第 197回

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米良 周            
1936年、旧満州新京市生まれ60年早大第一政経学部卒、同年日本経済新聞社入社。73年商品部次長、78年編集委員を経て、94年より日経産業消費研究所首席研究員、96年日本経済新聞社退社。
 現在は先物ジャーナル社・代表取締役。
著書としては「日経商品面の読み方」(78年)「商品先物取引入門(95年)が、訳書として「金ー21世紀への展望」(88年)がある


9・11、原油と金急落を考える
  
 9・11。01年からマル5年の市場では原油と金の急落が目立った。あの日を境に地政学的要因が国際商品の大きな材料となったにもかかわらず、である。
 英紙ファイナンシャル・タイムス(FT、9月12日付)のザ・ショート・ビューというコラムは次のように記している。
「石油と金は5年前のテロ攻撃以来、強い相関を維持している。金はインフレヘッジ財とみなされてきた。緊張が高まれば石油は上がり、石油高騰はインフレ高進につながる。それゆえに金は買いとなる。過去5年金は114%上がり、石油(WTI)は121%上がった。ヘッジファンドの参入でより投機的になった結果だ」
「今年の高値に比べ11日値は金で18%、石油で15%の下落。レバノンの停戦、BPのアラバマでの障害からの早期立ち直り、など当面の供給不安が遠のいたのが石油の急落要因で、石油下落が金急落を呼んだ。4月にさかのぼってゴールドマン・サックスは1バレル105ドル原油を予測、11日はスタンダード・プアズから『250ドル原油の影響の予測』というリポートが出た。石油は一方方向の意見に左右されやすく、通常逆方向への急転回の前兆となる。こうした強い予想を踏まえると、より正常値(例えば40ドル)への後退のインパクトに思いをめぐらす時かもしれない」 11日にはOPEC(石油輸出機構)が生産枠を据え置いた結果、供給不安が後退したことも弱材料。
 核問題をめぐるイランと西側の緊張緩和、イスラエルとレバノンの紛争集結、メキシコ湾でのハリケーン不発、米国夏場のドライブ・シーズンの終わり…需給両面での弱材料が重なった割には下落幅は限定されたとみることもできる。
「サウジの石油相は今回の反落を”ブリップ“(レーダーの映像)の表現で無視した」(FT、9月21日付のOPEC決定を伝える記事)のもうなずけるところだ。
 で、原油それに相関度の高い金の今回の下落は強気相場の転換点なのか、短期調整なのだろうか。
 まず、原油。世界的な需要の伸びは続き、供給サイド(精製を含めて)はその需要の増加ペースに合わせるのに精いっぱいという構図は崩れていない。テロの拡散・地政学的リスク要因は中東地区中心にいつどこで顕在化しても不思議ではない。50〜60ドル相場をベースにして、時に20〜30ドルのプレミアムが乗るというパターンが続くとみたい。
 金はどうか。500〜600ドルをベースにして200〜300ドルのプレミアム。原油との相関度の高さからこんな予想が成り立つ。
 株式評論家の植木靖男さんから「原油市況と株価」というグラフをいただいた。
「ペトロダラーが日本の株式に入ってきている情況証拠」というのが植木さんの絵解き。石油相場は日本株価も左右する。
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 商品先物の魅力いかん。
 商品取引員D社のYさんの答えを列記する。
 (1)資金効率が高い レバレッジ効果が働く。
 (2)大口の投資家、商社とも対等に勝負できる ─株式などに比べてインサイダーは存在せず(特に国際商品)、情報は同時かつ早く収集することができる。
 (3)銘柄数が少なく、その需給を追いやすい。
 (4)一次産品に直接投資できる。投資資金の循環に一次的に乗ることができる。
 (5)生活の知恵が投資に行かせる(8)ガソリン、灯油をはじめ、商品は直接、間接生活にかかわりわかりやすい。
 (6)商品の窓から株式をみる方が、株から商品をみるよりわかりやすい。商品投資の知恵が株式投資に生かせる。
 商品先物に向いていない人について、先物情報の発信会社、S社のMさんはまず余裕資金を持たない人(追い証3回に耐えられるのがメド)をあげる。(ただし、自分でストップロス幅を設定しておく方がいい)。
 デイトレーダーは別にして、半日、1日相場を見ない人の方が向いている。自信を持って例えば買い建て玉を持てば、下がってもあやと突き放すことができる。値段を追いかけていると、小さな幅でついつい利食いたくなるものだ」
「つまるところレバレッジ」──Mさんの商品先物の魅力についての答えだ。
「商品先物市場拡大には10倍のレバレッジではなく、株の信用取引並みの3倍のレバレッジに抑える取引のすすめもひとつの手」
 前出、植木さんのご意見である。超零細投機家の筆者は年に1,2回仕掛ける際にはレバレッジを3倍程度に抑えている。植木さんの意見に賛成である。
 10日、千葉市から敬老の祝い金1万1000円也をいただく。相場の種銭の足しにと考えていたが、13日居酒屋で散じた。悪銭身に付かずといったら千葉の納税者に失礼に当たるが──。

     (週刊 先物ジャーナル 第858号 掲載)