平成18年11月13日(月)(毎週月曜日発行)第866号
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  主 な 紙 面 ―
米CFTC、外国電子取引規制に柔軟対応 越境取引活発化の引き金に
◇鍋島氏の好著 文庫本で登場「日本相場師列伝」
◆“Hi IS_”経営の第1はコンプライアンス
◇“めらの目”外務員の精鋭化こそ─街並みの変化で考える
◆洸陽フューチャーズがアイメックスの清算開始
◆岡藤HD、中間業績修正 経常2億円も連結で純損


米CFTC、外国電子取引規制に柔軟対応
越境取引活発化の引き金に

 米国商品先物市場の規制当局である商品先物取引委員会(CFTC)は10月31日、米国外の先物取引所が『ダイレクト・アクセス』仕様の電子取引を介して米国居住者に上場商品の取引を提供する行為について、実質的に規制を緩和する内容の声明を発表した。同声明は、結果として国境をまたぐボーダレス取引を促進する柔軟性に富んだ規制側の対応だとして、市場関係者からは支持の声が上がっている。CFTCの方針に基づく取引は、すでに英国の取引所との間で動き出している。また各国の規制当局もCFTCに追随するとの予測も広がっており、そうした場合、相互に承認を受けた国の取引所と関係ブローカー(FCMなど)にはビジネスチャンスが広がる。一方で新たな電子取引ビジネスの連環に乗り遅れれば、拡大チャンスを逸するデメリットがある。海外の先物取引所が軒並み出来高記録を更新する中で、ひとり取り残された感がある国内商品先物市場はいずれもダイレクト・アクセスには対応していない。
  
【解 説】
 従来、海外取引所のブローカー会社が米国居住者に対し当該取引所の上場商品を勧誘する場合には、当該取引所はCFTCから、CFTCが米国内の取引所に課すのと同等の規制を受けていると認められる必要があった。その後CFTCの規制適用除外を受けるのが「パート30の除外規程」の承認で、東京穀物商品取引所は平成5年、東京工業品取引所は今年これを受けている。
 だが今回のCFTCの声明で、ダイレクト・アクセスを含む一定の要件を満たした電子取引所のブローカーは、パート30の除外規程とは関係なしに米国でのビジネスが可能になる。
 ダイレクト・アクセスでは、委託者の売買注文は、取引所の約定システムに直接接続が可能。世界のメジャーな取引所の電子取引は、多くが同方式を取り入れている。証拠金を超えた発注の規制など市場管理上の対策は、同じ注文が同時に清算ブローカーのシステムにも届けられることで、回避できる。
 いずれにせよダイレクト・アクセスが条件のひとつに盛り込まれているのは、委託者の注文をブローカーが恣意的に操作できない(フロントランニング等)ことが大きなポイントになっている。
 CFTC声明に基づくビジネス関係は、すでに「ライト原油」を上場する英国のインターコンチネンタル取引所(ICE)との間で動き出している。ICEがニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)の競合商品となるライト原油の取引を決断したのは、CFTCが1999年に電子取引に関して発した「ノー・アクション」レターが根拠にある。
 米国民が一定の条件を満たす電子取引を介して取引する場合には「規制のアクションを起こさない=ノー・アクション」のがそれ。今回は当時の声明を改めて承認する内容だが、この間にICEの原油先物の出来高は世界の原油取引シェアの3割を占めるまでに成長している。「CFTCはもはや現実を無視することができなくなっていた」とする指摘には説得力がある。
 つまり先物を含む金融取引のボーダレス化だ。かつて、といってもほんの数年前の話だが、取引所は「国内」と「国外」の線引きが明確だった。しかしITの発達と「インターネット経済」の広がりは国境の意味を希薄にしつつある。英紙ファイナンシャル・タイムスの10月31日付の記事で、アラン・グリーンスパン前FRB議長は「地理的要件に基づいて金融取引所を体系づけるのはもはや意味がなく思える。取引所は唯一、サイバースペースに存在している」とコメントをしているが、現実はまさにその方向で動き出している。この流れを元に戻すことはもちろん、あらがうことさえ不可能なようだ。
 翻って出来高低迷から脱出の糸口が見えない国内商品先物市場。「足もと」の議論と同時に、最先端への対応を検討しなければならないように思える。
(小島)


     鍋島氏の好著文庫本で登場
 本紙で『先物寸言』を連載中の鍋島高明氏(市場経済研究所代表が日経金融新聞(04年12月〜06年6月)で連載したものを一部修正、加筆した『日本相場師列伝〜栄光と挫折を分けた大勝負』が文庫版として発売された。
 明治から昭和にかけて、日本の相場史に燦然と輝く航跡を残した70人の男たちがいた。大成功を収めて巨万の富を築いた相場師の痛快談。それとは逆に、最期の最期に破滅を味わった、ヒーローになり損なった相場師の胸が痛むエピソード。
 だが改めて本書に目を通すと、後世のわれわれは最終的な成功か不成功で、その相場師を評価してないことに気づかされる。本書に描かれた相場師たちの生き様がどれほどドラマチックだったのか、心を動かされるのはその一点に集約されると言つて過言でない。
 相場に携わる人間には必携の一冊(小島)
日経ビジネス人文庫(日経新聞社刊) 750円

      (2006年11月13日―第866号)