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共育(きょういく)
沼野 龍男
 以下は、昨年の新卒で最近退社した新人の「退職理由調査表」に、ある店長が記述した一部である。
 「勤怠状況」、真面目で毎朝他者より早く出社して、外電等率先して送っていた。身嗜みも営業マンらしくきちんとしていた。
 「指導についての反省」、枝術、語法面をもう少し観察していれば修正できたと思う。ヤル気を出させる様な[人が上司として足りなかったと思う。と。
 店長は、この新人を営業マンとして「素質」ありと観ていた訳で、技術面と動機づけに不足感を持っていることが伺える。
 具体的に、どの様にしてやればよかったと思っているのだろうか。
 部下が特定の目標、あるいは責任をもって働くとき、彼の行動を方向づける「意欲」と「能力」のことを成熟度という。そして意欲は「心理的成熟度」、能力は「仕事面の成熟度」に関係がある。つまり、私共の成熟度合は、与えられた目標いかんによって変ってくるものであり、従って重要な目標を遂行し達成する部下の成熟度を的確に認知することが管理者の課題といえよう。
 A「能力」仕事面の成熟度
 過去の仕事の経験、仕事に必要な知識、仕事に欲求される事柄についての理解(何をすべきかを知っているか否か「問題解決能力(自分でどの程度解決でさるか「責任を持って仕事をやっていける能力(まかせられても大丈夫か)仕事の期限の遵守、完成したかチェックできる、など。
 B「意欲」心理面の成熟度
 責任を持って仕事をやろうとする意欲(ヤル気十分)、達成意欲、参画意欲(打ち込み度)、不屈の持続性、取り組む態度〈楽しい活動とみているか否か)、積極的、主導的か(新しいアプーローチを求めているか)、など。
 部下のA、Bの成熟度合によって管理者のリーダー・シップも変わつてくる。
 ・AとBも低い場合、はっきり指示を与えてやらせる。
 ・Aは高いがBは低い場合、よく分からせて行動を促す。(ベテラン型)
 ・Aは低いがBは高い場合、仕事面をコーチしながら行動を促す。(新人型)
 ・AもBも高い場合、仲間として一緒にやる、又は任せてやってもらう。
 野茂投手がドジャース時代に、日米のコーチの違いについて語っていた。近鉄では、「俺はこの投げ方で20勝投手になった。お前もフォームを変えろ」と。米国では、「そのフォームで投げるのなら、この球種が生きると思うので、一度試してみないか」と。
 会社の人的資産を預かっている事に執着し、たった一人の新人でも彼を育成するという事はすべてに通じること。新人の育成イコール我々自身の成長、これを「共育」と言うのだろう。
(週刊 先物ジャーナル 08年1月21日 922号 掲載)