《つまり、商品にはヘッジファンドのような短期的資金だけでなく、年金基金に代表されるような中長期の投資家の資金も流入している。このことを考えれば、「商品の時代」がしばらく継続するだろうという見方にも頷ける。
別の観点からみれば、金融市場が紙切れ(=紙幣)から実物資産(=商品)に向かっている、という変化が進行中であるともいえる。
石油価格が上昇するということは、石油に対するお金の価値が下がっている、ということに他ならないからである。それは経済学でいえばインフレを意味するが、現実社会に即していえば、抽象的なお金よりも具体的な実物が選好される時代が到来した、ということになろうか。「貯蓄の時代から投資の時代へ」というコンテクストは、お金を安全に保持することからいかにお金を殖やすかに座標転換することを迫るものだが、商品市場の活況は、そのためには有価証券から実物資産へという、さらにもうひとつの価値観転換までも要求しているのかもしれない。》
「世界がわかる現代マネー6つの視点」(倉都康行著、ちくま新書)の「商品市場とマネーの接近」と題する項から一部引用した。
広がる金の投資手段の表をみていただく。特に金ETF(上場投資信託)は06年夏、秋の金急落局面でも現物換算で 500トン台を維持した。その規模は地金退蔵投資 185トンを大きく上回り、欧米の推定投資量 637トンにあと一歩とせまっている(退蔵投資、推定投資は英国の調査会社GFMSの06年推定値)、金ETFに触発される形で米国ではETFの銀、原油版も登場した。ETFに加え、インデックス(商品指数)投資も拡大している。
商品版ETF、インデックス投資の2つは中長期投資を主軸とする年金基金に適した投資手段といえよう。
英大手スーパーのセンズベリーの年金基金が約20億ポンドの運用額のうち5%程度を商品に投入することを決め、米国最大の公的年金基金であるカルパース(カリフォルニア州職員退職年金基金)は約2000億ドルの運用資産の一部を商品に向けることを表明している。
06年はアセット・クラス(資産の分類)として商品が1970年代、1980年代に次いで再認知された年と評することができよう。