

P−フラッシュのデモ画面 |
日本ユニコムは、携帯電話を利用してk価格情報などを"オンタイム"で自動配信するサービス『P-フラッシュ』の提供を15日から始めた。同サービスは対面取引の委託者に対し、希望に応じて無償で提供する。携帯電話を利用したこれまでの同種のサービスに比べて、利用者が情報をやり取りするたびに感じてきた時間的ストレスを極端に小さくした点が最大の特徴。その後はボタンを1回押すだけで売買注文の指示を出すことも可能だ。「面倒くさい操作」を徹底的に排除したP-フラッシュは、「進化が止まっていた対面営業」(重光達雄社長)を一気に活性化させるとの期待を抱かせるのに十分な潜在力を秘めている。
一度でも携帯電話で金融取引を経験した投資家なら、P-フラッシュの機能の充実ぶりと使い勝手の良さに驚かされることだろう。またパソコンの前に座りっぱなしのネット投資家も、P-フラッシュを手にしたら立会時間中の外出を考え始めるかも知れない。
決して大げさではない。
まずボタンを1回だけ押し、液晶画面に銘柄一覧と先限の現在値を表示するのに数秒。特定の銘柄を「十字キー」で選択し、チャートを表示するのに数秒。チャートは1分足から日足まで6段階に時間枠を変えられるが、その移動はほぼ瞬間。さらに番号キーの1から6は1番限から6番限に対応しており、各限月のチャートを容易に表示できる点も新しい。
海外相場と為替相場を参照するには銘柄一覧の画面から「1」を押すだけ。これもほぼ瞬時に画面が変わる。「1」を押すたびに海外(日中)↓海外(時間外)↓国内と移動。たとえば金を取引する投資家は、国内の立会時間中に海外の時間外価格(=NYMEXのACCESS)を、大豆の投資家は同じくCBOTのACEを一瞬にして参照できる仕組みだ。
そしてこれらの価格情報は、いったんアクセスすれば投資家が受信を中断するまで"オンタイム"で更新され続ける。当然のことながら、いちいち情報更新のための手続きを踏む煩わしさはない。
さらに銘柄を選択したあとは「板情報」も取得できる。ディーリングルームをコンパクトにした趣きといえるだろう。
売買の発注を決めた投資家が「7」を押せば、そのままコールセンターにつながる。注文を伝えたあとは電話をオフにするが、その場合でも相場画面は表示されたまま。発注後の相場状況を確認するために、もう一度最初から表示し直す必要はまったくない。
P-フラッシュの開発コンセプトは「ITを享受していない商品先物対面営業の改革」であり「対面顧客の情報格差の解消」だと重光達雄社長は話す。
国内商品先物市場は「10万人・5000億円市場」と呼ばれて久しい。しかし外国為替証拠金取引市場はわずか4年程度で同等以上の市場規模を達成している。彼我の違いは、商品先物対面営業の手法が10年前と変わらないことにある。
行政面からのしばりもある。商品先物業界には、行為規制の強化が「対面営業担当者の腕を縮ませた」との指摘は少ない。規制強化の正当性論議はさておき、現象だけをとらえれば、市場流動性の低下は否めない。その先で見え隠れするのが不招請勧誘禁止問題だ。
一方で、業界はネット取引の過当競争にも苦しんでいる。過剰な資本投下と薄い手数料が経営を圧迫している。
重光社長が提案するのは「売りましょう、買いましょう」という対面営業の進化版ではない。むしろその対極にある。「こういうツールを使って自由に市場に参加してください」という新しい営業スタイルだ。
そもそも対面営業を希望する顧客には、営業マンに相談したい、インターネットは性に合わないなどの理由がある。だがネットから距離を置けば情報取得は遅れがちになる。1枚あたりの手数料はネット投資家の何倍も支払っているにもかかわらずである。
いまの時代、さすがに携帯電話を持たない人は少ない。だが対面投資家の携帯利用は電話本来の機能に限定されがち。高校生のように所与の機能を駆使して、最先端のコミュニケーションツールとすることはまずないだろう。
そこで、どこにでも持って歩ける携帯電話の優位性に着目し「面倒くさい」を極力排除することで、対面投資家へのアピールを目指すことにした。"商品先物ユビキタス"による「対面営業の復権」だ。P-フラッシュを利用できる機種は限定されているが、10月24日から始まる電話番号のポータビリティ制度がこれを後押しする。
今回発表したP-フラッシュは「フェーズ1」の位置づけ。今後もさらに機能を充実させる構えで、日本ユニコムではすでに第3フェーズまでの用意があるとしている。