商品相場は怖い。それは海の向こうからやってきた。
3月第3週の国際商品急落はそれこそ需給原則の大枠を外れた動きだった。個別の需給を点検し直してもさっぱりわからない、が商品先物取引参加者の大方の感想ではあるまいか。
■ 世界不況局面下の商品単価
高値から安値(% ドル建て価格変化率) |
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73/12
75/06 |
80/02
80/09 |
81/08
82/09 |
90/11
93/06 |
00/09
02/01 |
原油 | 117.2 | -10.5 | -1.8 | -47.9 | -37.0 |
金属 | -5.4 | -25.6 | -14.9 | -34.7 | -15.4 |
食品 | -13.0 | 11.0 | -8.1 | -7.7 | -4.8 |
飲料 | -17.36 | -20.5 | -3.2 | -24.8 | -8.3 |
農作物 | -19.2 | -12.9 | -2.1 | 14.0 | -13.5 |
英紙ファイナンシャル・タイムズ(FT、24日付)には「コモディティの値段、ヘッジファンドの建玉整理で下がる」という見出しの記事が出ている。
「コモディティの値段が広範囲にわたって下がっている。ヘッジファンドが今年最も人気の高いアセット・クラス(資産の分類)に投じていた資産を引き揚げたためである。このことは最近の記録的高値は投機資金の流入によるものだったことを示唆している」
「コモディティファンドのデレバレッジング(借り入れを減らして投機を手じまう)は金融市場の動揺の波及を懸念する中央銀行マンにとってよいニュースとなったろう」
記事の出だしである。
ポイントを抜き出してみる。
●ドレスナー銀行のデービット・ホームズ氏は「ヘッジファンドは(買い)玉整理を急いだとし、「明らかにヘッジファンドは商品は値上がりするとをにらんでいた。だが、いまや玉を減らし、利益を手中に確保しようとしている」と述べている。
●FEDは長いこと石油と他の商品の値上がりに戸惑っていた。「中国とインドの需要は確かに強いかもしれない。が、それはトレーダーならだれでも知っている。それに世界的な成長見通しは年はじめから混沌としているではないか」と。
●IMFもFEDと見解を同じにする。20日に公表したリポートでは「商品の値段と成長鈍化傾向は連動していない」としている。IMFは「ドルの減価と短期実質金利の低下が多くのチォネルを通じて商品価格を押し上げている。商品をオルタナティブ・アセット(代替資産)ととらえる動きが強まっている」と分析、結局、そうした金融要因が08年に入って以降の石油の値上がりと他の商品の上昇を招いているとみている。
●FED当局は足早の利下げがドルの力をそぎ商品価格を押し上げる─ドル建て価格の押し上げ機能とイ
ンフレ・ドル安へのへッジの商品買い─ことを認識している。直近の利下げで1%ではなく0.75%にとどめたのも、ドル安・商品高の構図を避けようとしたこともある。とりあえずはその意図は成功したようにみえる。
●だが、IMFは商品の大幅下落期待には水を差す。商品はなお需給タイトであり、中国、インドあるいはブラジルの需要は強く、実質的な世界景気の後退がないとすれば下落余地は限られると見ている。
IMFは「商品の値上がりと世界景気の下降間の関連度のなさは商品への需要増加への寄与度の大きい途上国はこれまでのところ金融危機の影響度が小さいことを物語っている」とする。
FTの記事を前提に考えれば、商品相場の怖さはヘッジファンドなどプロの投資家の需給の枠外投機に振り回される度合いが高まっているところにある。で、再三再四記してきたことをまたぞろ書く。そも、プロとはなんぞや。百歩ゆづって、プロだけで市場は存在するや。
FTの記事に添えられた図表、「世界景気の下降局面の商品価格」を見る。原油、メタルで見る限り、この表に08年春の商品下落のデータが加わることはなさそうだ。
商品価格は3月第4過の惨落から抜け出している。商品と米国景気のデカップリングという軌道に復しているようにみえる。