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メッセンジャーを射る
貧しい国の中流階級は健康管理をあきらめ、肉食を止めるが、三回の食事は取れる。1日の稼ぎが2ドルの中級貧困層は子どもが学校に行くことを止めさせ、野菜の量を減らすが、コメは食卓に出せる。1日1ドル層は肉、野菜さらに食事の1.2回を省くがめし1杯は確保できる。日に50セントの人々にとっては大惨事である。
約10億人が日に1ドルで暮らす。控え目な見積もりで食料品価格が20%上がれば1億人がこの水準に落ちる。一般的な尺度である絶対貧困層にである。
英紙エコノミスト〈4H19日号)は社説トップで「静かなる(サイレント)津波」と題して食料品上昇の及ぼす被害と解決策に言及している。
世界各地での洪水、干ばつ禍もある。バイオ燃料の増産で人間の食料品が自動車に食われている部分もあろう。だが、世界の食料品在庫は危機的水準に落ちたとはいえ、需給尻は津波を呼び寄せるにほど遠い。
食料品発インフレを押さえ込むため輸出国は穀物、可食油原料の輸出を禁止なり制限、輸入国は関税を下げるが及ばず在庫手当を急ぐ。買い急ぎ、買いだめ、売り惜しみ、…ある面人為的パニック現象と評することができよう。
種子技術の改良、耕作適地の拡大、ほぼ30年にわたる食の低位時代におこたってきた増産のメドを長期的に立てるほかはあるまい。
エコノミスト誌の同じ号の特集「食品と貧困」には食品危機打開のささやかな成功例が紹介されている。
「エチオピアは今週独自の商品取引所を開設した。アフリカ大陸では希有なことだが、農民とトレーダーの関係を密にする試みだ。携帯電話の普及も市場情報の伝達を広げるのに役立っている」
需給に見合った競争価格の形成・伝達はうわさに基づくパニックの防波堤にもなる。
「インドでは07年に豆類、コメ、小麦の先物取引を値上がりを加速するとして禁じた。いま可食油にもその範囲を広げるべしと左派からの突き上げがある。だが、『メッセンジャーを射るにも似た手だてだ』と先物取引所の監督機関であるフォーワード・マーケット・コミッションのB・C・カツァ会長は批判する」〈エコノミスト4月12日号、インドのインフレに関する記事)。
インドはエチオピアを見習うべきではなかろうか。
〈成末) |