節分天井、彼岸底。なぜか知らねどこの市況格言は生きている。
2月13日付の当欄で「節分天井は生きている?」と題して、原油、非鉄金属、貴金属が節分(2月3日)を前後して目先の天井を打ったさまを書いてみた。
3月第3週、国際商品は彼岸(18日)底を思わせる相場付きをみせた。
国際商品の牽引者格の原油相場。2月15日の1バレル57・55ドル(WTT期近)を目先の底に再び60ドル台を固める動きをみせている。
原油相場は?OPEC(石油輸出国機構)が需要端境期(暖房油需要減、ガソリン需要期いまだし)にもかかわらず、生産枠を据え置いた?米国の原油在庫が高水準にある?地政学リスクを当面織り込んだ、などを理由に節分天井を形成後、60ドルをはさんでのもみ合いに転じていた。
なぜ強気が戻ってきたのか。英国の大寒波で天然ガス相場が一時急騰したこともあろう。イランの核問題をめぐっての西側による経済制裁機運の高まりもある。
| ■ OPECの価格目標(1バレル:ドル) |
| ・1960-72 | 暗 示 | 1〜3 |
| ・1973-80 | 暗 示 | 5〜11 |
| ・1980-85 | 暗 示 | 30 |
| ・1986-90 | 明 示 | 18 |
| ・1991-99 | 明 示 | 21 |
| ・2000-05 | 価格帯 | 22−28 |
・2006年の
新価格帯
(WTI基準) |
50ドル後半〜
60ドル前半? |
OPECの生産余力の低下と地政学リスクの高まり、それに強い需要基調に基本的には変化はない点が見直されたのではなかろうか。
英紙ファイナンシャル・タイムス(FT、3月15日付)に「OPEC、石油価格維持策を検討」と題する記事が出ている。
記事にはOPECの価格目標の推移を示す表が出ている。
新たな価格目標帯はOPECのエドモンド・ダウコル議長の14日の次のコメントに基づく。「(米国の先物指標価格)で、50ドル後半から60ドル前半の範囲が望ましい。大幅下落、大幅高には直ちに会議を開いて対応することも決まっている」
「原油相場は5年で2倍値になったが、この間22?28ドルの価格目標は無視され、05年はじめには放棄された。OPECは高きに過ぎる原油は米国、EU、アジアなど消費国の景気後退を招く一方、消費者の目はバイオ燃料や自転車に向かうことを懸念している」
記事には安きに過ぎるケースへの懸念も紹介されている。
「米上院外交委員会議長のディック・ルーガー氏は13日、『1バレル35ドルが底値となるべきだ。代替燃料への投資意欲をそがないためにも-』と述べている」
FTのウィークエンド版には"FTとランチ"というしゃれた欄がある。世界の知名人にFT記者が昼食を取りながら取材するという段取り。
3月11日付では13年にわたって英誌エコノミスト編集長をつとめ、その間、部数を50万部から100万部に引き上げた立役者、ビル・エモット氏が登場している。エモット氏は近く退任の予定。
ランチの場所はロンドンのマツリ・セントジェームスズなる日本食店。
メニューは「サッポロビール2、天ぷらセットランチ1、刺身セットランチ1、コーヒー2」。締めて41・74ポンド。
在任中、しまったというケースはなにか、という問いにこう答えている。
「最もきまりが悪かったのは1999年春の特集記事。特集企画は石油会社トップとのランチがきっかけで、当時10ドル原油の次、5ドルになればどうなるといった話題をみんなが口にしていた。エコノミスト誌の結論は『世界は石油に溺れ、確実に値下がりする』。だが、年末を待たず値段は2倍にはね上がった」
エモット氏はバブル絶頂期の1989年に「日はまた沈む」を著し、日本経済の落ち込みを予測し、05年10月5日号のエコノミスト誌の特集で、「日はまた昇る」との記名記事を書いている。
日本経済の予測に比べ、原油相場の予想は格段に困難だということなのだろうか。