第 196回

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米良 周            
1936年、旧満州新京市生まれ60年早大第一政経学部卒、同年日本経済新聞社入社。73年商品部次長、78年編集委員を経て、94年より日経産業消費研究所首席研究員、96年日本経済新聞社退社。
 現在は先物ジャーナル社・代表取締役。
著書としては「日経商品面の読み方」(78年)「商品先物取引入門(95年)が、訳書として「金ー21世紀への展望」(88年)がある


商品相場は自分研究

「情報が公平であり、トップシークレットが存在しない点。値段にはあらゆる情報が詰まっており、その値段はだれにでも平等に開かれている。在庫水準の高低は値段に現れる。サヤの世界でバックワーデーション(逆ザヤ)なら需給の窮迫度合いは逆ザヤ幅に表示される」
「ただ、値段の変化はかつてに比べ格段に早くなっている。いってみれば軽からフェラーリへだ。1日の振れの中で1日ではじき飛ばされることにもなる(最近のゴム)。昔の感覚での追い証で玉維持より、ドデンの方がすぐれているケースも多い」
 商品先物の魅力について、O社のGさんの答えである。
 で、商品先物に向いている参加者像いかん。
「知人のお父さんで小豆を十数年やっている人がいる。『商品相場ほど考えて当たるものはない』が持論。自分で資金をコントロールできる範囲で自分のやり方を確立しているといえる。年に何回かのチャンスにクールに熱くならずに挑んでいるから長続きするのだろう」
「商品相場に向く人は整理して考えると身の丈に合った相場を張る人。身の丈とは知力、体力、資金力。自分の対応できる商品、わかる対象に自分のタイミングで参入する。相場への参加は性格、ペースなど自分を観察しながらやる、自分研究にも通じる。資金力と相談してレバレッジを無理やり効かすこともない。目と根気に難があればデー・トレードには近づかない。その人なりの張り方が結局、長く相場を楽しむことにつながる」
 商品先物の入門書執筆を決意して2カ月、「商品先物の魅力はつまるところなにか」、「どんな人が参加の要件にかなうか」という入り口部門でなお戸惑っている。Gさんのご意見で魅力像、適格参加者像がかなり明確になってきた。
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 秋風立ちて、夏ばてを知る。
 出社する気力もなく、5日は終日ゴロ寝。6日出社、英紙ファイナンシャル・タイムス(FT)の商品欄をチェック。見出しは「ロブスタコーヒー、トン2000ドル突破」
「商品相場は5日、広範囲に物色買いが入った。コーヒー(ロブスタ)が7年半振りの高値、欧州小麦先物は2年振りの高値をそれぞれ付けたほか、金、銀、銅、ニッケルなどメタルも買われた。主要商品の中で原油が唯一出遅れ」
 米国のレーバー・デイ(9月の第1月曜日、今年は4日)を境に最大の消費国である米国のガソリン消費が落ちる一方、今年はハリケーン発生が少ないとの予測が伝わったせいだ。
 原油も秋到来とともに夏ばてが遅れてやってきたのだろうか。
 5日、ゴロ寝中に読んだFTの別刷り特集「ファンド・マネジメント」(9月4日付)の「石油高の影響を読む」と題するインタビュー記事を再読する。
 ベンチャー・キャピタリスト転じて4年前にヘッジファンドをスタートさせたピーター・ディール氏の見方だ。彼のファンド(クラリウム)は運用額21億ドル。いわゆるマクロファンドで世界のトレンドに目をこらす。
 ティール氏の推奨は30年米国債とエネルギー、石油株の買い。
「石油の値上がりは世界的には1兆ドル増税効果を及ぼすと同時にサウジアラビアとロシアの富裕層と政府に1兆ドルをもたらした。主としてジュネーブとロンドンで運用され、対象は住宅、ユーロ、ポンド、新興市場債。ポンドは最も過大評価され、英国の住宅ブームも続いている。1兆ドルが高リスクの投資物件に集中している。その反動はいずれ到来する」
「例えばカナダの石油会社は70ドル原油ではなく50ドル原油が株価に織り込まれているに過ぎず、買われ過ぎではない。石油サービス会社の株価収益率は10、12、14といった具合で低位にある。30年米国債はいま世界で最も低リスク。米国の住宅ブームが終われば、大きなデフレショックを呼ぶ。そうなれば1979、1989年の住宅クラッシュ時同様、長期債相場が上昇する。07年には米国民は貯蓄性向上を高めていくはずだ」
 依然原油高騰シナリオが多数派を占めるが、原油の反落シナリオも中長期的には考える時かもしれない。
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 FTのファンド・マネジメント特集には「商品、アセット・クラスの復活」と題する記事も出ている。
「いま多くの大手投資機関が商品ファンドを販売、資金の大部分を商品に投下するヘッジファンドにも事欠かない。投資銀行のトレーディング・デスクでは石油、穀物、メタルのトレードに乗り出している」
「だが、1980年代はじめ以来の半ば商品熱の中にあって商品に特化してファンドを運用する例はまだ少ない。スイスの運用額50億ドルに及ぶダイアパーソン・コモディティ・マネジメントは株、債券と相関度の小さいアセット・クラス(商品)への分散を求める多くの投資機関の要望に応えている」
 ダイアパーソンのステファン・ロベル社長(その指標インデックス・ファンドはジム・ロジャース氏によるロジャース・インターナショナル・コモディティ・インデックス)の見解を記事から要約してみる。
○商品への投資配分は3〜5%が通常。分散効果をあげるためには10〜15%が妥当。10?15%でも1970年代、1980年代に大口投資家や一部年金が配分した30〜40%には及ばない。
○過去100年。商品は下落局面にあった。この間最長20年の上昇局面がみられた。今回の上昇は5年、まだ上げ余地を残すが、サブ指数を利用して商品選択への目をこらす必要がある。
○いま上昇余地の大きい商品は農産物。なかでも小麦。小麦とトウモロコシは04〜05年の豊作で歴史的な低価格水準にあるが、水問題、土壌浸食、人口増加などによって押し上げられるだろう。
 インデックス、サブインデックス投資は商品投資の有力な手段になりつつある。その中で商品ブームに乗り遅れていた農産物の出番近し、記事を読んでの感想である。
「値段はあらゆる情報が詰まっている」
 前出のGさんのことばだが、コーヒー(ロブスタ)の急騰、それを追う欧州小麦の上昇は農産物相場の復活の先駆けにみえる。 

     (週刊 先物ジャーナル 第857号 掲載)