第 221回

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米良 周              
1936年、旧満州新京市生まれ60年早大第一政経学部卒、同年日本経済新聞社入社。73年商品部次長、78年編集委員を経て、94年より日経産業消費研究所首席研究員、96年日本経済新聞社退社。
 現在は先物ジャーナル社・代表取締役。
著書としては「日経商品面の読み方」(78年)「商品先物取引入門(95年)が、訳書として「金ー21世紀への展望」(88年)がある

穀物バブル?を考える
 「ロンミン、プラチナの高値予想で最高値更新」
 英紙ファイナンシャル・タイムス(FT.16日付)のマーケットのロンドン株式欄の見出しだ。
 「FTlOO(英国のブルー・チップ指数)は15日、6732.4と2000年9月5日以来の高値を付けた。先導役はプラチナ鉱山グループ、ロンミン株。モルガン・スタンレーが超強気の株価予想を示したためだ(ロンミンは15日、 4.5%高の 41.69ポンドとなったが予想値は 50.75ポンド)」
 「モルガン・スタンレーのロンミン株の推奨理由は プラチナの高値予想。現物 価格は今年1トロイオンス 1500ドルを超え、向こうは18ヵ月の間に、1800〜2000ドルに達しよう、としている」
 「プラチナを高値に誘う要因として、モルガン・スタンレーは三つの強材料をあげている。まず、6月末 で労働契約期間が切れる、南アのアングロ・プラチナ、インプラッツの両人手がストライキに突入する可能性がある点。次いで最近上場されたプラチナETF(投資信託)による押し上げ効果、さらには中国のプラチナジュエリーの婚礼需要回復見通しがある」
 「本日(19日)の立会いで、プラチナ(期近・期先)が上場来の高値更新」(東京工業品取引所のプレス・リリース)の背景だ。
 英国の調査会社、GFMS調べの06年プラチナ生産ランキング(単位1000トロイオンス)の上位5社は次の通りだ。
 アングロ・プラチナ(南ア)2506@インプラッツ(南ア)1259Cロンミン(英国) 969Cノリルスク・ニッケル(ロシア) 752Cアクエアリス・プラチナ(南ア) 304
 06年の鉱山からのプラチナ供給(GFMS推定、 700万6000トロイオンス)に占める南ア上位2社のシェアは54%。ストライキ懸念が相場を押し上げるゆえんだ。
 かつて、南ア鉱山のスト懸念は北半球の夏場の時期の年中行事だった。黒人政権下、労働者の賃上げ要求が強まる方向にあるとすれば、スト相場は復活する。
◇     ◇     ◇     ◇
 FTのマーケット面の商品欄(16日付)の見出しは「穀物、収量低下懸念で急騰」
 「小麦が今週(11〜15)の国際商品群の主役。世界小麦在庫が30年来の低下水準に落ちると見込まれているだけに生産阻害のニュースが価格に与えるインパクトは大きい。今週シカゴ小麦(7月限)は11.5%高の1ブッシェル6.08ドル。絶え間ない雨のため米産冬小麦の収量低下懸念が広がった。14日にはショート・カバー(買い戻し)がかさみ、6.1925ドルと11年振りの高値となった」
 「シカゴトウモロコシ(7月限)は今週 9.4%高の1プツシェル4.18ドル。エタノール向け需要増が上昇の主因だが、小麦高で飼料需要の一部がトウモロコシに移行するとの見方を誘った」
 「米産小麦の不作懸念のほか、ウクライナ、オーストリア、中国産小麦が降雨不足で収量に不安がつのっている」
 週刊エコノミスト(6月26日号〉の表紙には“穀物バブル”という大きな活字が踊っている。
 ・バイオ燃料と食糧での争奪戦、トケモロコシが「黄色いダイヤ」、投機マネー流入で価格急騰、食卓に押し寄せる穀物インフレ、これでもかとばかりの脇見出し。
 柴田明夫(丸紅経済研究所所長)、茅野信行(ユニパック・グレイン代表取締役〉論文など需給を踏まえた冷静な目配りがこらされてはいるが、穀物バブルの惹句はこれいかにだ。
 どこのテレビだったか。2,3週間前、穀物、油種種子高騰が幅広い食料品のコストを直撃している例をあげ、コメンテーターが、親子どん(だったと思う)も食べられなくなるとなげいていた。いつかきた道。不安心理をいたずらにあおるのは、いかがなものか。コメンテーター氏に「高いワインに美食。なんであんたが親子どんの心配をするのか」と突っ込みを入れたくなつたものだ。
◇     ◇     ◇     ◇
 FT(20日付)の一面特集「バイオ燃料の限界」からデータを抜き出してみた。
 「環境への負荷が小さく、コストも安く、しかも供給余力のある砂糖キビエタノール。あらゆる面で劣位にあるトウモロコシエタノール(石油、ディーゼルを1とした生産コストはトウモロコシエタノール 0.6〜 0.8、キビエタノール 0.3〜 0.5、バイオディーゼル 0.7〜 1.0)」
 データは食品インフレにつながる米国のトウモロコシエタノール増産テンポを緩め、”グリーン・サウジアラビア”とFTの記事が表現するブラジルのキビエタノールの輸入を増やすべし、と告げている(米国はガロン当たり54セントの関税をエタノールに課しブラジル産を締め出している)。

バイオ燃料生産(05年、石油換算、100万d)

米 国
ブラジル
E U
インド
中 国
世 界
エタノール
7.50
81.7
0.48
0.15
0.51
17.07
バイオディーゼル
0.22
0.05
2.53
0.00
0.00
2.91
7.72
8.22
3.01
0.15
0.51
19.98

バイオ燃料の未来?(石油換算、100万d、路上輸送に締めるバイオ燃料の割合%)

米 国
ブラジル
E U
インド
中 国
2004年
(%)
6.8
(1.3)
6.4
(13.7)
2.0
(0.7)
0
-
0
-
2030年
(%)
42.9
(7.3)
23.0
(30.2)
35.6
(11.8)
4.5
(8.0)
13.0
(4.5)

環境へのインパクト

トウモロコシエタノール砂糖キビエタノールバイオディーゼル
化学燃料投入(%)
60〜80
10〜12
30〜40
CO2削減(%)
15〜20
90
40〜60
土地利用
1500〜3000
3000〜6000
700〜1300

 (週刊 先物ジャーナル 07年6月25日 第 895 掲載)