─ 主 な 紙 面 ―
◇NYMEXが福岡商取に触手 実現されなかったシナリオ
◆“先物寸言”飛行機王と東大教授
◆岡藤商事、信託型ファンドを販売 毎週追加募集・中途解約可能に
◆オリエント貿易 財産三分法のファンド販売 インデックス運用で高利回り…
◆2006年3月期 専業型取引員財務状況(2)
・有効証拠金 ・預り証拠金 ・委託者未収金 ・委託者差金 ・受取手数料
・自己売買損益 ・販管管理費 ・新規委託者数 ・延べ委託者数
◆ひまわり証券がオンライン取引で激安手数料
◆8月、東工取が予算達成できず 業界は市場活性化策いそげ
◆“先物オタクのすすめ パートW”投資は一種の暗号解読
NYMEXが福岡商取に触手
実現されなかったシナリオ
8月31日の理事会で関西商品取引所との合併協議会設置を決めた福岡商品取引所に対し、世界最大のエネルギー先物市場で知られるニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)が、7月中に将来的な買収を含む業務提携の意思の有無を「内々に打診」(NYMEX関係者)していたことがわかった。
NYMEXは、福岡商取の会員会社を通じて、ファクシミリで接触。これに対して福岡商取は「関西商取との合併問題を進めていた段階であり、いま(当時)となっては時間的な余裕がない」(関保喜代専務理事)と返答していた。
NYMEXが描いていた福岡商取取得後の構想は、エタノールの新規上場とそれを核としたアジア戦略だった。NYMEXの大手会員を新取引所の会員とし、清算業務はNYMEXの清算会社が引き受けるというものだった。
NYMEXが、福岡商取で存廃問題が持ち上がっているのを知ったのは6月。その後、資産等の調査を実施し、「金額的にはまったく問題ない」との結論で、トップの決済を得ていた。
しかし、福岡商取が抱える時間的な条件の一方で、より現実的な問題として立ちふさがったのは行政的なルールの問題だった。
まず現行の福岡商取が会員商品取引所であること。「将来的な買収」をクリアするためには、株式会社商品取引所である必要がある。
だがそれでも難しいのは、議決権の保有制限(商取法86条)で、同法では「何人も議決権の 100分の5を超える議決権を取得し、または保有してはならない」と定めているからだ。
ちなみに証券取引所と金融先物取引所では、 100分の20超がボーダーラインだ。
「世界最大のエネルギー先物市場」を標榜してきたNYMEXは、新たなライバルの登場に危機感を募らせているように映る。電子取引で原油から石油製品、天然ガス、電力、排出権までを幅広く提供するインターコンチネンタル取引所(ICE)の台頭だ。
先物子会社のICEフューチャーズ(ICEF、本社ロンドン)はここ最近、出来高記録の更新を頻発している。8月7日には取引所全体で56万7361枚の1日あたりの過去最高記録(それまでの最高は7月19日の約50万枚)を達成。そしてその牽引役を果たしたのが24万1503枚で同じく記録を更新したWTI原油先物であるから、NYMEXとしては心安かろうはずがない。WTIといえばNYMEXという図式が崩れかけているとの指摘にも反論はしにくい。
しかもICEFは17日、追い打ちをかけるように取引時間の延長を発表。翌週の21日から取引終了時間を1時間遅らせロンドン時間の午後10時としている。同時刻は米国東部時間の午後5時にあたり、NYMEXのオープン・アウトクライの取引時間を意識していることは明白だ。
NYMEXはその対抗措置としてシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)と提携。この5日からCMEのグローベックス上でエネルギー先物を走らせることを決めている。
NYMEXの福岡商取への申し出は、ICEが未踏のアジア進出という点で妙味がある。今回日本で実現できなかったNYMEXのシナリオの第2弾が日本で展開されるのか、あるいはアジアの別の国で展開されるのかは興味深い。 |