平成19年 6月11日(月)(毎週月曜日発行)第893号
        発行所 有限会社 先物ジャーナル社
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日商協、「苦情・紛争レポート」を作成 苦情件数は減少、問題は不当勧誘
◇“先物寸言”余裕資金が孤域落日救う
◇“訳書を語る”市場の成功者たちの内幕物語
◆金融取、5月の出来高「くりっく365」記録更新
◆JCFA、商品ファンド運用成績
◆人事異動 ・日本商品先物取引協会


    日商協、「苦情・紛争レポート」を作成
    苦情件数は減少、問題は不当勧誘
 日本商品先物取引協会は、苦情・紛争の処理状況を整理・分析した「平成18年度苦情・紛争レポート」(A4版、41項)を作成、公表した。
 同レポートは日商協が発足して以来、8年間の苦情や紛争(あっせん・調停)の解決をまとめたもので、その内容を具体的に知ることはこれからの経営、営業活動の一助になろう。
 2年前の改正商品取引所法で、再勧誘の禁止、適合性の原則が法定化され、委託者保護が前面に打ち出された。こうした傾向は社会全般にいえることで、あらゆる業界で消費者保護や投資家保護が強化されている。不祥事が発覚した企業トップが異口同音に「これからはコンプライアンスを徹底し…」と語っていたのが記憶に新しい。
 コンプライアンス、つまりは法令順守のこと。法律は守るためにあり、守って当たり前で自慢することではないが、コンプライアンス重視の姿勢が末端まで浸透してくれば、それだけで次元の低いクレームは無くなる筈である。
 先物業界の紛議もこの2、3年減少傾向を続けている。
@総体的には減少
 日協商発足当時(99年)は 503件あった苦情件数が06年には 171件に66%減少した。問い合わせ件数は99年の 6,652件から01年には 8,221件に増えたが、その後は毎年減少し06年は 3,904件、ピーク時からは52.5%減となつている。
 あっせん(苦情経由を含む)は当初25件から04年まで増加傾向をみせ、04年には 250件に膨らんだ。その後、減少し05年には 208件、06年は 140件であつた。
 商品先物取引はハイリスク、ハイリターンの世界である。商品そのものを買う(売る)というよりも値段のやり取りで、高いと思えば買い、安いと思えば売る「相場」が相手。相場には損がつきものであるから、紛議ゼロは理想としても現実的には難しい問題といえる。
 さらなる紛議減少(極力ゼロに近づける)には、さらなる企業努力が求められる。その指針となつているのが、昨年12月に日商協が策定した「アクションプログラム」(コンプライアンス体制の整備、外務員の資質向上など)の徹底であろう。
A苦情の中身に変化
 法令噸守を徹底すれば、確かに紛議はなくなる(少なくとも減る〉が、最近の苦情の内容をみると、かなり難しい問題が潜んでいると思えてならない。
 かつては準則通りに顧客管理していれば、大した問題は起きなかった。出金は4営業日後、追証は翌日正午までに入金ないものは手仕舞いする。仕切回避(拒否)や無断売買、ましてや足(預託証拠金以上の揖失)を出すことは外務員の三悪だといわれた時代もある。
 当然、会社も担当外務員も証拠金管理には神経を便っていたと思う。
 02年に 199件あった返還遅延は03年に 127件に微減した後、一気に大幅減少し04年12件、05年3件、そして06年に初めて00件となった。
 これに該当する取引員は02年が10社、03年8社であったことから特定の社に限定していたことが分かる。業界イメージを著しく悪化させてきた問題が解決できたことは大きな進歩である。
 返還遅延とセットで考えなければならないのが仕切回避だと思うのだが、こちらは大きな変化が見られない。件数も03年の37件を例外として、毎年20件台の苦情が起きている。
 かかわった取引員も20社前後で、無断売買の苦情と似た傾向をみせている。
 これらは商いに絡んだ問題であり、言葉通りに受け止めれば「無断売買」はあってはならないこと。「仕切回避」には相場の局面でのやり取りのあと、結果的に損失が拡大したときに起こりやすい。「落としてくれない」が頻繁にあるなら営業姿勢に問題ありだが、結果論での異議申立には担当者も納得できないのではないか。直近の例では06年の申出21件に射し17社が関与、1社当り 1、2件である。
 以前、取引員の管理担当役員は「返還遅延よりも、もっと悪質なのが仕切拒否だよ。許せない」とトラブル解決の苦労の一端を語っていたことを思い出す。この仕切回避が仕切拒否に近いとすれば問題になる。
 さて、最近の苦情申立で一番多いのが「不当勧誘」だ。全体の60%近くを占める。該当する取引員もこの3年間40社を越えている。不当勧誘の中身だが、一番多いのが「執拗な勧誘」で、次いで「断定的判断の提供」となっている。
 ネット取引が普及したとはいえ、会社の根幹を支えているのは対面営業の外務員である。再勧誘が禁止されて外務員の活動は、自づと大きな制約を受けている。断られた時から営業が始まるといわれた営業マン心得は、今や時代の異物になつてしまったのだろうか。営菜の原点は変わらないとするならば、先ず多くのファン{先物愛好家)を育てることが大事。時間もかかるし金もかかる。それでも紛議に要するコストを考えれば安い。
(高橋)
・苦情の内訳
項 目 
2002年度
2003年度
2004年度
2005年度
2006年度
苦情件数
349
312
191
219
171
 会員総数(期首)
105社
100社
97V社
96社
91社
 苦情申出対象会員
57社
57社
59社
60社
49社
 10件以上の会員
4社
4社
3社
4社
2社
 5〜9件の会員
5社
8社
8社
13社
10社
 4件未満の会員
48社
45社
48社
43社
37社
申出事由
 
 
 
 
 
 不当勧誘
66
68
83
110
101
 一任売買
1
1
4
18
11
 無断売買
29
33
26
21
14
 過当売買
0
11
9
16
5
 仕切回避
29
37
24
25
21
 返還遅延
199
127
12
3
0
 連絡不備
2
1
3
2
1
 その他
23
34
30
24
18
・不当勧誘の具体的内容
年 度
2002年度
2003年度
2004年度
2005年度
2006年度
不当勧誘受付件数
66
68
83
110
101
執拗な勧誘
6
5
10
23
24
断定的判断の提供
7
5
11
11
18
虚偽の証明(枠とり等)
18
14
18
18
12
融資の斡旋・借入の奨励
5
4
3
17
11
不適格者への勧誘
15
21
15
15
8
迷惑電話
1
8
12
13
8
仮名借名口座による取引
2
0
0
1
8
説明の欠如
1
1
4
4
5
その他
5
2
2
0
3
元本保証
1
6
4
1
2
建玉先行
2
1
4
3
1
両建の強要
1
0
0
0
1
事前交付書面の不交付又は
内容を見ないでよい等の言動
1
1
0
2
0
損失負担
0
0
0
2
0
約諾書の未徴収
1
0
0
0
0
相場観の押しつけ
0
0
0
0
0

 (2007年6月11日―第893号)