平成19年 4月2日(月)(毎週月曜日発行)第884号
        発行所 有限会社 先物ジャーナル社
        発行人・米良 周 編集人・小島 栄一
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◇金融取・斎藤社長インタビュー
 くりっく急成長の秘密と国内デリバティブ市場の未来像
◇“めらり目”ICEのCBOT買収話しで考える
◆アイメックスが違約 東京地裁が破産手続開始
◆小林洋行3支店を廃止 5営業拠点体制に移行
◆小林洋行CTA売却 譲渡先は代表は西村今朝男氏
◆アストマックス 物産Fの株式取得を延期
◆大洸HG新社長に間瀬氏 石川氏は会長に
◆物産F、トランスファー 明治物産に43委託者


金融取・斎藤社長インタビュー
くりっく急成長の秘密と国内デリバティブ市場の未来像
  
 取引所版の為替証拠金(FX)取引「くりっく365」がめざましい成長を遂げている。この1年を振り返ると、7通貨ペア合計の1日平均取引量は2万9000枚から9万枚へと3倍以上に急成長した。そのくりっく市場を擁する東京金融先物取引所の齋藤次郎社長にくりっくの発展の秘密と今後の展開、そして国内デリバティブ市場の未来像を聞いた。           (小島栄一)
  
▽くりっく市場の成長を自己評価すると何点に相当しますか。
齋藤次郎社長:予想以上の伸びです。当初は上場後5年目で1日5万枚を想定して事業計画のモデルを作りました。最初の2年間は赤字だろうと。そこから考えると自己採点は高くしていいでしょう。しかしFX市場全体が弊所を含め非常に伸びていますから、一方的に百点満点とはいきません。また解決しなければならない課題もあります。おおむね満足のいく出来だということですね。
▽今後、何年間で何万枚にしたいといった数値目標はたてていますか。
齋藤:平成十八年度の1日平均取引数量は6万枚程度です。いま平成十九年度の事業計画を作りつつありますが、当面の目標は控えめにしています。ですが、もっと伸びなくてはならないし、伸ばしていきたいと思っています。
 最大の課題はFX市場全体に占める弊所のシェアの拡大です。いまはおよそ7?8%。少なくとも10%を超えるようにしたいと個人的には考えています。
 ですがFX取引は本当に規制の厳しい市場です。例えば電話勧誘ができません。このため取引の周知徹底が難しいのです。くりっくの商品性には自信がありますが、しかしそれが社会に浸透し、シェア拡大につながるか否か、決定的なことは申し上げられません。
 もうひとつ、売買・清算システムの問題があります。もともと控えめな投資でスタートしましたが、いまの予想以上の伸びを前提に、大幅な投資をして来年の夏ごろには新システムを稼働させます。そのシステムはいろいろな意味で強固です。来年夏以降は取引を順調に伸ばし、シェアを拡大して、より大きな発展、そして攻勢に出られることを期待しています。
▽新システムの特徴を教えて下さい。
齋藤:新システムでは取引通貨ペアを相当数増やすことができます。それにクロス・カレンシー取引や決済建玉の指定も可能になります。OTC市場でできることはすべて可能にする技術を構築しますから、投資商品としての魅力が高まります。取引通貨の追加上場ではアジア通貨を考えています。具体的にどこの国の通貨と言える段階にはありませんが、個人投資家の皆さんに、いま以上に喜んでいただける市場作りを目指しています。
▽ところで先の金融審議会や産業構造審議会では、日本のデリバティブ市場の将来を考える上で、既存の市場の枠組みを越えた振興が必要だといった声が出始めています。
齋藤:デリバティブ取引、特に金融デリバティブ取引はシカゴ、ドイツ、ロンドン、パリなどと世界的に沸騰しています。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)は、過去10年間で出来高を10倍程に増やしたのがその一例です。しかし日本はデリバティブ取引、とりわけ金融デリバティブ取引が遅れています。理由のひとつには、金利の死んだような状態が10年近く続いた現実があります。そのため金融機関の経営が悪化し、海外に築いた拠点を一斉に撤退させなくてはなりませんでした。日本ではデリバティブ取引に対する感度が低いのです。
 また世界的には金融市場の再編が起こっていますが、その中でも日本は絶海の孤島に立たされています。しかし日本も大きな金融市場です。世界で巻き起こっている大波がいずれ押し寄せてくるに違いないとの危機感が金融庁にはありますし、経産省も農水省も同様のはずです。ですから各所で既存の枠組みを超えた市場の再編議論が出始めたということでしょう。
 弊所は日本の金融デリバティブの最先端に位置する取引所です。ですからこうした議論の影響を最も大きく受けます。その意味で将来に向けての発展の可能性が大きな取引所であるとも考えています。
 一方で経産省と農水省が所管している商品先物市場は、規制の強化を経て取引数量が低迷し、いま、極めて厳しい状況に立たされています。米国の商品先物市場がやはりここ数年で大きく伸びたのに比べると、日本は立ち遅れています。産構審はそういう危機感の現れでしょう。
▽日本のデリバティブ市場の最終形についてどのようなイメージをお持ちですか。
齋藤:極端な形では、日本の取引所がひとつに統合されるということでしょう。その取引所が日本市場全体を支配し、その中でさまざまな取引が行われるのが、理論形としてあります。
 もうひとつは現在のような形で、主として東証は現物市場、大証は証券デリバティブ市場、弊所は金融デリバティブ市場、工業品取引所は工業品の先物市場、穀物取引所は農産品の先物市場という具合です。しかし互いが切磋琢磨しあい、競り合って良いところを出し合い、それに伴って全体が大きな市場に成長する。要するに、国内にいろいろな市場があって、それに対する内外の投資を呼び込めればいいわけですから、二つ目の形も想定されます。
 また可能性としてその中間もあるでしょう。国内取引所はいろいろな形を想定し得るが、市場の性格で異なるということです。商品先物市場は最大の東京工業品取引所を中心とした動きがあるかもしれません。証券取引所は大証や名証が、東証のもとに一緒になることさえあり得ます。大証は証券デリバティブ市場で独自の世界を築きつつありますから、独立を維持するかもしれません。
 ただ金融デリバティブ市場は弊所だけです。ですから弊所はどこかの取引所と合従連衡する必要はまるでありません。

 (2007年4月2日―第884号)