ブッシュ米大統領は5月30日、ジョン・スノー氏に代え、米証券大手ゴールドマン・サックスのヘンリー・ポールソン会長を次期財務長官に指名した。鉄道経営者出身から相場世界の人物への交代だ。
ドル高支持なのか、緩やかなドル安容認なのか。訪中、70回に及ぶ中国通、議会で根強い中国元大幅切り上げ要求とどう折り合いをつけるのか。
「財務規律の強化など強いリーダーシップ発揮が求められるが、ポールソン氏には強い武器がある。既に二人の財務長官が辞任している。やってられないと辞任をほのめかすことだ」(英紙ファイナンシャル・タイムス、5月31日付社説)
で、為替相場はどうなるのか。英誌エコノミスト(5月27日号)は経済の焦点のページで、ビッグ・マック指数を取り上げている。
| ◆ ハンバーガー・スタンダート |
|
pppが
示すドル |
現実のドル
(5月22日) |
過小(−)
過大(+)% |
アルゼンチン
オーストラリア
ブラジル
英国
カナダ
チリー
中国
ユーロ
インドネシア
日本
メキシコ
ペルー
ロシア
南ア
韓国
スイス
タイ
ベネズエラ |
2.26
1.05
20.6
1.60
1.14
503
3.39
1.05
4.710
80.6
9.35
3.06
15.5
4.5
806
2.03
19.4
1.839 |
3.06
1.33
2.30
1.88
1.12
530
8.03
1.28
9.325
112
11.3
3.26
27.1
6.60
952
1.21
38.4
2.630 |
-26
-21
-10
+18
+1
-5
-58
+22
-49
-28
-17
-6
-43
-32
-15
+68
-50
-30 |
ビッグ・マック指数は各国間の通貨は商品とサービスをたばねた線に収れんするという購買力平価(ppp)理論に基づいている。ビッグ・マックは商品の質が各国のマクドナルド店でほぼ均等なため最も簡便なpppの尺度としてエコノミスト誌が算出してきた。
「ビッグ・マック指数、誕生20年」
脇見出しにあるように手軽な通貨の尺度として1986年にスタートしている。
「これは便利だ」─それ以来、筆者は愛用するとともに講演や原稿で紹介してきた。
その算出法は例えば中国元と米ドルの場合、次の通りだ。
中国でのビッグ・マックの単価は10・5元、米国の単位(ニューヨーク、シカゴ、アトランタ、サンフランシスコの四都市平均)は3・1ドル。米、中の価格が等しくなるためには為替市場レートの1ドル=8.03元ではなく、1ドル=3.39元でなければならない。現行の元は米ドルに対して58%の過小評価となる。
「指数は通貨の正確な動きをはかるためのものではなく、気軽なしかも長期的なテイク・アウト尺度として算出されてきた」
「ハンバーガーは国境を超えて取引されることは少なく、税や家賃などの差でゆがめられることもある。だが、過大評価の通貨が間を置いて下落するなど予知力をみせてきた」
「ビッグ・マック指数ではかると、円が対米ドルで100%の過大評価となっていた1995年以来、円建てのビッグ・マック3分の1値下がり、ドル建てでは3分の1値上がりした。調整は為替でなく、相対価格の変化でも生じる。中国元は米国を上回るインフレ高進で調整されるかもしれない」
ハンバーガー・スタンダードの表は筆者が資源国、アジア通貨を中心にピックアップしたものだ。アジア、資源国通貨がそろって過小評価となっている。
表にあるスイス・フラン、ユーロ、英ポンドのほか、デンマーク(54%)、スウェーデン(46%)と欧州勢は過大評価で共通している。
ビッグ・マック指数からみる限り、ドル預金は敬遠した方がよさそうだ。