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商品はバブルか、論点を整理する
「あれっ1050円でなかったっけ」、「食用油が値上がりして、1100円にさせてもらいました」
普段は小諸そば、吉野家牛どん、ドトールのドッグ、など500円以下がわが遅い昼食メニュー。2週に一辺は老舗そば屋の天せいろ。
ドトールのコーヒーが値上げしたと思ったら天せいろよお前もか。通勤途上、構内ビュッへに立ち寄るが、3月15日から諸原料高騰で一部を値上げします、との告示。特にミルクが上がりました、とはアルバイト嬢。
国際商品高騰のつけはささやかなわが食生活にしのび寄っている。
「オーストラリアの潜水艦隊のクルーが、地下作業を選択」
英紙ファイナンシャル・タイムス(FT、11日付)にこんな見出しが出ている。
「中国の商品への需要増加が、オーストラリア海軍の危機を招いている。
潜水艦隊の腕効きのクルーが高賃金の鉱山業に誘われて次々と離職している」
商品高、国防を揺るがすの図である。
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「投資家は商品高騰の理由を吟味すべきだ」(FT、8日付)「アナリストたちは商品バブルという考え方を論議する」(同、11日付)。FTの二つの記事はなぜ国際商品は上がっているのか、バブルではないのか、という素朴な疑問への答えを出すうえでの頭の整理に役立つと思う。
まず、前者。ジョン・オーサーズ氏の長期的視点というコラム。
石油、金、トウモロコシが3月第2週、競ってて史上最高値を付けた。「クレジット、株式市場の判断に信を置くなら、世界市場のエンジン役である米金融サービス業は危機的な情況にある。一方、債券、通貨市場は米経済の信認失墜を示している。なぜ、商品の歴史的な高値と共存するのか」と疑問を呈している。
分析は需給両面にわたる。
まず需要を二つに分けている。
伝統的に商品の需要は経済の活況度と重なり合う。CRB商品指数とOECDの先行指数は1981年以来、同方向に動いてきた。この数ヵ月、この関係は完全についえている。商品上昇は経済の緩やかな下降と共存している。途上国の強い商品需要が米国景気の鈍化傾向にもかかわらず、商品価格を押し上げている。デカップラング(非連動〉論の変形といえよう。
第二の需要源は「投資需要」と称するもの。それは工業用、農業加工、あるいはジュエリー加工需要といった類ではない。投資需要はそれ自体が目的の投資だ。ETF(投資信託)の商品への導入ひとつとっても、商品投資への道が広がった。商品は株式、債券と非相関。07年8月(サブプライムローン危機の広がり)以降、商品への資金流入が目立っている。商品への投資はスタグフレーションにかけている。
一方の供給。商品ブームが加速し始めた02年、商品高騰は需要主導の現象だった。例えばOPECの生産は日量2500万バレルから、06年の3200万バレルまで増えたが、原油は4倍値。06年の反落は供給の落ち込みと軌を一にしている。
パークレーズ・キャピタルのティム・ボンド氏は「資源市場は1970年代以降みられない供給ショックを告げ始めている」と述べている。もし彼の推論が正しければ、それはスタグフレーション。値段は上がり、世界はそのつけを払わざるを得ない。インフレは進み、経済活動は停滞する。金利の引き下げはインフレを高進させるだけだ。
で、結論(高騰の主役別)
実需要=商品は必ずしも売るべきでない。新興市場がデカップル下にあるからだ。だが、インフレが新興市場の成長にいずれ影響する。長期的には商品投資はふさわしくない。
投資需要=商品はバプル。すぐに投資を引き上げるべき。
供給=1970年代同様、経済は深刻な苦境に立つ。商品は唯一の拠りどころとなる。
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「商品は最も早い時期の金融バブル─17世紀、オランダのチューリップ狂時代の中心に位置した。チューリップは投資需要がかさみピークの1637年2月には1ポンド1500ギルデーと大工の親方の年収4年分に相当する高値に達した。2ヵ月で10倍値という需給ファンダメンタルズ無視の相場がついた。チューリップ球根の需要はすぐさま消滅、値段は暴落した」
FTのニュース分析記事(11日付)の書き出しである。
「400年ばかり先送りして、アナリストの一部は商品はバブルの最中にあると主張する。シティグループのチーフ米国ストラテジスト、トビアス・レプコピッチ氏は直近のリポートで『商品、特に金は楽に儲けようとする資金とうまく立ち回る投機によって″バブル局面“にある』と断じている」
だが、商品が過去10年のドットコム(01年にはじける)、住宅(07年夏にはじける)に次ぐ、第3のバブルにあるのか、は議論の余地が大きい。
「パークレーズ・キャピタルのケビン・ノリシュ氏はバブル論に与しない。『高騰はファンダメンタルズ主導。強い需要と供給対応の遅れ、それに生産コストの急上昇による』と指摘している」
バブル否定論者は金融投資家の力が及びにくい鉄鉱石、海上運賃、コメなどの強い足取りをあげる。03〜08年で鉄鉱石は350%上昇、他方金は同期間で174%、原油も250%にとどまる。
FTの分析記事を読んでも商品バブルか否か、の判定は下しにくい。
ただ、商品指数による投資〈08年300億ドル、08年末には合計で1900億ドルに達すると推定=マッコリー銀行)のグラフをみても商品の買い人気は衰えないことがわかる。
バブルははじけてみなければわからない。グリンスバーン氏の名言である。
自らリスクを負う個人投機家中心の日本の商品先物市場、バブルがはじけたつけは中央銀行なり政府に回す機関投資家中心の米国市場。商い高の彼我の大いなる格差はリスクの負い方の差によるものかもしれない。 |