東京金融先物取引所(金融取)の斉藤次郎社長は22日、為替証拠金取引くりっく365の取引システムを「わが国最先端の次世代バージョンにアップグレードする」と述べた。稼働目標は来年夏頃。開発費と5年間の運用費は約85億円を見積もっており、11社の取引参加者の合意も得ているという。また金利先物取引では取引時間を拡大、同オプション取引では定率手数料(会費)の引き下げとマーケットメーカ制度の再開といった活性化策を講じる。こうした一連の積極的な施策の背景には取引量の急速な拡大がある。
規制法不在で取引事故が頻発していた為替証拠金取引を金融取が上場したのは一昨年7月。同年の取引量(7通貨ペア合計)は1日平均1万5775枚、年末の建玉数は6万6149枚。しかし昨年は月を追うごとに取引量が増加。1日平均取引量は3倍に、建玉も 2.5倍にふくらんだ。上場時には「2年間は赤字を覚悟していた」(斉藤社長)が、いまや「ウチの主力商品」に成長した。斉藤社長に「野心的とも言える投資」を決断させた理由だ。
昨年は、円安がくりっくにとっての追い風になったきらいはある。個人投資家は取引を外国通貨の買いから始める傾向が強い。従って差益を享受し、それがポジションの維持と新たな投資に向かわせたとの分析だ。
もちろんスプレッドの小ささという金融商品としての優位性も見逃せない。それも含め斉藤社長は「認知度の向上」を取引増の理由に挙げる。

直近3カ月の1日平均取引量は約6万枚。4〜5年内には「9万とか10万になる」と強気の読みがある。システム機能の向上とアジア通貨を含む通貨ペアの増加、クロスカレンシーの上場、反対売買玉の指定機能導入などを、さらなる成長の糧としたい考えだ。
長く低迷を余儀なくされていたユーロ円金利先物の復活も金融取に活力をもたらした。06年の出来高 315万枚は前年の3倍。直接的には日本銀行のゼロ金利政策解除が効いた。
しかし03年に取引システムとして導入したLIFFEコネクトが布石として効いていることは見逃せない。ユーロネクストLIFFE開発の同システムは欧州の金融市場では事実上の標準システムとして認知済み。このため世界の機関投資家が違和感なく金融取で取引できる。
同市場では2月5日からロンドンの午前中をカバーできる午後8時まで取引時間を延長し、海外投資家のいっそうの参入を促すこととしている。