9・11。01年からマル5年の市場では原油と金の急落が目立った。あの日を境に地政学的要因が国際商品の大きな材料となったにもかかわらず、である。
英紙ファイナンシャル・タイムス(FT、9月12日付)のザ・ショート・ビューというコラムは次のように記している。
「石油と金は5年前のテロ攻撃以来、強い相関を維持している。金はインフレヘッジ財とみなされてきた。緊張が高まれば石油は上がり、石油高騰はインフレ高進につながる。それゆえに金は買いとなる。過去5年金は114%上がり、石油(WTI)は121%上がった。ヘッジファンドの参入でより投機的になった結果だ」
「今年の高値に比べ11日値は金で18%、石油で15%の下落。レバノンの停戦、BPのアラバマでの障害からの早期立ち直り、など当面の供給不安が遠のいたのが石油の急落要因で、石油下落が金急落を呼んだ。4月にさかのぼってゴールドマン・サックスは1バレル105ドル原油を予測、11日はスタンダード・プアズから『250ドル原油の影響の予測』というリポートが出た。石油は一方方向の意見に左右されやすく、通常逆方向への急転回の前兆となる。こうした強い予想を踏まえると、より正常値(例えば40ドル)への後退のインパクトに思いをめぐらす時かもしれない」 11日にはOPEC(石油輸出機構)が生産枠を据え置いた結果、供給不安が後退したことも弱材料。
核問題をめぐるイランと西側の緊張緩和、イスラエルとレバノンの紛争集結、メキシコ湾でのハリケーン不発、米国夏場のドライブ・シーズンの終わり…需給両面での弱材料が重なった割には下落幅は限定されたとみることもできる。
「サウジの石油相は今回の反落を”ブリップ“(レーダーの映像)の表現で無視した」(FT、9月21日付のOPEC決定を伝える記事)のもうなずけるところだ。
で、原油それに相関度の高い金の今回の下落は強気相場の転換点なのか、短期調整なのだろうか。
まず、原油。世界的な需要の伸びは続き、供給サイド(精製を含めて)はその需要の増加ペースに合わせるのに精いっぱいという構図は崩れていない。テロの拡散・地政学的リスク要因は中東地区中心にいつどこで顕在化しても不思議ではない。50〜60ドル相場をベースにして、時に20〜30ドルのプレミアムが乗るというパターンが続くとみたい。
金はどうか。500〜600ドルをベースにして200〜300ドルのプレミアム。原油との相関度の高さからこんな予想が成り立つ。
株式評論家の植木靖男さんから「原油市況と株価」というグラフをいただいた。
「ペトロダラーが日本の株式に入ってきている情況証拠」というのが植木さんの絵解き。石油相場は日本株価も左右する。