第 190回
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米良 周            
1936年、旧満州新京市生まれ60年早大第一政経学部卒、同年日本経済新聞社入社。73年商品部次長、78年編集委員を経て、94年より日経産業消費研究所首席研究員、96年日本経済新聞社退社。
 現在は先物ジャーナル社・代表取締役。
著書としては「日経商品面の読み方」(78年)「商品先物取引入門(95年)が、訳書として「金ー21世紀への展望」(88年)がある


富裕層人口増やす商品
 
「コモディティー(商品)、世界の富裕人口を増やす」
 英紙ファイナンシャル・タイムス(FT、6月21日付)にはこんな見出しの記事が載っている。
 メリル・リンチとコンサルタント会社キャップ・ジェミニの調査リポートの内容紹介。
「05年、ラテン・アメリカ、中東、アフリカでは鉱産物の上昇による富裕効果と地場株式市場のブームで流動資産 100万ドル超の富裕人口が三地域合計で10%以上増えた」
「世界のミリオネア(百万長者)数は04年に比べ 6.5%増の 870万人。富が富を呼ぶというのか、その総資産は 8.5%増えて33兆3000億ドルに達している。百万長者人口は北米、欧州、アジアの三地域合計で 800万人、82%に達している」
 記事では05年の富裕層拡大は経済成長効果と世界的株高、なかでも強い商品需要に起因すると指摘している。
 絶対数はまだまだ小さいが、ラテンアメリカ、中東、アフリカ三地域での富裕人口増加率の高さは北が南の資源を結果的に収奪する構造への転機を示す例といえまいか。
 資源価格の高騰は世界経済の均衛的発展への足がかりとなる。商品の買い投機はこうした視点に立つと決してマイナス評価は下せない。
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「ユダヤ人大富豪の教え?」(本田健著、だいわ文庫)に金持ちの5つのレベルと
いう項がある。
@お金に余裕のある人たち】日本の大企業のエリートたちや、自営業でもそこそこ稼いでいる。彼らは一戸建ての家に住み、外車を持つぐらいの経済的余裕はある。親の土地の上に建てた二世帯住宅に住んだりして、月々数十万円自由に使える人たちだ。
【A小金持ち】小さなビジネスを所有していたり、弁護士、会計士、設計士、医師などの専門知識を駆使する仕事についている人が多い。自由になるお金が月に百万円はある。
【B金持ち】現金収入を生み出す不動産を所有しているか、ビジネス、株式を所有している。月々の収入が普通の人の年収ぐらいあったりする人たち。
【C大金持ち】このレベルの金持ちになると、日常的に忙しくなる必要はない。上場企業の創業者一族だったり、大地主だったりする。長者番付に毎年のように載り、誰から見ても金持ちになる。
【D世界的大富豪】世界的にビジネスを展開し、ビジネス帝国を所有している。世界中に邸宅を保有、季節に応じ、自家用ジェットで使用人とともに移動するライフスタイル。
 堀江貴文、村上世彰、福井俊彦…。不正蓄財の疑いでたたかれている面々。
 金持ちの5つのレベルに照らすとどうか。福井総裁は@とAの中間。堀江、村上氏はAとBの中間。三氏とも日常的に忙しい点で共通している。
 金持ちたたきにしてはその対象がちまちましている。
 で、世界的にみると商品ブームで百万長者が増えたとして日本ではどうか。
 資源会社の経営者といっても日本の場合多くはサラリーマンでオーナーではない。資源関連とはいえ、メタルなら金鉱精錬、石油なら精製、砂糖会社だって原糖を手当てして精製糖に加工するにとどまる。利は元にあり。だとしたら日本の資源関連会社の利益率は乗数的には高くはならない。資源株投資には限界がある。
 残るは商品先物の参加層を拡大して、そのフィー収入を増やしていくか(商品取引員)、リスクを負って果敢に相場に挑む(一般投機家)が百万長者への道となる。
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「トウモロコシ先物取引量、記録的水準に」
 FT(6月20日付)のバイオ・フューエル特集面の見出しだ。記事のポイントを抜き出してみる。
  • 米国のトウモロコシ先物のボリュームは記録的水準に達している。エネルギーのトレーダーが市場になだれ込んでいるからだ。
  • トウモロコシは朝食用ミール原料や動物の飼料用ととらえられているが、エネルギー産業がエタノール原料として多大の関心を抱き始めている。シカゴ・ボード・オブ・トレード(CBOT)のバーナード・ダン社長はFTの取材に「トウモロコシ、エタノール、ガソリンの関連が強まってくるにつれ、我々はエネルギー・プレーヤーの参加への関心を深めている」と述べている。
  • CBOTのトウモロコシ先物の取組高は年初に比べ60%増え、 130万枚以上に達している。ダン氏は長期限月の増加が目立つと指摘している。CBOTの08年12月限の取組高は06年スタート時の 109枚から現在では3万6000枚に達している。「通常トウモロコシのトレーダーは次のクロップ、せいぜい次年のクロックにしか関
  • 心を持たない。08年限月の活況はエネルギー関連の取引参加を意味する」とダン氏は解説する。
  • 米農務者は今年の米産トウモロコシ生産予想?05億5000万ブッシェルのうち14%がエタノール用途に回ると推測している(2年前は11%)。07年には20%に達すると想定している。
  • フィマートの農産物リサーチ部門ヘッドのダン・シーカンダー氏は「現在操業予定のエタノールプラントが動き出せば07〜08年(9月〜8月)には収穫の25%、08〜09年には35%にも及ぶと予測、2〜3年内に4ドル(1ブッシェル)相場が見込まれる」と述べている。
 粗糖が大きく居どころを変えたのに次ぎ、トウモロコシが高値に向け徐々に水準を訂正していく。一年草のトウモロコシも高資源時代の担い手の仲間入りということだろうか。
 商品相場がおもしろい時代は続く。

     (週刊 先物ジャーナル 第847号 掲載)