
「取引所─未来をのぞく」─買収合戦、金融市場の儲かる一角に脚光
英誌エコノミスト誌(3月24日号)にこんな見出しの記事が載っている。
「先物産業はその名にもかかわらず、株式市場に比べ多少遅れた存在とみられてきた。大男たちの大声に包まれた喧騒の場で原油や豚肉の将来の価格に賭けるといった印象を持たれていた。が、いまや"先物"はもっとぴったりした記述がふさわしい。何兆ドルという額が通常エレクトリニクス化された市場になだれを打ち、通貨の変動から天候のうつろいまでをヘッジする場。株式よりさらに多様で、創造的かつ儲かる、とあって世界の大投資家たちの関心を引き寄せている」
書き出し部分である。記事を要約してみる。
・世界の先物取引所の中でも主要な一員であるシカゴ・ボード・オブ・トレード(CBOT)をめぐってシカゴ・マーカンタイル・エクスチェンジ(CME)が89億ドルで買収をはかれば、新進取引所でオールエレクトロニクロ化のインターコンチネンタル・エクスチェンジ(ICE)が99億ドルの買値を付け、CBOTの市場価格は上昇している。
・ICEはロンドンのインターナショナル・ペトロリアム・エクスチェンジとニューヨーク・ボード・オブ・トレードを手中に収め、石油、ガスからコーヒー、ココアに至る上場商品がそろい、株主はゴールドマン・サックスからBPに至る。先物専門のニューズレターを発行するジョン・ロシアン氏は「ICEの参入は巨大取引所の要塞作りより、取引所間の競争的環境を招くうえで望ましい」としICEに軍配を上げている(CMEとCBOTの合併ともなれば米国の先物取引に占めるシェアは85%に及び、反トラストの立場から規制当局も目を光らす)。
・合併の行方がどうなろうと先物取引には明らかにカネが埋まっている。ヘッジファンドを含む活発な投資家のおかげだ。彼らは複合的なマルチアセット(多重的資産)を考え出し、国境を越えた取引を進める。仮に特定の取引所でボタンを押すだけで取引できるなら、さらに好ましい。ニューヨーク株式取引所がユーロネクストとの合併を進めている理由のひとつはユーロネクストのLiffe市場を通じ、先物を手中に収めることにある。
・人気商品のおかげで先物取引所は参入の障害が高い。株式市場の新設は先物取引所に比べるとたやすい。新参組や地方取引所は大取引所から株式取引の一部を奪うことは可能だ。先物取引は最初に上場した取引所に商いが集中するのがつね。先物取引所が株式取引所より高値にあるのは強い競争が働かないためだ。