第 255回

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米良 周              
 1936年、旧満州新京市生まれ60年早大第一政経学部卒、同年日本経済新聞社入社。73年商品部次長、78年編集委員を経て、94年より日経産業消費研究所首席研究員、96年日本経済新聞社退社。
 現在は先物ジャーナル社・代表取締役。
著書としては「日経商品面の読み方」(78年)「商品先物取引入門(95年)が、訳書として「金ー21世紀への展望」(88年)がある

プラチナ(白金)1トロイオンス 1700〜2400ドル
─GFMS社予想─
 「ドルの回復が石油と金の重し」
 英紙ファイナンシャル・タイムス(FT、4月25日付商品欄)の見出しである。
 同じ面の通貨欄せみると、「24日ユーロが対ドルで2週振りの安値となった。4月のIFO・ドイツ・ビジネス指数が06年1月以来の低水準を記録し、圏内最大の経済国の不振がユーロ圏全体に広がるとの見方を誘った」とある。
 インフレ警戒から利下げに消極的なECB(欧州中央銀行「金融市場混乱を収めるため矢継ぎ早二に利下げを繰り返すFED、この両者間のスタンスの違いがドル安・ユーロ高という流れを醸成してきただけに、ドイツ経済の鈍化データのインパクトは大きいようだ。
 商品欄ではプラチナについて触れている。
 「プラチナは3月に南アの電力供給問題で1トロイオンス2290ドルの史上最高値を付けたが、24日には前日比0.4%安の1985.5ドルに下がった。『貴金属のコンサルティング会社GFMSは南アの生産はエネルギー危機で容易に回復するとはみられないため、08中はプラチナは2400ドルまでの上昇が見込まれる』と予想している。
 「GFMSの推定によると、07年のプラチナの供給不足は20万トロイオンス(ETFの導入を除く)で、08年も同様の不足を予測している。ジュエリー需要は07年の13%減を引き継ぎ08年も急減すると予測しているロポール・ウォーカー・チーフ・エノゼクティブは『ジュエリー需要が市場ショックの緩衡役を果たそう。だが、そうした高値で日本にプラチナジュエリー市場は果たして残るのだろうかと述べている」
 プラチナに関する記事はGFMSが4月24日発表した最新プラチナ族需給報告書「プラチナ&バラジウム・サーベイ・2008」を受けたたものだ。小社には25日夕刻着(小紙下版後)、こと活字に関して情報の時差は残る。例えば英国のジョンソン・マッセイ社が東京でプラチナの需給報告書を発表する際にはロンドンを意識して、エンバーゴをかけている。
 325ポンド、595ドルという高価なGFMS報告書プラチナ族版である。日本の小さな1部購読者にも時差の目配りをしてほしいものである。クレームは英語通の梶原さん(オーバルネクスト)にお願いするとするか。
 以上、報告書の内容一部紹介が今回号にずれ込んだ言いわけである。
◆     ◆     ◆     ◆
 以下は報告書の1章「要約と展望」の要約紹介である。
 「07年の南アのプラチナ族メタルの生産はかなり落ち込んだ。その鉱山業全体は08年1月に発生した全国規模のエネルギー危機に巻木込まれた。こうした事態は供給ショックをもたらし、価格に大きな影響を与えただけでなく、長期的な需要の持続性についての疑念を提起した」
 「6年に及ぶ鉱山生産の拡大によって、プラチナは06年供給不足からグロスでの供給過多19万トロイオンス(5.9トン)と、8年振りの過多を記録した。拡張機運を受け07年もかなりの増産が見込まれていた。だが、増産は生じず、約37万トロイオンスの減産に終わった。需要全体はほぼ横ばいだったため、南アと南ア以外の減産もあってグロスの供給不足は20万3000トロイオンス(ETFへの投資は除く)に達した」
 「07年の報告書で我々はプラチナのファンダメンタルズを次のように列記したが、08年も持続する。
産業用需要(自動車触媒を含む)はいまや需要の80%を占める@ジュエリー需要の縮小を受け、需要の弾力性はいちじるしく低下したA一国の供給が世界生産の4分の3を占める─南アB多年にわたる供給不足で地上在庫は限られている」
 報告書は要約部分の書き出し部分でプラチナ族メタルの下方硬直性の高まりを強調している。
 報告書の価格見通しは次の通りである。

08年プラチナ=1700〜2400ドルレンジ
 明らかにプラチナの値動きのポイントは南ア事情にある。エネルギー問題が焦点だが、鉱山操業の安全性と技術問題が07年同様価格を左右する。同時にジンパブエの動向〈大統領選結果の収拾)が08年にはある程度価格を左右する。
 かてて加えてプラチナは世界景気の動向と関連する(特に自動車)が、投資への引き続く好環境−リスク回避と分散−によってその影響度は軽減されよう。
 この点について、プラチナは金の補助的な役割を果たし、金に大きな値動きがあれば、プラチナ自体の需給ファンダメンタルズに関するニュースに欠けるには金への同調性が強まる。
 GFMSは金、プラチナいずれについても08年は強気で、プラチナが08年中に1700ドルを下回ることはないと予測する。上昇リスクの方がより高く、2400ドルの新高値に年末前に達する可能性大。

08年バラジウム=400〜550ドルレンジ
 バラジウムに関しては400〜550ドルの取引レンジを予想している。需要は引き続き増えよう。自動車触媒、ジュエリーの両需要部門の見通しは強い。地上在庫の量は大きいが、在庫の保有者が変わることによる価格のねじれ現象を除くと、ファンダメンタルズへの評価が高まっていく。
  
プラチナの世界需給(GFMG調べ、単位1,000トロイオンス)
1999
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
供給 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
鉱山生産
 
 
 
 
 
 
 
 
 
南アフリカ
3898
3765
4167
4441
4696
4961
5054
5445
5075
ロシア
860
872
811
816
834
840
960
948
917
北米
270
285
347
389
281
374
358
357
317
その他
171
113
80
142
215
241
219
244
246
生産合計
5199
5035
5406
5788
6026
6415
6592
6994
6555
自動車触媒回収
520
580
650
700
736
770
801
841
926
供給小計
5719
5615
6055
6488
6762
7185
7393
7835
7481
需要
 
 
 
 
 
 
 
 
 
自動車触媒
1838
2144
2505
2953
3295
3592
3921
4092
4262
ジュエリー
2779
2752
2745
2969
2694
2180
1865
1709
1482
化学
325
305
295
335
335
375
355
350
365
エレクトロニクス
380
440
370
320
335
345
375
427
461
ガラス
255
370
325
235
315
490
475
450
395
石油
115
120
130
135
136
165
165
180
248
その他生産
530
339
557
582
532
482
459
437
470
需要小計
6222
6470
7027
7528
7642
7629
7614
7645
7683
  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
クロス過剰/(不足)
(503)
(854)
(971)
(1041)
(880)
(444)
(221)
190
(203)
推定在庫移動
12
262
213
434
266
165
13
0
(194)
差引き過剰/(不足)
(490)
(592)
(759)
(607)
(614)
(279)
(208)
190
(397)
平均価格 ロンドン午後の値決
(トロイオンス:ドル)
376.73
5441.14
529
539.97
688.97
846
896.57
1142.55
1303
   
パラジウムの世界需給(GFMS調べ、単位1,000トロイオンス)
 
1999
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
供給           
鉱山生産          
南アフリカ
1915
1837
2003
2132
2298
2468
2601
2861
2682
ロシア
2545
2697
2626
2652
2732
2841
3133
3164
3049
北米
588
626
780
967
889
1039
930
1007
982
その他
148
137
141
201
253
2825
265
275
283
生産合計
5196
5296
5550
5952
6172
6630
6929
7307
6996
自動車触媒回収
183
230
280
341
409
494
636
754
963
供給小計
5380
5528
5830
6292
6581
7124
7665
8061
7959
需要          
自動車触媒
5574
6007
5329
4737
4377
4150
4148
4491
4867
ジュエリー
399
361
295
285
356
904
1189
981
1025
歯科
1156
816
699
761
786
811
688
635
561
化学
235
265
255
255
255
295
325
410
377
エレクトロニクス
1995
2110
800
765
1015
1121
1219
1219
1275
その他生産
110
60
65
95
150
190
333
202
115
需要小計
9469
9619
7442
6898
6939
7416
7804
7938
8320
              
クロス過剰/(不足)
(4089)
(4091)
(1612)
(606)
(358)
(292)
(240
123
(361
推定在庫移動
3069
3044
1971
1167
1016
1064
1858
1613
620
差引き過剰/(不足)
(1021)
(1047)
359
561
658
772
1618
1836
259
平均価格 ロンドン午後の値決
(トロイオンス:ドル)
358
680
603.68
337.55
200.58
230.22
201
320.20
354.78

 (週刊 先物ジャーナル 08年5月5日 第937号 掲載)