第 195回

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米良 周            
1936年、旧満州新京市生まれ60年早大第一政経学部卒、同年日本経済新聞社入社。73年商品部次長、78年編集委員を経て、94年より日経産業消費研究所首席研究員、96年日本経済新聞社退社。
 現在は先物ジャーナル社・代表取締役。
著書としては「日経商品面の読み方」(78年)「商品先物取引入門(95年)が、訳書として「金ー21世紀への展望」(88年)がある


ニッケル、コーヒー高騰の夏
 
 「不安な状態がコーヒー相場を7年振りの高値に」
 英紙ファイナンシャル・タイムス(FT、8月23日付)商品欄の見出しだ。
 「22日、コーヒー(ロブスタ)が7年振りの高値を付けた。降雨による被害でベトナムの生産低下が懸念されているうえ、欧州の主要在庫拠点イタリアのトリエステで21日、湿気の影響が表面化、受け渡し供用品から除外されたためだ」
 ロブスタの指標市場であるロンドン先物市場ではスポット相場が先物相場を上回る逆ザヤ現象が出現している。指定倉庫在庫は5年振りの低水準。非鉄金属同様、在庫水準の低下がヘッジファンドの買い参入を呼び込み、取組高の30%はファンド玉。ベトナムは2年続きの不作で新規引き合いには応じられない在庫状況にある(FT、22日付の解説)。
 FTの解説に「非鉄金属同様」とあるが、その非鉄金属ではニッケルが大暴騰劇を演じている。
「混乱するニッケル」と題する記事(FT、8月18日付)からポイントを抜き出してみる。
●ニッケルの指標市場LME(ロンドン金属取引所)は16日午後5時5分、次の規制策を発表した。?逆ザヤ幅拡大を1日、トン 300ドル以内とする?売り手はトン当たり1日 300ドルのコストを負担すれば決済を先送りできる。
 16日のLMEニッケル現物はトン3万3500ドル、3カ月先物は同2万9200ドルの大逆ザヤ。
●ニッケルは需要増加に供給が追い付かないため、LME指定倉庫在庫が超低水準にある。だが、小さな市場(年間需要規模 135万トン)だけに強気による市場操作のうわさも出ている。カナダのニッケル大手インコをめぐる買収合戦がたけなわなため、買収にからんでニッケル相場を操作する動きがあるのではないか、との指摘もある。
●LMEのサイモン・ヒール社長は「取引所は市場に介入すべきではないと考える。逆ザヤ規制は介入行為ではある。だが、この手だては市場の秩序維持と決済の確実性を確保する目的だ」とし「非鉄金属市場は過去15カ月、話題と推測-時にはヒステリー状態の-に取り巻かれてきた。この間、ハリケーン・カトリーナ、ロンドンの爆弾騒ぎなどもあった。ただ一度も決済トラブルは生じず、取引は継続している」
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 小紙ははなはだ勝手ながら21日付を休刊とさせていただいた。8月第3週はおかげさまで二度寝の楽しさを十二分に味わうことができた。
 だが相場に夏休みなし、である。前述のニッケルとコーヒーの高値波乱は端的な例。
 我が休み明けに英誌エコノミスト(8月19日号)を求めると、米国債に関する記事が目に付いた。米FEDの利上げ休止が米国債相場を押し上げ、ボンド人気を呼んでいるという内容だ。インフレより景気減速懸念が前面に出て、07年には利下げもありうべし、とボンドに資金が流入しているという解説だ。
 米景気が減速すれば、世界景気への影響は大きい。ボンド人気の裏返しは、米国を発信地とする世界景気の減退、つまりは商品需要の先細り。
 02〜03年を起点とする商品の上昇トレンドは一服となるのか。そうした視点からすると、ニッケル、コーヒーの高騰は強気の最終局面とも読める。一方で、商品の供給天井は低く、供給不安が多くの商品に潜在、いつ第2、第3のニッケルが出現してもおかしくないともいえる。高下いかようにも読めるとあらば秋にかけ相場妙味が深まることだけは確かだ。
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「日々変動がある。売り買い双方に収益の機会がある知的推理ゲームである。ただし返還遅延といった不明朗会計をなくすこと。思い切って金を返すこと」
「短期でも長期でもよし。短期なら期近、長期なら期先。デー・トレードは別にして、1カ月、半年、1年と勝負期間を自由に選ぶことができる。証拠金も身の丈に合わせて収めればいい。数万円からできる。パチンコでも3〜5万円の勝負はざら」
 二度寝を楽しんだ16日、夕刻出社して、同業他社のTさんに商品先物の魅力を聞いた。
「仕切り拒否、返還遅延という低次元のトラブルの元を絶てば、魅力にひかれて客は寄ってくる。その方向に向かっているのだから、いつまでも冬の時代が続くわけはない」
 酒席での乱れたメモから判読したTさんの春遠からじ論。
 同感である。

     (週刊 先物ジャーナル 第855号 掲載)