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管理者のジレンマ
沼野 龍男
かつて、管理統制は管理者と部下の間の権威(服従関係〉に安住していた。しかし現在では、厳格な統制は生産性を刺激せず、むしろ制限する効果しかないことがわかっている。より高い能率、利潤、成長は、別種のアプローチを求めている。大企業の社長も、たった8人の配達者の監督者も、現代の管理者達は、威圧による統制が限られた力しか持たないことを知らされている。なぜなら、この種の統制は葛藤や無関心や抵抗を生む原因となるからだ。
人々からどうしたら最高のものが引き出せるかを知る仕事、つまり管理者は人々の動機を理解し、組織の政策が彼等にどんな効果があるかを学び、彼等と意思疎通を行う上での最良の方法を知らなければならない。
・人間は何を望み、何を恐れるか。何によって動かされ、何に無関心でいられるかについて多くの事が知られている。
・なぜある者は熱心に働き、ある者はそうではないか、何故ある管理者は高生産をうみだすが、ある者は、うまくいかないか、も理解されて来た。
・なぜある形のコミュニケーションは失敗するのに、他の形では成功するのか、もわかっている。
・革新と創造を促進したり、妨げたりするものは何か、ということも以前より明らかになってきている。
効果的な管理を助長するものは何か、考え方や態度を変えるべき者は誰かという質問を管理者にすると、ふつう彼等は、部下が変わるべきとか、上司が変わるべきとか答える。
管理者自身は、自分を変えることを考えないのである。
真のリーダーシップを身につけ様とするならば、自分自身の動機や価値観や、情緒的成熟、又一緒に働いている人々に及ぼす影響について、もっと多くの事を知る必要がある。この自己から、態度の変容が生まれ、やがて部下にも態度の改善が見られる様にかる。管理者が部下を良い士気と高い動機づけを持つ(その気になり、ヤル気満々の)チームにしたいと望み、協調的な人間関係を樹立したいと思うなら、自己理解こそビジネスの眼目である。
それ故、人を管理する者は自分をよく見直すことから始めなければならない。自分の態度を検討し、欠点や弱点を認め、それを変容していく事こそ、現代の管理者が必要とする再教育の核心である。
「自己を理解することなしに、他人を理解するのは不可能であるし、他人を理解できない者は、自分も理解できない」のである。 |