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企業の社会的責任
沼野龍男
CSR(Corporate Social Responsidility)は1990年代以降欧米を中心にその意識が広がり日本でも定着しつつある。
 企業が利害関係人(株主、従業員、顧客、取引先など)に対して負っている社会的責任を指す。
 株主や投資家に対しては、積極的な情報公開と法令順守の徹底を、顧客に対しては、満足度の向上を。従業員に対しては社員教育の推進や労働環境の整備など。又地域社会の環境改善への貢献などである。
 この社会的責任を果たしている企業、果たす努力をしている企業が存続価値のある会社といえる。
 表面的な体裁を整えるだけ、オーナー一族の利害のみ重視する様な会社は、これからはどんどん淘汰される。

 先物取引業界にあっては、コンプライアンスの徹底がいつも指摘される。「社会的責任感」の希薄さが元凶だが、最も大切なことは「事前の説明義務」をまずはどれ程果たしたかと云うことに尽きる。
 取引員にしろ、外務員にしろ、勧誘する側(プロ側)の必要最小限の義務である。
 先物市場はプロ対プロの戦う場で、素人が参入すべきではないと云う意見が役所や有識者から発信されることが多い。
 何度云っても懲りない面々に呆れ果てた結論でもあろう。
 90年代、預かり4500億円、10万口座、委託者の支払手数料3300億円が平均値であった。10万口座の70%は1年以内で入れ替わり、手数料化率も70%を超えていた。(手数料相当分を毎年新規委託者で補充していた計算になる)

 先物取引を知らなかった人々が納得した上で、資力に応じて参加してもらう事こそが、業界存続の鍵であり、プロ対プロでの市場存続は幻想である。
 改めるべきは改め、闘うべきは闘う勇気を持ちたい。自浄作用なき組織は崩壊しても仕方ないからである。
(週刊 先物ジャーナル 910号 掲載)