だ、と断じている。
欧州中央銀行のジーンクロード・トリシェ総裁も5日、議論に割って入り、投機は食料品値上がりに責めを負う必要はないとし「原因は供給現象であり、需要現象であり、それでほとんど説明できる」と述べている。
メッセンジャーを射るなかれ。商品先物市場論のベースとなる議論が食糧危機の強まるなかで急浮上してきた。
FTの2面には食料品危機の概要が表組みで次のように出ている。