東京穀物商品取引所の森實孝郎理事長は20日に開いた『新システム等に関する懇談会』で、既存商品の売買仕法を順次ザラバ取引に移行する考えを提起した。懇談会の参加委員も異論を唱えなかった。具体的には、来年10月以降にコーヒー(アラビカ・ロブスタ)と砂糖(粗糖)の3品目を、次いで再来年の4月以降に主力のとうもろこしをザラバに移行する。また森實理事長は「次世代のシステム構築」にも言及。利用者の利便性と負担軽減の観点から「少なくとも商品取引所間ではシステムの統合が望ましい」とし、東京工業品取引所などの取引所と取引員団体と「共同で検討を行いたい」との構想を打ち出している。
商品先物業界の今後の大きな方向性を打ち出した「森實提案」は12月開催予定の理事会でも承認されると見るのが自然だ。懇談会の参加委員名は公表されていない。しかし「理事会メンバーをカバーする顔ぶれ」(東穀取)だからだ。
このため一部商品のザラバ化と、それに伴う市場管理上の規則等の作成は来月の理事会で「決められるものから決めていく」(窪田武専務理事)流れだ。
そもそもコメ先物の不認可に端を発する今回の売買仕法に絡む議論は、半年以上が経っても出口が見えない状況にあった。森實提案は「そろそろ議論を集約してほしいとの会員の声を受けて」のものだ。
| ◆ 東穀取の売買仕法に係るアンケートの結果 |
問 本所の現在の上場商品の売買仕法について、今後どのようにすべきとお考えでしょうか。次の選択肢から1つを選択して、○を付けてください
(a)全商品をザラバ仕法とする。
(b)全商品を板寄せ仕法とする。
(c)一部商品をザラバ仕法、他の商品は板寄せ仕法の二本建てとする。
(d)将来的には全商品ザラバ仕法とすることが望ましいが、当面は一部商品をザラバ仕法、他の商品は板寄せ仕法とする。
回答結果
| 項 目 | 会員数 | 百分比 |
会員数比率 | 売買高比率 |
(a) | 19社 | 26.8% | 32.6% |
(b) | 18社 | 25.3% | 10.7% |
(c) | 7社 | 9.9% | 6.7% |
(d) | 27社 | 38.0% | 49.9% |
小 計 | 71社 | (100%) | (100%) |
態度保留 | 1社 | 売買高比率は、平成17年4月〜同18年10月の売買合計で算出。 |
合 計 | 72社 |
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その森實提案のバックボーンとなったのが、東穀取が全受託会員と売買会員の計72社に対して実施した「売買仕法に係るアンケート依頼」の結果だ。
「全商品板寄せ」を選択したのは18社。一方、対極の意見である「全商品ザラバ」も19社と数的にはほぼ拮抗している。しかし「二本建て」と「将来的には全商品ザラバ、当面二本建て」の2つの意見を、実質的な「ザラバ容認」と受け止めれば総数の約75%、4社に3社がザラバ取引を受容したと考えられる。
森實提案は売買仕法について、まず「資本市場の国際化進展とボーダレス化に対応し、商品先物市場における資金の流動性を図るためにはザラバ取引の導入が必要」と説明。しかし板寄せは、東穀取の長い歴史の中で育成され「取引員や一般委託者にも多くの支持者があり、東穀取の同一性(アイデンティティ)を形成しているのも事実」と評価した。このため「当面の対応策」として「国際性の高い商品から逐次ザラバ仕法への移行」を選択した。
予定ではまずコーヒーと砂糖、次いでとうもろこしの順でザラバ化する。もちろん大豆も「高度に国際性が高い」が、主力のNon-GMO大豆は遺伝子に人為的操作をしていないことに由来する「特殊な日本的需要」に支えられているため、今後の動向を見極めながら扱いを決めるとしている。
また「東穀のザラバ仕法」では(1)前・後場の寄付の板合わせの運用、(2)相場操縦の見せ玉、(3)日計り商いの大量発注や取り消し、(4)1日の立会中の価格乱高下、など市場管理上の問題点が指摘されている事柄については、「必要かつ可能なものから」具体的な対応策を定める方針。その際には「国際的な動向や東工取との連携を十分念頭に置く必要があるとも考えている」との配慮を示した。