|
リスク計量できる商品先物の訴求を
「Commodities Material Warld」
英誌エコノミスト(10月20日号)にこんな見出しの記事がある。
Materialはなんと訳すべきか。
@物質のA重要で必須のB実体上の─研究社の新英和辞典を引くとこんな訳語が並んでいる。
「疾走するの石油だけではない」が内容見出しで、書き出しは次の通りだ。
「石油が今週最高値を付けたが、その原因を地政学的要因に求める傾きがある。多くはトルコ兵によるイラク北部への侵攻の可能性を指摘する。一部には金の高値も同じ要因によるとみる。だが、商品市場は単に中東事情だけでなく、もっと多様な要因の影響を受けている。原材料の価格は”スーパー・サイクル“という表現が広がるとともに広範にわたって上昇している。鋼、鉛、大豆、小麦、綿花、コーヒー、ココア、そして飼育牛と軒並み今年に入って2ケタの上昇率を記録している」
記事が指摘する上昇要因を列記してみる。
・上昇要因の一部は石油高に起因する。ガソリンの代替としてのエタノール増産はトウモロコシの作付け増を誘い、その分大豆などの減反を招き、値上がりを呼び込んだ。家畜高は飼料である穀物の高騰で説明できる。
・だが、広範にわたる商品の高値は商品セクターがヘッジファンドや未公開株とともにオルタナティプアセット(代替資産)としての訴求度向上によるところが大きい。ドットコム・バブルが崩壊して以来、投資家は株式や国債からの分散の道を強く求めてきた。この動きが商品をベースにしたETF(上場投資信託)の上場を招来、より広範な投資家の参入を容易にしバークレイズ・グローバル・インベスターズの木材価格をベースにしたファンドの登場は直近例。
人材コンサルティング会社、オプション・グループの調べによると、商品トレーダーの採用率は06年に33%上昇した。
・最近のクレジット・クランチ(信用収縮)もおそらくは商品の上昇を後押ししている。高利回り債や仕組み債などに流入していた投機資金はいま新たな拠点を求めている。また一部の商品、特に金はドル下落のへッジ先とみなされている。
・UBSのメタル・ストラテジスト、ロビン・バー氏は「商品相場は世界の経済成長が強く、供給がタイトでもよし、1970年代同様、スタグフレーション(景気停滞下のインフレ)でもよし、と片道通行ではないと投資家は感じているようだ」と述べている。
・そうした賭はもし世界経済がインフレなき景気後退となれば損失を招くことになる。だが、投資家は米国の住宅市場が抱える問題を世界経済は乗り超えるとみているようだ。ゴールドマン・サックスのストラテジスト、ピーター・オッペンハイマー氏はメタル高はBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)経済の強さが寄与しており、世界消費伸長への寄与度は米国の2倍に及ぶとしている。
・個々の商品は投機需要のせいで高下が激しい。急上昇はモメンタム(勢いにつく)投資家を引き寄せ、上昇が加速し、最終需要家が代替品を求め始めるまで上がり続ける。その時点でモメンタム投資家は徴収する。ただ、原油の投資家にとっての魅力はバックワーデーション(逆ザヤ)にあり、先物を買って、現物価格に近付くまで待ち、利を得る(ロール・イールド)ことが見込めるからだ。
◇ ◇ ◇ ◇
「だが、(上昇)のカギ的要因は供給の引き締まりである。メリル・リンチのフランシスコ・ブランチ氏は「第3四半期の日量50万バレルの供給収縮、先進経済国の4年来の低い在庫下での第4四半期入りで、1バレル100ドル相場には時間を要することはあるまいとみる。100ドル相場になれば株式市場は信頼性に関するテストに直面しよう」
エコノミスト誌の記事の結びの部分である。
記事のほぼ全訳になってしまったが、上昇要因についてほぼもれなく列記されていると考えたからだ。
で、見出しのMaterial Worldである。辞書にある@、Aを合わせて「主要原材料の世界」が素直なのかもしれない。だが、実態のつかめないサブプライムローン問題をいや気する金融商品から商品への逃避需要を重視すれば、虚ならぬ「実体の世界」と訳した方がいいのかもしれない。
記事を読んでの感想を書いてみる。
「リスクが計量できにくく、市場流動性を欠く金融商品の恐さがサブプライムローン問題で浮き彫りになり、一部商品への資金移動が生じているが、同時に開かれた商品先物市場は日々の値洗いを通じ、損得を正確につかむことができ、透明度の高い取引の場である利点を訴求する絶好の機会である」
「一方で、資金規模に物を言わせる機関投資家の振る舞いは需給に見合った価格を模索する価格発見機能に狂いを生じさせ、実体経済に悪影響を及ぼしかねない」
「エコノミスト誌で紹介されている商品を知る商品トレーダーの採用率上昇は、需給実態からかけ離れた機関投資家の暴走の歯止め役ともなりうる」
商品トレーダー候補の外務員の減員、採用減、相場妙味にもかかわらず、振るわぬ出来高、細る取組高。日本の商品先物業界は底割れの軌跡からいっかな抜け出せない。
金融商品に比べ、ここがすぐれているという点が相対的に浮上している。いわくリスクが計算しやすい。
いわく基本は需給にあり、しかもその需給は国内のインサイダー的なものでなく、世界を見渡しての広い視野からはかるものである……。
◇ ◇ ◇ ◇
プラチナ相場がまた騰勢を強めている。
マツダ、日産の日本勢自動車メーカーによるプラチナ使用量をぐんと落とした自動車触媒の開発が伝えられる一方、割安なバラジウムへのガソリン車触媒の移行などで頭打ちの様相をみせていた。
英紙ファイナンシャル・タイムスは23日付のニュース分析欄でプラチナ再騰の背景について、次のように分析している。
最大の生産国、南アでアングロ.プラチナム、ノーザム・プラチナで鉱山事故が発生、操業停止に追い込まれ、プラチナの供給不足傾向がはっきりしてきた。
英国のJM社の5月の推定では07年はやや供給過剰、それが事故減産(アングロで日産1300、ノーザムで1000トロイオンス)で供給不足必至となってきた。
トレーダーの間ではこうした南ア事情を利用し、玉締めの動きも指摘されている。
市場管理を念入りに、と相場は教えている。 |