安倍辞任は見切り千両
 12日、早退しての帰宅途上、中老男性の持つ号外の特大見出しで安倍首相の辞任を知った。
「よほど体調が悪いのだな」が見出しを見ての第一感想、次いで「見切り千両」という相場格言が思い浮かんだ。
 帰宅後、テレビチャンネルをぐるぐる回すが、さっぱり要領を得ない。「私が残ると障害」にという記者会見の安倍氏自身のことばが最も説得力があった。
 二番底を目指しての支持力の低下、ここは損切りにしくはなし、という判断。体調が思わしくなければ、〈政治的〉判断力も鈍る「私が残ると障害」という発言に込められた思いだったのではなかろうか。
 相場と政治の世界は大きく違うとはいえ、「見切り千両」は通じるところがある。
 日本のマスコミは無責任男というレッテル張りで足並みをそろえる。「見切り千両」の決断、それはそれで立派ではないか。
 「日本の政治、過去に回帰」
 英紙ファイナンシャル・タイムスの13日付社説の見出しである。
 「日本は非凡な統率力と政治的手腕を兼ね備え、したがって人気と持続力のある小泉氏のような指導者を要する。ただし、近代化と改革でもう少し中身と決断力のある人物を。悲しむべきことに、舞台そでにそうした人材は見当たらない」
 辛口の結語である。
 小泉氏に甘過ぎるのではないか。カリスマ性と人気をたてに、善隣外交の道を閉ざし、地方、中小企業の疲弊を招いた。安倍氏はその負の遺産を見切ったともいえよう。
 ひるがえって日本の商品先物業界。負の遺産のつけが商品取引員の破綻の形でなお回り続けている。
 負の遺産を見切れば、原油の最高値更新、金の700ドル台相場再来、小麦主導の農産物高騰、と投資・投機人気復活の環境は整っている。
(成末)