前号                                次号へ


松井や世良に学ぶ
沼野 龍男
 ヤンキースの松井秀喜は厳しい外角の速球で攻められることが多い。今のカでは、これをライトスタンドに運ぶことは難しい。
「チャンス(チームの一員として良い仕事をする機会)に、外角球に逆らわずにレフト方向に打つことを心掛けている。そうすればいずれ内角にも甘い球が来る様になるだろう。その時は自分の力を試してみる。今は中距離バッターであると思っている」と。
 将来は成長しているだろうから分からないが、いま現在、自分は何をどの程度知っているか。何はどの程度までできるのかを理解しておくことは大切である。
 知らない事は書物で調べるか、知っている人に聞けばよい。出来ないものは出来る人の力を借りればよい。この自己理解が自信につながる。何でも分かっていて、なんでも出来て、誰をも愛せるのは神か仏しかいない。
 「今できることに全力を尽くし、出来ないことには我慢づよく挑戦していく」松井選手のこの姿勢に多くのファンがシビれる。
 音楽に生きる世良公則は、「あんたのバラード」でデビューした当時は、分かる奴にだけ解ればいいと云う一方通行だった。世良のハイテンションについて行けないと云うことで、スタッフも一人また一人と離れて行つた。
 「今はギター一本で、小さなライブ活動から始めている。自分の歌に賛同してくれる人も、そうでない人もいる。そうでない人を拒絶するのではなく、それを受け止め、次の自分のメッセージを発信していく。
 それは自分の進歩につながると思うし、更に人々に理解してもらえると思うから」と。(NHKTVホリテーより)}人は皆、育った環境、年令や立場、価値観も異なる。自分を理解してもらいたいと願うなら、まず相手を理解することから始めねばならない。
 相手を理解することが出来なければ、自分も理解できないし、ましてや相手に理解されることはない。
 「己を知り、相手を知らば百戦危うからず」と云うが、自己理解はビジネスの眼目なのである。
(週刊 先物ジャーナル 08年1月28日 923号 掲載)