ニッケル高、「商品の時代」を改めて確認
「コモディティ(商品)が再び値上がり街道を歩み始めた。12日、ニッケル相場が1トン2万6,000ドルと史上最高値を更新、銅も8,000ドル台に復帰した。金はムンバイの列車爆破事件、イスラエルのレバノン侵攻といった地政学的懸念も加わって、1トロイオンス650ドルを付けた。鉱山株のパフォーマンスは群を抜いている」
英紙ファイナンシャル・タイムス(FT、7月13日付)のコラム(ザ・ショート・ビュー)の書き出し部分だ。
「商品価格の急回復は米国のFEDの利上げ打ち止め期待、アジアとヨーロッパの強い経済データを背景に世界経済の成長へ関して投資家の信頼の強さを示す」
記事では「中国の強い需要が商品価格の長期的索引役であることはいわば定説」と前提に立って2つの仮説を紹介している。
● GFCエコノミックスのグラハム・ターナー氏は中国の鉄鋼石輸入は5月までの6カ月で5・5%落ち、銅輸入も激減していると指摘している。06年上半期の10%超の成長見込みと大きくかい難している。ドレスナー・クラインウォートのタタ・ゴース氏は独自のデータから『中国の製造業と資本支出はここ数ヶ月急低下していた』と述べている。だとすれば、5〜6月の商品売り人気はFEDあるいは日銀の金融政策に起因するのではなく、中国経済の足踏みにあったともいえる。
● ドレスナーの指標はまた中国経済の再活性化の方向を示している。商品の再上昇はこのトレンド変化を裏付けているのかもしれない。
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調整の5〜6月を経て、強い基調を取り戻しつつある商品。そのリード役のニッケルになにが生じたのか。FT13日付のマーケット面の記事から強いニッケル像を浮き彫りにしてみる。
ニッケル需要の70%を占めるステンレス・スチールの生産が好調で、06年第1四半期の生産は660万トンと四半期ベースでは新記録となった。増産に伴って、メーカーはニッケル在庫を取り崩した。
一方、供給サイドではインドネシアの複数の鉱山で6月に生産障害が生じ減産となった。
こうした需給のタイト化を受け、LME(ロンドン金属取引所)指定倉庫在庫は05年8月以来の低水準となる8,244トンと今年はじめの3万トンから急減している。LME在庫の50%分はひもつき(引き取り先が決まっている)ため、実質的なLME
在庫は超低水準。
1カ月で50%の高騰。小さなニッケル市場は需要増、供給減、そして超低在庫を小さいが故に鋭敏にその価格に織り込んでいることがわかる。
記事には超高値が増産を招き、需要を冷やす(中国のステンレスメーカーは20%減産を計画)という記述がある。
だが、米国の産銅大手フェルプスドッジがカナダのインコ(ニッケル)、ファルコンブリッジ(ニッケル、銅)に買収を仕掛け、スイスのエクストラータがファルコンブリッジの買収に乗り出すという国際非鉄資本の陣取り合戦をみると、既存鉱山の経営権の移動にとどまり、新規鉱山の開発には消極的という姿勢がうかがえる。増産には限度あり、と市場は読んでいるのかもしれない。
FTの記事には「投資家はニッケル市場を買収にさらされるインコ、ファルコンブリッジ株とアービトラージの場として利用している」というトレーダーの指摘がある。
LMEは奥が深い市場ともいえよう。
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耳順=60歳のこと。論語の「六十にして耳順(したが)う」(孔子は60歳のときには耳に聞くことが、すべてさまたげなく理解できた)から。(小学館の国語辞典)
商品先物の本を書くことを決めた6月あたりから、右の耳が聞こえにくくなった。女房がなんかぎゃあ、ぎゃあいっているが、なんだろうと思ったのがはじめだ。
電車の中での老若男女の大声での会話に気をとられることなく読書ができる利点はある。だが酒席でのひそひそ話ができにくくなった。
孔子さまならぬ身、70歳になったのを機に人の話をよく聞こうと考え、実行に移しつつある最中の出来事である。
耳が聞こえにくくなった原因は単なる老化現象なのか、はたまた家での女房殿の小言―煙草のむな、ビール飲み過ぎるな、隣の猫をどうかしてくれ…を聞きたくない、オフィスでは広告料、購読部数減の電話を聞きたくない、といった自己防衛手段なのだろうか。
聞きやすい左の耳を武器に取材に出かけ、本の執筆に取りかかるのが目先の治療法と考えたい。
本が売れ、商品先物の顧客増の小さなテコになれば、オフィスで聞きたくない電話も減るだろう。
口数少なく、左の耳中心に傾聴に努めれば、酒友減少も止まり、ニュースも入りやすくなる。
耳遠し、の利点を楽しもう。物言わぬ相場の語るところにも耳を傾けていこう。 |