原油(WTl、期近)が21日のアジアの取引時間帯で1バレル99.29ドルと100ドルを指呼の間とした。
11月第2週末から第3週にかけて調整安をみせたが、再び強い相場が戻ってきた。さっかけはOPECの首脳会談(18日開幕)。増産議論が避けられる一方、OPEC強硬派(イラン、ベネズエラ)から米ドル紙くず論が出るなどドルへの信頼低下をみせつけたからである。

英誌ファイナンシャル・タイムス(FT、22日付)市場と投資面の「不安定な要因が原油価格に火を付けた」と題する記事から、再び100ドル接近の要因を抜き出してみる。
「弱いドルとクレジット市場を見捨てた巨大な投機家の群れが商品市場に向けて崩れ込んだというのが一般的な説明になっている」「だが、他の商品、特に銅とアルミなど非鉄金属の下落は石油市場独自の需要と供給、在庫などが相場を押し上げていることを示唆する」
「結局、市場は米国の経済成長の行方を懸念しており、通常であれば石油の需要を冷やし、値下がり要因として働くはずである」
「直近の高騰は8月の米国の利下げにあった。利下げ以降、WTlは40%上がったが、S&P・GSCl産業メタル指数はわずか1.7%の上昇にとどまっている」
で、ファンダメンタルズはどう強気に働いているのか。記事からポイントを列記してみる。
・OPECは増産見送りで批判されているが、非OPEC産油国の生産抑制も需給窮迫要因。北海油田、アラスカ、メキシコなどの自然減産が響いている。ドイツ銀行によると、新規開発案件はより技術的に困難なうえ、市場原理になじまない地成に集中している。
・需要は前年比日量100万バレル増、一方OPECの生産抑制で在庫水準が落ちている。北半球の暖房需要期を準え第3四半期には通常なら在庫は積み増しとなるが、今年は先進国在庫は6月末の55日分から9月末には52.8日分に落ちている。
・供給不足傾向を映し、先物市場ではバックワーデーション(逆ザヤ)が形成されている。逆ザヤ幅は6月末の30セントから、現在1ドルまで拡大して、在庫水準を落とす誘因となっている。これがまた上昇圧力となる。
・需要は中国、インド、そして産油国で一向に衰えない。例えばサウジでは1リットル12セント、中国では60セントといった具合に補助策で低位にある西欧では2ドル以上)。100ドル原油といっても、需要減には結び付かない。
ファンダメンタルズの強さが上昇要因の中核にあるという解説だ。
投機資金はいかん。記事ではニューヨーク先物市場の非当業者(投機)の買い建て玉は11月第3週に73.9%減ったうえ、取組高も漸減していると指摘している。
別項のエコノミスト誌の記事とFTの「ファンダメンタルズは強い」という指摘を重ね合わせると、寒波襲来とともに100ドル相場がみえてくる。と同時に原油相場は決して「野も山も一面強気」でないことがわかる。
が、100ドル相場に持続性があるか、どうかは別問題。
米国景気の下降の影響が他に広く伝幡していくとすれば、どうなるか。
FTの記事ではUBSのジャン・スチュアート氏の見方を紹介している。
「世界的なマクロ経済の緩やか減速は石油価格にまだ反映していない。100ドル原油は持続性を欠き、08年には70ドル台半ばまでの調整安あるべし」
夏から秋にかけての国際商品上昇は原油、金、大豆。いずれも需給が上昇を後押しした。砂糖、小麦、トウモロコシ、非鉄金属、ゴムと足踏み商品も多い。
資源炎上(東洋経済11月24日号)といった特集ほど全商品が燃えているわけではない。
商品投機はやみくもに走っているわけではない。金商品との違いである。