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「原油100ドル、金1000ドル」の根拠消えず
「原油(1バレル)100ドル、金(1トロイオンス)1000ドル」
11月第2週発売の週刊経済誌の新聞広告で、こんな見出しを見た。基調は強いのは否定できないが、これでは「野も山も一面強気になりて……」で、阿呆になつて売る局面ではなかろうか。
私自身、8日締め切りの金に関する外部原稿で「原油100ドル、金まず850ドルそして1000ドルヘ」という見出しを立てて、強気見通しを書いたが、「調整安はいつあってもおかしくないが、長期上昇波動はなお続くとみたい」と蛇足を加えたのは野も山も、の強気に危惧を抱いたからだ。
11月第2週末から第3週にかけ、原油、金ともどもすとんと下がった。原油では西側世界のエネルギー監視機関IEAが13日「この冬の石油需要は高値のため当初予想以下の伸びにとどまる」と需要を下方修正したことも響いたが、要は高値自体が高値警戒観を呼び、利食い押しを強いたということだろう。
14日、原油、金ともに上昇。前者はOPECの増産当面見送り発言、後者はドル安に反応した形である。金にはプラチナの急反騰も支えとなった。13日、英国のジョンソン・マッセイ(JM)社がプラチナ族の需給調査報告書を発表、プラチナに関して07年は再び需要超過に再帰し「向こう6カ月の高値は1トロイオンス1575ドル」との予測を出したことが、プラチナの買い手がかりとなり、「金との価格相関度は80」(JM)とあって、金下落を一時食い止めた。
JMのプレスリリースは全文別項に掲載した。
JMの報告書発表会では「9、12日とニューヨークでプラチナが急落したが、基調変化か」という問いにレオナルド・オメーラ、マーケットリサーチマネージャーは「一時的な整理売り」ときっぱりした口調で答えたのが印象的。
発表会に同席した田中貴金属工業の橘川健人貴金属副部長が「JMの報告書は1985年に始まり、86年から中間報告が加わった」とあいさつしたが、手間ひまかけた需給報告書を作成して無料で関係者に配布する地道な作業の持続には敬意を表するとともに、英国企業の底力を感じる。
JMの発表会に筆者は4年前に欠席したほかは全部出席してきた。果たしてあと何回出席できるのだろうか。
高値警戒観に利食い押しの果て、下値のメドは急騰前の原油80ドル、金720ドル見当となろうか。
出直り相場の目標は「原油100ドル、金850ドル超えの1000ドル」急騰を演出した根拠は消えていない。
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07年、プラチナ不足・バラジウム過剰一JM見通し
ジョンソン・マッセイ社(JM)は13日、プラチナ市場に関する「2007年中間報告書」を発表し、「2007年のプラチナ市場は8.2トンの供給不足になるだろう」と述べた。報告書の骨子は以下の通りである。
(プラチナ)
07年のプラチナ市場は8.2トンの供給不足
07年の世界市場におけるプラチナ需要は前年比2.9%増(6.1トン)となり、史上最高水準の215.4トンに達するだろう。自動車触媒用プラチナ需要か再び拡大すると予想されるが、これは、ディーセル車の排ガス浄化システム用プラチナの使用量が増大していることが主因である。産業用需要も拡大するが、シュエリーメーカーによるプラチナの新規購入量は微減となる。南アフリカのプラチナ鉱山の操業をめぐる環境か厳しさを増していることから、南アからの供給量はこれまで予想されていた水準に達しないものと予想される。世界市場tこおけるプラチナ供給量は06年の水準を4.1トン下回る207.2トンとなり、その結果、06年のやや供給過多から一転して、8.2トンの供給不足になるものと予想される。
供給量は期待を下回る
07年の世界市場における供給量は前年比2.0減の207.2トンとなろう。南アの売却量が前年比21トン減の162.4トンになると予想されるが、これは、安全性を考慮した操業休止、労働争議、ロンミン精錬所の建て直しのための閉鎖などが理由となって生産量が滅少していることが理由である。ロシアからの供給量は、一次生産量とほば同じ25.5トンとなろう。07年初頭には輸出免許にからむ問題でプラチナの出荷が止まったが、ロシアの生産者は今年、採掘したほとんどのプラチナを売却するものと予想される。
自動車触媒用需要は引き続き拡大
07年の自動車触媒用プラチナ需要は前年を2.3上回る131.7トンと予想されるが、これは、プラチナを触媒として使用したディーゼル微粒子フィルターの装置が進んでいること、大型ディーゼル車の後処理か世界各国で義務づけられるようになっていること、アジアで小型自動車の生産台数が拡大していること、などか理由である。その結果、プラチナをベースとする触媒の使用か戎少していること、ガソリン車向け触媒にプラチナの代替としてバラジウムの使用が拡大していること、ディーゼル車向け触媒としてバラジウムの使用が進んでいることなどにもかかわらず、自動車触媒用プラチナの使用量が拡大している。
高騰は宝飾品用需要に大きな影響は与えす
ジュエリーメーカーによる新規購入需要は前年比1.5減の49.6トンとなろう。小売在庫のリサイクルや、消費者が売却する中古ジュエリーの再利用か量的に高い水準に達し、日本や中国のメーカーからの需要のかなりの割合を満たすものと予想される。日本市場における需要は前年比1.7トン減の9.5トンになろうが、中国市場では経済が順調に拡大を続けており、消費者のプラチナに対する購買意欲も強まっているため、需要は06年比0.6トン増の243トンと予想される。
価格はさらに高水準へ
南アフリカの供給中断による需給の逼迫や、ドル安や原油と金価格の高騰に伴って、プラチナ価格は史上最高水準まで高騰した。)アジアの強い実需が1,350ドルという価格を下支えする。プラチナ市場のファンダメンタルズが予想より強く、高水準にとどまる金価格かプラチナ売買をサポートすることから、米ドル安が続けば、向こう6カ月間にプラチナ価格は1,575ドルに達することも予想される。
| ■ プラチナの供給と需要 (単位:トン) |
供
給 | | 98年 | 99年 | 00年 | 01年 | 02年 | 03年 | 04年 | 05年 | 06年 | 07年 |
南ア | 114.5 | 121.3 | 118.2 | 127.5 | 138.4 | 144.0 | 155.8 | 159.1 | 164.5 | 162.4 |
ロシア | 40.4 | 16.8 | 34.2 | 40.4 | 30.5 | 32.7 | 26.3 | 27.7 | 27.7 | 25.5 |
北米 | 8.9 | 8.4 | 8.9 | 11.2 | 12.1 | 9.2 | 12.0 | 11.4 | 10.7 | 10.5 |
その他 | 4.2 | 5.0 | 3.3 | 3.1 | 4.7 | 7.0 | 7.8 | 8.4 | 8.4 | 8.7 |
供給合計 | 168.0 | 151.5 | 164.5 | 182.3 | 185.7 | 192.8 | 201.9 | 206.6 | 211.3 | 207.2 |
用
途
別
需
用 | 自動車触媒:総量 | 56.0 | 50.1 | 58.8 | 78.4 | 80.6 | 101.7 | 108.6 | 118.1 | 128.8 | 131.7 |
回収 | -12.6 | -13.1 | -14.6 | -16.5 | -17.6 | -20.1 | -21.5 | -24.0 | -26.6 | -27.5 |
化学 | 8.7 | 10.0 | 9.2 | 9.0 | 10.1 | 10.0 | 10.1 | 10.1 | 11.8 | 12.3 |
電気 | 9.3 | 11.5 | 14.2 | 12.0 | 9.8 | 8.1 | 9.3 | 11.2 | 12.4 | 13.5 |
ガラス | 6.8 | 6.2 | 7.9 | 9.0 | 7.3 | 6.5 | 9.0 | 11.2 | 12.7 | 11.0 |
投資:スモール | 6.5 | 2.8 | 1.2 | 1.6 | 1.4 | 0.9 | 0.9 | 1.0 | 0.8 | 0.8 |
ラージ | 3.3 | 2.8 | 3.1 | 1.2 | 1.1 | 0.5 | 0.5 | -0.5 | -2.0 | 1.6 |
ジュエリー加工 | 75.6 | 89.6 | 88.0 | 80.6 | 87.7 | 78.1 | 67.2 | 61.1 | 50.4 | 49.6 |
石油 | 3.9 | 3.6 | 3.4 | 4.0 | 4.0 | 3.7 | 4.7 | 5.4 | 5.8 | 7.2 |
その他 | 9.5 | 10.4 | 11.7 | 14.5 | 16.8 | 14.6 | 14.6 | 14.7 | 15.2 | 15.2 |
需要合計 | 167.0 | 173.9 | 176.7 | 193.8 | 201.2 | 203.1 | 203.4 | 208.3 | 209.3 | 215.4 |
在庫変動 | 0.9 | -22.4 | -12.1 | -11.5 | -15.6 | -10.3 | -1.6 | -1.7 | 2.0 | -8.2 |
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(バラジウム)
07年の需要は拡大するが、供給過多は変わらす
バラシウム需要は07年に拡大に転じ、前年比4.2トン増の205.4トンとなろう。アジアの自動車メーカーの販売台数の拡大や自動車触媒におけるプラチナの代替としての利用増を受けて、自動車触媒用需要が増える。しかし、シュエリー加工用新規需要は、中国メーカーの購入量か減っていることから、前年比25以上の減少となろう。南アフリカの生産量は減少するが、ロシアか06年12月に出荷した膨大な国家備蓄か07年初頭に売却されており、ロシアからの供給は増大すると予想される。07年の供給量は258.8トンに達し、53.4トンの供給過多となろう。
自動車執媒用需要が急増
自動車メーカーによる購入量は06年比10.5トン増となり、過去6年間で最高の136.2トンに達するだろう。これは、アジアの自動車市場向けバラジウム触媒の生産量が拡大していることと、バラジウムとプラチナの価格差拡大によってバラジウム需要が増大していることが理由である。カソリン車向け触媒のプラチナの代替としてのバラジウムの利用も引き続き拡大しており、すでに、ガソリン車に搭載されているバラジウムの量はプラチナの約3倍にも達している。小型ディーゼル車向けバラジウムの使用量は、2006年の倍以上の6トン超に達すると予想される。
ジュエり一加工用新規購入量は減少
ジュエリー用バラジウムの新規購入需要は06年比7.7トン減の23.2トンと予想される。欧州や北米のメーカーがバラジウムを使ったシュエリーのテスト開発を進めていることを受けて、両地域の需要がやや拡大するだろうが、より安定した中国市場の需要は昨年の23.6トンから15.6トンヘと減るだろう。ジュエリーの生産量そのものが減少しており、新規購入需要か、リサイクル宝飾品の利用や産業スクラップから精錬されたバラジウムの購入によって相殺されている。
ファンドの動きが価格の動向を決める
大幅な供給過多によりファンダメンタルズ的サポートが弱まっており、投資家の動向や心理が再び価格変動に強い影響を与えよう。多くの投資家がバラジウムは過小評価されているとか、過去の高値と比較して低水準にあるとみていることから、向こう6カ月間に価格が320ドル割り込む可能性は極めて低い。プラチナやゴールドの価格が上昇すれば、ファンドの購入によって向こう6カ月間に価格が320ドルまで上昇することも考えられる。
| ■ パラジウムの供給と需要 (単位:トン) |
供
給 | | 98年 | 99年 | 00年 | 01年 | 02年 | 03年 | 04年 | 05年 | 06年 | 07年 |
南ア | 56.6 | 58.5 | 57.9 | 62.5 | 67.2 | 72.2 | 77.1 | 81.0 | 90.4 | 86.9 |
ロシア | 180.4 | 168.0 | 161.7 | 135.0 | 60.0 | 91.8 | 149.3 | 143.7 | 121.3 | 131.9 |
北米 | 20.5 | 19.6 | 19.8 | 26.4 | 30.8 | 29.1 | 32.2 | 28.3 | 30.6 | 31.1 |
その他 | 3.7 | 5.0 | 3.3 | 3.7 | 5.3 | 7.6 | 8.2 | 8.4 | 8.4 | 8.9 |
供給合計 | 261.3 | 250.7 | 242.6 | 227.7 | 163.3 | 200.6 | 266.9 | 261.4 | 250.7 | 258.8 |
用
途
別
需
用 | 自動車触媒:総量 | 152.1 | 182.9 | 175.4 | 158.3 | 94.9 | 107.3 | 117.9 | 120.2 | 125.7 | 136.2 |
回収 | -5.4 | -6.1 | -7.2 | -8.7 | -11.5 | -12.8 | -16.5 | -19.4 | -24.9 | -29.4 |
化学 | 7.2 | 7.5 | 7.9 | 7.8 | 7.9 | 8.2 | 9.6 | 12.9 | 13.2 | 11.0 |
歯科 | 38.3 | 34.5 | 25.5 | 22.6 | 24.4 | 25.7 | 26.4 | 25.3 | 19.3 | 19.3 |
エレクトロニクス | 64.5 | 61.9 | 67.2 | 20.8 | 23.8 | 28.0 | 28.6 | 30.2 | 33.0 | 34.2 |
ジュエリー加工 | 7.3 | 7.3 | 7.9 | 7.5 | 8.4 | 8.1 | 28.9 | 44.5 | 30.9 | 23.2 |
その他 | 3.6 | 3.4 | 1.9 | 2.0 | 2.8 | 4.4 | 9.0 | 15.0 | 4.0 | 10.9 |
需要合計 | 267.5 | 291.4 | 278.7 | 210.3 | 150.5 | 168.9 | 204.0 | 228.7 | 201.2 | 205.4 |
在庫変動 | -6.2 | -40.7 | -36.1 | 17.4 | 12.8 | 31.7 | 62.8 | 32.7 | 49.5 | 53.4 |
「Platlnum2007 Interim Review」は、」M社が行ったプラチナ族金属(プラチナ・グループ・メタルズ、PGM)の需要と供給に関する最新の市場調査の結果を取りまとめた報告書。プラチナ族金属に関するもっとも信頼できる資料との高い評価を世界中で得ているこの報告書は無料で配布されている。
英語版は、www.platnum.matthey.com/で閲覧、ダウンロードが可能。「プラチナ中間調査報告書」の日本語版全文は、田中貴金属工業株式会社のウエブサイト(http://gold.tanaka.co.jp)にてご覧いただける予定。(07年12月上旬予定)
JM社は、プラチナをはじめとするプラチナ族金属(プラチナ・グループ・メタルズ、PGM)の生産、供給、使用に関する世界的な権威。同社は主に、自動車触媒、プラチナ加工触媒、スペシャルティケミカルの製造や、プラチナ族金属の精錬、加工、マーケティンクを行っている。 |
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