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日本の商品先物は進んでいる
今までハイリスク・ハイリターンの金融商品につぎ込まれていたマネーは、リスクの低い商品へとシフトしていく。たとえば金。この一月、金の先物相場は1トロイオン=916.10ドルと史上最高値を更新し、その後も高値水準を保っている。また、株の値動きとは逆の指向性を持つ債券市場にも資金が流入している。
この点で、最も国民生活に直結するのが、先物市場への資金流入による物価の高騰である。新たな資金が流れ込んだことで、麦、トウモロコシ、砂糖などの価格は軒並み高騰している。なかでも大きな影響を被ったのは原油市場だ。中国やインドなど、急激な経済発展を遂げているアジア諸国の原油消費がここ数年急激に増えたこともあって、もともと原油価格は上昇基調にあった。それがサブプライム問題の発生以降、大幅に投機マネーが流入したために、年初には史上初めて1バレルが100ドルを突破するという急騰をみせたのだ。
文芸春秋3月号の榊原英資氏の「世界信用崩壊 砕けるニッポン」と題する文章の一部を引用した。
榊原氏は米国の過剰消費が資金不足、物価高で冷え込めば、世界中でモノが余ってくると指摘、「原油価格は年末までに、均衡価格である60ドル前後まで下がっていくのではないだろうか、穀物価格についても、早晩下落傾向に転ずることが予想される」と記している。
簡にして要を得た国際商品市況の解説・分析だと思う。
予測部分については国際経済の米国との連携離れ(デ・カップリング)論者には異論があるにしてもである。
文芸春秋の同じ号には「サブプライム時代の資産防衛術─株は全面安、預金も土地もダメ。ならばどうする」と題する勝間和代氏の文章にも、次のように商品が登場している。
確かに2007年から2008年初頭にかけては日本の株式は大幅に下落しま
したが、債券市場はほぼ横ばい、商品相場は大きく上昇しているため、適切な分散投資をしていれば、サブプライムによって大きく下落した株式相場ほど、運用資産が減ることはありません。
最近は、石油や小麦、金といったコモディティ(商品)の価格上昇も著しいものがあります。日本のようなコモディティの輸入国にとっては、こういったコモディティの値段が上がれば上がるほど、原材料費や燃料代が上がるため、多くの企業にとっては不利に働きます。したがって、商品は日本株式と反対に動く確率が高いのです。すなわち、商品相場が上がったときには、日本株は下落します。
「…債券と株式、余裕があれば商品を同時に保有し、分散投資を図ることがリスクを減らし、リターンを安定させるのです」と書いている。
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文芸春秋3月号の売り物は芥川賞受賞作の全文掲載。その旨表紙にどんと載っている。
川上未映子の「乳と卵」は途中まで読んでやめた。日本の平均的老人である筆者には、その感性がとんとわからない。
紹介した二つの文章はロジカルである点、読みやすかった。
それはさておき、二つの文章は商品がアセット・クラス(資産の種類)として日本でも認知され始めていることを示している。
「リスクの低い商品へとシフトしていく」(榊原氏)、「余裕があれば商品を同時に保有し」(勝間氏)、といった表現は、商品相場を売る商品取引員への新たな販売戦略のヒントとなるのでなかろうか。
二つの文章に例示されている商品に小麦がある。この春、上昇の主役格商品は小麦。日本の商品先物市場の品揃えとしても、早期上場を期待したい。
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別項の「CMEのNYMEX吸収、クリアリング独占に疑義」(略)は英紙ファイナンシャル・タイムス(FT)の関連記事を目に付いた限りで集めたものだが、11日付には”Futures reformと題する社説が載っている。副題は「米国のデリバティブ・クリアリングは変容の機にある」だ。
「これほど大きな転換はあるまい。米司法省(DoJ)は先物取引所のクリアリング・ハウス(清算横構)所有は競争の大きな障害になるという見解を示している。去年、CMEがCBOTを買収し、米国取引所先物の85%を取引・清算する巨獣の誕生に対して、さして口をはさまなかったのは極めて残念だった」
社説はこう説きおこし「DoJの新たな姿勢は遅くともなさざるに勝る。先物取引所はクリアリングをコントロールして潜在的競争相手を妨げてさた。DoJは米財務省に取引所が清算機構を所有することを認めるべきかどうか、について調査するよう要請した」と経緯を説明している。
FT社説のクリアリングを分離すべしの論点を抜き出してみる。
●取引所がクリアリングを支配していると、顧客がある取引所で買い、他の取引所で売ることを妨げる。顧客はDoJの今回の動きで、あらゆるものを得る。米国の株式市場はクリアリングを共有しているが、そこでは激しい競争原理が働き、手数料は下がり、スプレッド(サヤ)は縮小、出来高は増えている。
●DoJの動きによって、先物取引所の利用コストは下がり、出来高も増えるだろう。1999年、オプション取引所間での競合商品の上場は止めるというカルテルがDoJによって廃棄された際、手数料低下と出来高増を呼んだ。
●CMEは現行システムはすべての人々にとってよく機能していると主張している。だが市場の機能障害をなによりも雄弁に示す証拠がある。最大手顧客が競合する取引所設立に動いていることである。
●CMEの規制機関であるCFTCは取引所の肩を持ってきた。顧客からのクリアリング自由化要請を聞き流し、CMEとCBOTのルール制定力を許容してきた。が、CFTCはその役割で公正さを欠いている。
「米国は取引所が外国勢に競り負けることにいら立っている。だからCMEがその独占的ポジションを守るべきだ、とするのもおどろくにあたらない。だが、長期的にみると、DoJの動きを支持するのが得策だ。米国の先物取引所が非効率的なら、ビジネスは海外に流れていくだろう。世界最大の先物市場というポールポジション(自動車レースで最前列内側のスタートに有利な位置)を維持するためにも、米国は競争を避けるべきではない。Uターンは待ちに待たれている」
社説の結語である。
日本の商品取引所のクリアリング外出し。FT社説を是とすれば、米国より、一歩進んでいると評することができよう。 |