平成19年 3月19日(月)(毎週月曜日発行)第882号
        発行所 有限会社 先物ジャーナル社
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◇産構審、商品先物市場は国際水準の競争力確保を
 委託者保護と市場育成のタイムリミット
◇“めらの目”出でよ「職業的玄人」
◆“先物寸言”市場の悲鳴を聞け
◆第一商品、Hでお詫び あしたば合併が遠因と説明
◆ひまわりCX 携帯投資家のストレス解消
◆先物協会臨時総会 19年予納単価は2円50銭
◆岡藤商事「会社情報」記事 減配は事実と異なる記載
◆日商協臨時総会 19年予納単価は5割増
◆東穀取、とうもろこし 取引単位引き下げを承認 定率会費は70円据え置き
◆東穀市況調査会 エタノール政策で講演会


産構審、商品先物市場は国際水準の競争力確保を
委託者保護と市場育成のタイムリミット

 経済産業省は14日に産業構造審議会商品取引所分科会(分科会長=尾崎安央早稲田大学大学院法務研究科教授)を開催し、平成16年と同18年の2回にわたり実施された商品取引所法の改正について現況を報告すると同時に、参加委員の意見を聴取した。
 冒頭、経済産業省の松井英生商務流通審議官は「世界の金融市場は極めてダイナミックに動いている」と商品先物取引を取り巻く世界的な環境を説明。その上で日本の商品先物市場とその参加者は世界の動きに合わせてビジネスモデルを構築する必要があると提起し、直近2回の法改正では「今の世の中の動きに十分だとは思わない」と、さらなる法改正の示唆ともとれる発言をした。
 同様に、その後の審議では複数の委員から国内商品先物市場の「世界の中でのローカル市場化」を危惧する声が上がった。ニューヨーク、ロンドンなどの市場を有する先進各国と、中国などアジアの新興勢力の成長速度に追いつけない日本は、早急に次世代の商品取引所づくりに着手すべきとするのが代表的な意見だ。
 尾崎分科会長は今回の審議では、委託者保護の問題と商品先物市場育成のための時間軸の問題が提起されたと総評。この2つの問題を「どう調和させていくかが主務省の仕事」とした。
  
【解 説】
 直近2回の法改正のレヴューを主目的に開催された分科会だが、話の流れは「東京市場の国際的競争力獲得の必要性」が支配した。
 共通認識としてあるのは、『商品の時代』を謳歌し成長を続ける海外市場と、その逆に不振から脱却できないでいる国内市場の彼我の差だ。主務省は商品先物市場を『経済インフラ』と位置づける以上、この格差の広がりを看過できないはずだし、それ以上のあせりが市場ユーザーにもある。
 口火を切ったのは住友商事金融事業本部コモディティビジネス部長の高井裕之委員だった。同氏は、オルタナティブ投資の世界的な拡大と商品先物市場の関連性を説明。消費者代表委員の「商品先物の資産運用機能はやめてしまえばいい」とする意見に対して「皆さんの年金も周り回って商品先物市場で運用されている」との現実を述べた。
 また同氏は、日本人の年金を含むそのオルタナティブ運用の大半は、外国人のファンドマネージャーが海外の市場で行っていると指摘。日本人が日本人の資金運用を国内商品市場でするためには市場の利便性の向上や法的な改善が必要だと語った。
 さらに国内市場が国際競争力を持たなければ、新興の中国市場に、日本がアジア時間帯に存在する優位性を奪われるとし、現状を放置すれば「石油や金属の価格が上海で決まるという時代が5年後には来てしまう」と危機感を募らせた。
 これを受けた慶應大学経済学部教授の池尾和人委員は「日本は経済力に見合っただけのしっかりした商品先物市場が必要」と述べ、そのために金融審議会など別の政府主催の会議でも商品先物取引の議論をしているし、今後も「大いに議論したい」と意欲を示した。
 この池尾委員の意見が、現実のものとなる可能性は高いと思える。あるいは実際に動き出していると考えるべきか。そうした場合、商品先物取引に係る議論は必然的に商品先物業界だけのものではなく、金融業界や広く経済界を含む議論に拡大していく。蛎殻町の論理は次第に薄まっていくこということだ。
 また同委員には「しっかりとした取引所」の直接的な参加者は「プロを主体とするべき」との考えがある。「本当の意味で」価格発見機能で世界をリードできる市場は「プロが投資技術の粋を駆使して取引するF1レースのような場」でなければならないと考えているからだ。その際、個人投資家は「ファンドなど集団投資スキームを経由して(商品先物市場に)入るのが自然」と言うのだ。
 モルガン・スタンレー証券会長の堀田健介委員は、「唯一の外資があえて挑戦的な言い方をする」と断った上で「東京市場はどんどんローカル市場になっていく」との意見を述べた。その理由として同氏は国内市場の低迷に言及し、「当業者や市場参加者が不便だという意識があるから」だとした。
 その不便を改善する具体策が?取引時間の延長、@上場商品の拡大・多様化、A商品設計の改良、B電子システムの改良(速度、安全性)Cなど、世界のデリバティブ市場が検討していることだと言う。
 加えて商品先物と金融商品を「ラップする複合的な取引」を認める必要を提案した。例えば上場投信のような商品がそれにあたる。そして同委員は「次の商品取引所を育成するインフラづくりが重要」と締めくくった。
 既存の商品取引所とその会員で構成する現在の商品先物業界は、数年後にはまったく違う顔を持つようになっているかも知れない。それが「現在の業界人」にとってメリットかデメリットなのかは予測がつかない。
(小島栄一)

 (2007年3月19日―第882号)