穀物インフレ
黄色の大きな活字が表紙で踊る。週刊エコノミスト(11月28日号)を購入した。サブタイトルは「投機マネーが原油から大シフト」14ページの大特集。総論部分からポイントを抜き出してみる。
・穀物相場急上昇の直接要因は世界的な小麦の不作予想。小麦→トウモロコシ→大豆と上昇の輪が広がった。9月中旬の米ヘッジファンド、アマランス・アドバイザースの事実上の破綻(天然ガスの買い投機)がさらなる上昇を呼んだ。この破綻をきっかけに原油、非鉄金属から引き上げられた資金は国際優良株や米ドル、米国債の安全投資に向かう一方で、依然としてリスクを取るカネは穀物市場に流れ込んだ。
・穀物上昇の構図は原油、非鉄金属の上昇時とよく似ている。中国やインド、ロシア、中南米といった新興市場の経済発展に伴って需要が拡大し、需給が逼迫して値上がりする。すると投資機会の拡大を逃すまいと年金基金などが分散投資の一環として商品に注目し始める。年金資金はヘッジファンドなどの投機資金と異なり、中長期投資の特徴を持つ。一度資金を入れると、「入れっぱなし」の状態となり、価格が高止まる。
・世界の年金資産は1500兆円。その1%でも15兆円。10月中旬、世界最大の公的年金である米カルパース(カリフォルニア州職員退職年金基金)が11月13日、分散
投資の観点からエネルギーや金属、穀物などの国際商品への投資を決めたと発表した。金額は2200億ドルのうちわずか5億ドル。だが、「カルパースが商品にいくならうちも」と他の年金基金が追随するとの見方が広がっている。
特集にある市場規模比較の表をみると「穀物の市場規模があまり大きくなく、買えば素直に上がる市場」という住友商事コモディティビジネス部の佐野慶一調査・戦略チーム長のことばが実感できる。
「逆にまとまった売りを出せば、一気に相場を引き下げることもできる。穀物市場には、原油や金、銅以上に、そうした特性がある」
一年草は非鉄金属など資源と違い、高値にはおいそれと増産が効く。
07年の不作までも織り込んでいるような相場付き。当面あまりにも走り過ぎとみるのはトウモロコシ買いに出遅れた筆者のひが目だろうか。
エコノミストの特集は読みごたえがあり、お買い得と推奨させていただく。
◆ 市場規模比較 |
商品 | 市場 | 数量 |
単価
(ドル) |
市場規模
(億ドル) |
市場規模
(兆円) | 取引単位 |
|
小麦
CBOT |
現物(需給規模)
先物(取組高) |
7億トン
47万枚 |
180
4.8/ブッシェル |
1,260
113 |
14.8
1.3 |
5,000
ブッシェル |
|
トウモロコシ
CBOT |
現物(需給規模)
先物(取組高) |
8億トン
136万枚 |
138
3.5/ブッシェル |
1,104
238 |
13.0
2.8 |
5,000
ブッシェル |
|
大豆
CBOT |
現物(需給規模)
先物(取組高) |
3億トン
35万枚 |
250
6.8/ブッシェル |
750
119 |
8.8
1.4 |
5,000
ブッシェル |
|
原油
NYMEX |
現物(需給規模)
先物(取組高) |
8.450万バレル/日
115万枚 |
60/バレル
60/バレル |
18,000
690 |
212.4
8.1 |
1,000
バレル |
|
金
COMEX |
現物(需給規模)
先物(取組高) |
4,000トン
32万枚 |
20,000/キログラム
630/トロイオンス |
800
202 |
9.4
2.3 |
100
トロイオンス |
|
銅
LME |
現物(需給規模)
先物(取組高) |
1,700トン
15万枚 |
7,000
7,000 |
1,241
274 |
14.6
3.2 | 25トン |
|
米株式(S&P)
S&P500
日本株式
(TOPIX)
TOPIX |
現物(時価総額)
先物(取組高)
現物(時価総額)
先物(取組高) |
|
|
128,000
3,133
3,800
535 |
1510.4
36.9
516.9
6.3 | |