第 194回

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米良 周            
1936年、旧満州新京市生まれ60年早大第一政経学部卒、同年日本経済新聞社入社。73年商品部次長、78年編集委員を経て、94年より日経産業消費研究所首席研究員、96年日本経済新聞社退社。
 現在は先物ジャーナル社・代表取締役。
著書としては「日経商品面の読み方」(78年)「商品先物取引入門(95年)が、訳書として「金ー21世紀への展望」(88年)がある


欧州熱波、小麦を走らす
  
「米国最大の年金基金であるキャルパスは近々資金をコモディティ(商品)に投じるかどうかを決める。『そうした保守的な資産運用者が商品に注目するあたり、上げ過ぎの訂正は間近』とは皮肉屋の見方だ」
 英誌エコノミスト(7月22日号)の商品に関する記事の結語部分だ。
「5月の目もくらむような高値からの反落局面で、4年に及ぶ急騰の調整の始まりとの見方が増えた」 「だが、市場は単に一息入れたにとどまった。14日、原油(WTI)は1バレル78.40ドルと最高値に進み、ニッケルも1トン2万6000ドルと史上最高値を記録した。農産物の一部もブームに参画した。例えば菜種油はかつてない荷動きをみせている」
 なぜ商品ブームなのか。
記事では2つの見方を紹介している。
○投機バブル説
 シンクタンクIEAの推定ではヘッジファンドのエネルギー市場への投資は00年の30億ドルから05年には 900億ドルに達した。
 ロンドンのインターナショナル・ファイナンシャル・サービシスによると商品の取引所取引は01〜05年間で2倍となり、店頭取引はさらに高い伸びをみせている。
○スーパー・サイクル説
 フランスのソシエテ・ジェネラルの最新リポートによると、1975年来5回の商品ブーム時の平均持続期間は28カ月、上昇率は35%。今回は上昇持続56ヵ月、この間2倍値へとなっている。
 80〜90年代の鉱山と油田への過小投資のつけが回る一方、新規開発には環境規制の強化と巨大タイヤ・機材の高騰などコスト急上昇が壁となる。
 需要は中国の商品輸入が15年に10倍になるなど膨張している。7月18日発表の中国の年前半のGDPは11%増と10年来の高い伸びをみせている。
 供給が需要に追い付かない状態はなお続くというのがスーパー・サイクル説の論拠だ。
「だが、このロジックをすべての商品に当てはめることはできない」と記事は強調している。
「農産物は高値には増反・増産で応じやすいとし、例えばトウモロコシはエタノール需要の増加に対応して、米国、中国が増反で足並みをそろえている」
「金も例外の一員。ジュエリー加工、産業用需要が世界の在庫を使い切るには何年もかかる。金はインフレへの備えの財だが、インフレ対応手段としての金利引き上げがいずれ需要を冷やしていく」
「石油では供給余力の低下が指摘されるが、供給余力はわずかながら増え、在庫も増加している。向う数年には新油田も動き出す。需要も減りこそしないが、高値ゆえに鈍り始めている」
「長期的には商品の価格は追加生産のコストに収れんする。この考え方でソシエテ・ジェネラルは石油は50%、亜鉛と銅は40%の過大評価と試算している」
 ずばっとは書いていないが、エコノミストの記事はさらなる高値に警戒信号を発しているように読める。
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「熱波が作物価格を押し上げ」
 英紙ファイナンシャル・タイムス(22日付)の週間商品市況報告記事の見出しだ。
 欧州と北米の熱波が小麦、トウモロコシの価格を押し上げ、ヘッジファンドもメタル、エネルギーからソフト・コモディティーに乗り換え買いを入れている、という内容だ。
「欧州小麦価格の指標であるフランスの小麦先物が週間で8%高の1トン131.25ユーロと2年振り高値を付けた。オーストラリアからイタリー、英国、さらに米国に至る各国で小麦生産予想の下方修正が発表されている。米農務省は8月にも世界の消費に比べた小麦在庫の水準は調査を始めた1978年以来はじめての低さを記録、と発表すると見込まれる」
 ソフト・コモディティー買い人気の先頭に立つ小麦、菜種は日本の先物市場には上場されていない。
 営業規制の強化で商売上がったり。日本の場合、上場商品の整理が先行されてしかるべきだ、という声が多い。
 果たしてそうだろうか。せめて小麦は上場商品のラインアップに加わってもいいのではないか。アジアの中核市場を目ざすというなら、主要な国際商品の品ぞろえは欠かせないと思う。

     (週刊 先物ジャーナル 第852号 掲載)