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上場商品は血と汗と涙の固まり
先物取引所は血と汗と涙を研究と開発に注ぐ。
英紙ファイナンシャル・タイムス(FT、11月27日付)の投書欄の見出し。
「証券取引と先物取引を比較するのはリンゴとオレンジを比べるようなものだ。先物取引は研究と開発に費用がかかる。規制当局の広範な評価プロセスを経て、市場のニーズを掘り起こしていく。証券は単に企業が資金を調達するためのもので、証券取引所は上場のための研究、開発を要しない。単に取引を集中するための場だ」
「先物取引所は血と汗と涙を研究と開発、上場商品のマーケティングに注ぐ。証券取引所は単に株式を上場し、取引するにはベストの場だと売り込む。先物取引所は上場商品を売り込む。両者を比較するのは無意味で、それぞれ独自に取引され、その目的も異なる」
投稿者はシカゴ・マーカンタイル・エクスチェンジのボードメンバー(1999〜01年)、ジェフリー・R・カーター氏。
かつて日本では合板上場に心血を注いだ男たちがいた(結局どたん場で上場ならず)。アルミ上場のため、退社して各方面への説得工作に動き回った男(故小泉良氏)がいた。いまはなき福岡商品取引所ではブロイラー上場への熱い思いがたぎっていた。
血と汗と涙の物語は日本にも通じる。だが、アルミは出来高がぱっとせず、ブロイラーは実質商いゼロ。ブロイラーは一時活況にわき、福岡のドル箱商品を目ざしたが、受け渡しの事故(にせブランド事件)を契機に人気は退潮の一路をたどった。
株式に比べ商品は銘柄数が少ない点、投資家が参入しやすい、との意見も聞く。
そうだろうか。幅広い商品の品ぞろえの中から投資家が身の丈に合った商品を選択していく。商品先物も同じことだといえよう。
出来高不振の長いトンネルの中にいるいまこそ、新規上場商品の研究、開発に力を入れるべきだと思う。トンネルの先には商品が欧米並みに資産運用の多様化、分散の受け皿になる日が待っているはずだ。
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《そもそも近代化とは、例えば横浜で生糸相場が高騰したことを逸早く聞きつけ、1時間でも早く現物をもちこむ、というまさに「時は金なり」で成立したのである。
厚顔無恥にも「一分二分の遅れを問題にするのは世界中で日本だけだ」と主張するテレビ・コメンテーターが、確認できただけでも5人もいた。あなたが出ているテレビは、10分の1秒単位で運営されているのではないか?》
すぐに稼げる文章術(日垣隆、幻冬舎新書)の一節だ。
引用するときは、カギカッコの形を「」から『』に替えないほうが良いと思います。引用するときは「」ではなく《》でくくるようにしています。著者の引用は一字一句正確に、という考え方に沿って《》方式に切り替えてみた。
引用した部分はJR福知山線の事故(05年)に関した日垣氏自身の文章の一部。
近代化の先兵商品は確かに生糸だった。横浜の現物市場を目ざして生糸は集まり、散じていった。先物市場ができてからは現物を持ち込む時間的ゆとりも生じ、集散機能もより働きやすくなったはずだ。だが、先物市場が誕生後も「時間はカネなり」は踏襲されている。
稼げる文章を書く参考として購読したが、引用部分は市場論としても読むことができよう。
同じく幻冬舎新書の「大人のための嘘のたしなみ」(白川道)
《読者のみなさんは「小豆相場は怖い」という言葉を聞いたことがあるだろうか。この言葉には誤解があり、「小豆相場」は怖くも何ともなく、むしろ必要なものなのだ。「小豆相場を生業にして金儲けしている奴らが恐い」というのが正確な表現だ。
先物取引相場自体が設けられた目的は、農産物の安定供給と農家の保護にあった。それは必要なシステムと言える。なぜか?自然を相手にする農家が最も困るのは、農産物の相場の上げ下げからだ。このシステムがないと、肥料などの投資をしても収穫する時点でのコストが何も計算できないことになる。実際にかけた金よりも安値になってしまえば、農家の儲けはなにもない。だからこそ相場も見ながら、「ではこの作物をその期日にその価格で渡します」という約束をする。そうすることによって生産者側は安定した供給ができるようになる。》
「先物取引業界は嘘の巣窟だった」という見出しの文章の一部を引用した。大卆後、博打で借金まみれになって、その返済のため先物取引の会社に勤めるとある。メーカー3カ月、広告代理店4年を経ての転職だから1972年前後のことだろうか。
ただしここで説明する内容は、私が先物取引に携わっていた頃の話であり、現在の状況がどうなっているかは知らない。こんな注釈がパーレンでくくられているが、それにしても当時の先物業界の非道さを徹底して書いている。
負の遺産の重さをこの本でも知る。
《システムに問題がないのと同様に相場自体にも問題はない。キチンと気候などを調べていけば、相場もある程度の上げ下げは予測できるだろう。「今年は気候が悪く生育が悪い」と判断すれば、値上がりを予測して買えばいい。相場の上げ下げも相場である以上は仕方がないものだ。では何が恐いのか?その相場と一般人を取り次ぐ業者に問題があるのだ。仲介業者が悪いとグチャグチャになるのは目に見えている。》
システム、相場に問題はない点を改めてアピールすべし、という提案と受け止めたい。 |