─ 主 な 紙 面 ―
◇VaR方式リスク管理体制の構築 取引員経営への導入の必要性
◆“先物オタクのススメW”トカゲの脳と意地悪な市場
◆経産省、商務課長に前カナダ大使館参事官の近藤氏が就任
◇“めらの目”投機家はありがたい存在
◆東穀取上場商品で゛実践に役立つ」研修 合格者は外務員証に記載
◆MMG顧客資産返還 12日に第1回、39名分
◆岡藤HD、単位株引き下げ 個人含む投資家に配慮
VaR方式リスク管理体制の構築
取引員経営への導入の必要性
商品取引員の顧客取引や自己取引などに伴い発生するリスク管理手法として、バリュー・アット・リスク(VaR)モデルの採用が、今後広がっていきそうだ。VaRはすでに銀行、証券などの金融機関で広く普及しているが、商品先物業界ではごく少数の大手企業が自社開発のシステムを導入している程度。リスクを客観的に金額というわかりやすい形で把握できるVaRの活用は、損失限度の抑制効果やリスクに見合った建玉配分なども可能にするため、財務要件の厳格化が求められている取引員にとって多くのメリットがある。
VaRは多数の金融資産で構成されるポートフォリオの損失可能性をひとつの数値で示して経営トップに報告するため、国際的金融機関のJPモルガン社で考案されたリスク指標。その簡便性から、BIS(国際決済銀行)が金融機関の自己資本規制比率における市場リスクの計測モデルとして採用した。国内でも金融庁が証券取引内閣府令でリスク把握のための計測モデルとして定義している。
取引員経営への応用では、顧客と自己のポジションを総体としてとらえ、相場変動により損失が発生したら、最悪の場合にどれほどのダメージとなるのかを金額の尺度で把握できる。
これはあるポジションを一定期間維持することを前提に、特定の建玉期間内に、一定の確率の範囲内で起こりえる最大損失額を統計的に算出することで可能になる。算出方法はいくつかあるが、実際の利用では保有資産(建玉)の価格変動の分布で、最安値からみて1%の価格を分岐点とした『VaR99』が使われることが多い。つまり最悪の状況が1%の確率(100日に1回の確率で生じる最大損失額)で発生するリスクを求めるのが目的だ。
取引員経営では、そこで得られた結果をもとに、建玉構成の見直しや、損失に備えた自己資本の増強が可能になる。いずれも改正商品取引所法で導入された純資産額規制比率への対応策として有効だが、さらに近く導入が予想される清算会員に対する特別清算預託金制度への備えでも効果を発揮することが期待される。
VaRは全社的なリスク把握だけでなく、同リスクを構成する顧客取引や自己ディーリング、あるいは支店ごとの建玉といった階層別リスクの掌握と管理でも強みを発揮する。
例えば自己ディーリングで複数のディーラーを使っている社では、運用資産金額の配分を効率化できるうえ、潜在的なリスクレベルに見合った取引限度額の設定、特定個人への過度なリスク集中回避が可能になる。また大口委託者に対しては、VaRに基づいたポートフォリオ診断を提供することで顧客サービスを充実できる。
VaRを用いた商品取引員向けのリスク管理支援ツールは、国内ではマルチウェーブ(本社東京、井上正浩社長)が開発、提供している。同社の『VaR Analyzer(バー・アナライザー)』は個別ディーラーや顧客別のポジション管理、リスク分析管理などを実現。銘柄・限月の相関関係によるリスク感応度シミュレーション機能なども付加している。
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