第 201回

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米良 周            
1936年、旧満州新京市生まれ60年早大第一政経学部卒、同年日本経済新聞社入社。73年商品部次長、78年編集委員を経て、94年より日経産業消費研究所首席研究員、96年日本経済新聞社退社。
 現在は先物ジャーナル社・代表取締役。
著書としては「日経商品面の読み方」(78年)「商品先物取引入門(95年)が、訳書として「金ー21世紀への展望」(88年)がある

出でよ第二、第三の本田忠
  
「混雑がコモディティ(国際商品)の世界のバランスを奪う」
 英誌エコノミスト(10月14日号)には”ロール・オーバー“と題する記事が載っている。
 記事では米球界の名捕手、ヨギ・ベラの「あまりにも人が混み合っている場所に人は二度と行かない」ということばを引用し「個人にとって通用することは、グループには通じない」ケースを商品のインデックス(指数)投資で例示している。
「商品間の連動も高まっている。05年12月までの5年間、石油と金の相関は0.13だった、それが過去6カ月では0.64(コンサルティング会社、キャピタル・エコノミックスによる)。この変化はインフレの読みにかかる。この数週、石油は下落、インフレ懸念が後退、伝統的にインフレヘッジ財とされる金も売られた」
「が、金は非鉄金属との連動性をより強めている。投資資金のインデックス・ファンドへの流入によることを示唆する。年金基金がインデックスに投資する際、指数構成商品を個別商品の眞の価値と無関係に買う」
 記事はまず商品投資魅力から説き起こしている。
「1990年代に株式は投資過大だった。債券は利回りが低過ぎ、長期的魅力を欠
く。商品は中国とインドの需要増で収益が見込めるというおいしい筋書きに加え、他の資産と非相関かつプラスの収益が見込める―商品はすばらしいとされる背景だ」
 だが、この筋書きに狂いが生じているとし、インデックス投資の代表格、ゴールドマン・サックス商品指数(石油のウエートが高い)投資が今年はマイナスになっている点を指摘する。
「ひとつの理由はロール・オーバー益が消失したことだ。通常、先物価格は現物価格を下回る。この状態で投資家は先物を買い、決済限月の納会(現物価格にはほぼ同じ)を機に、さらに先物に乗り換え(ロール・オーバー)れば利益を得ることができる。だが、先物価格が現物価格を上回る局面に転じ、今年は現在までのロール・オーバー益はマイナス 13.35%になっている。みんながみんなロール・オーバー益を求めたため、収益機会が消失した」
「資産分散は相関度の低さにある。商品は1990年代、無視された存在で、株式との同調性がなかったのもうなずける。だが、商品が資産運用の主流の一角になるにつれ、相関度は高まっている。商品、株式ともに世界経済の成長に左右されるからだ」
「メリル・リンチによると上場商品(投資家が買える)は非上場商品に比べ、60%高にあり、投機の行き過ぎを示唆している」

・投資家が洗錬度を高めるにつれ、個別商品をベースにした仕組み商品に向かう。
・資産を分散するなら、だれもがそうしない時だ。
 記事の2つの結論。
 なんていうことはない。人の行く裏に道あり花の山、ではないか。
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「―仕手というよりも投機師として相場への取り組みは続く。が、買い占めや売り崩しといった相場を作る仕手ではなく、あくまで相場の流れに乗ってキャピタルゲインを追求する相場師である。上場商品が次第に大型化し、国際化して個人の力で相場を市場で左右できる時代ではなくなったことを見て取って、本田は仕手ではなく、投機師、相場師として市場に参加するようになる」
「その売買枚数は昔のように大玉に膨らむことはなくなった。『頭の体操』程度と控え目に語るが、時と場合によっては大きく踏み出す用意だけはある。老境に入った今も本田の携帯電話は引っきりなしに鳴り続ける。本田番の外務員からもたらされる情報を取捨選択しながら相場という魔性と今日も格闘する。かつて世評と闘い、行政と闘い、碁敵と闘い、今はまた敵癌細胞とも闘わなければならない。本田のこれまで歩んできた足跡は闘いの連続であった。これからも闘い続けるだろう。相場に終わりがないように、相場師本田忠にも大引けはないのである」
 第一商品の社史「35年史 雄叫び」の第1部は「素顔の本田忠」の一部だ。
「弊社にとって大変お世話になりました本田氏への感謝の気持ちを込めて、本史第一部「素顔の本田忠」として市場経済研究所の鍋島高明氏の執筆でトップに登場していただきました」(村崎稔会長の発刊の辞から)。
 相場師―経営者―相場師。相場師として出発、経営の前線を退き、「君臨すれども統治せず」(村崎氏のコメント)、相場にいどんでいく。
 半ば伝説化した本田忠氏の素顔をインタビューの発言を織りまぜながら活写する。社史はえてして内輪ぼめに偏するが、「雄叫び」は「戦後商品先物取引史」でもあり、戦後を代表する相場師(本田忠)の歩みを通じた「相場変動の歴史」としても読める。
 16日、重い社史を社から持ち帰り、17日に自宅で通読しての感想である。
 エコノミストの記事が描く、混み合う商品の世界をバランスのあるものとするのは時に人の行く裏の道を歩む個性ある相場師の存在ではないだろうか。そこが混み合えばまた別の道を行く。第二、第三の本田忠氏の出現こそ、商品市場活性化につながっていく正道だと考える。
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◆各国取引所の市場価格   (単位:億j)
 CMEによるCBOTの買収。詳細は1ページの記事に譲るが、時価総額で世界最大の取引所の誕生は合併によって生じる年間推定1億2500万ドルの相乗効果益とともに拡大への弾みとなろう。
 新取引所は従来の米国債、通貨、農産物先物・オプション取引を軸にエネルギー、メタルなどの分野で陣取り合戦が予想される。成長するアジアへの進出ピッチも速まろう。
「時に最適の結婚相手は隣の娘」(英紙ファイナンシャル・タイムス、18日付ザ・レックス・コラムの表現)。
 最適の組み合わせとなったシカゴ勢はエネルギー、メタルのNYMEXに提携強化の目を向けるのかどうか。さらに日本市場をどうとらえていくのか。
 シカゴ勢からみると、日本には競合しない商品群がある。
 ゴム、小豆、生糸、野菜、鉄スクラップ、鶏卵、ブロイラー、冷凍えび…。世界的な陣取り合戦では独自性のある上場商品も注目点となる。
 シカゴ勢と連係、米国の投機資金を取り込んで、こうした商品群の市場活性化(流動性増大)につなげていく手もありそうだ。

     (週刊 先物ジャーナル 第863号 掲載)