平成18年3月13日(月)(毎週月曜日発行)第833号
        発行所 有限会社 先物ジャーナル社
        発行人・米良 周 編集人・小島 栄一
〒103-0013 東京都中央区日本橋人形町3−7−13−503
TEL 03-3668-3450 FAX 03-5695-1686
購読料・月2,310円 年27,300円(税込み


― 主な紙面 ―
東工取、板画面情報の開示範囲拡大 国内『アーケード』出現で試金石
◆“先物寸言”身の丈に合った投機
◆東工取、18年定率会費は39円 商品指数は4月以降に新設委で
◆関西商取、大阪商取に合併申し入れ
◇“めらの目”商品相場は銀齢世代の健康法
◆全商連ね特別清算負担金 運営詳細の結論急ぐ
◆東穀取、生糸・野菜講演会 取引概要と市況
◆ひまわりグループ 取引口座3万6709件
◆人事異動 ・日本商品先物振興協会


東工取、板画面情報の開示範囲拡大
国内『アーケード』出現で試金石
 東京工業品取引所は8日の理事会で会員端末の設置および利用規則の変更を決定、これまで一般委託者は接することができなかった板画面情報を、会員の本支店など売買端末設置場所に限って表示を認めることとした。会員は売買端末に分配装置を接続し、委託者の来店スペースや自己ディーリングルームの大型ディスプレイに板画面情報を映し出せるようになる。同情報の開示範囲拡大は、基本問題研究会(委員長=加藤雅一岡藤商事会長)の提言を受け、2月の各市場管理委員会で承認を受けていた。近年、欧米の先物ブローカー会社は『アーケード』と呼ばれるビジネスモデルの構築を活発化しているが、今回の取引員限定情報の開示は、国内取引員に対し同様のビジネスモデルの確立
を可能にする端緒なるものとして注目される。

【解説】
 デリバティブ取引所の急速な電子化に伴い、欧米では、先物ブローカーが『アーケード』という形態のビジネスを手がけるケースが劇的に増加している。メリットは、直接的には手数料収入の増大と取引利益の拡大だが、それ以上に有能なトレーダーの安価な養成と抱え込みにあるとされる。
 典型的なビジネスモデルでは、ブローカーは不特定多数の「プロトレーダー志願者」と契約する。契約内容は、志願者が一定の保証金をブローカーに預託(担保)し、ブローカーはそれ以上(例えば500万円に対して2500万円)の取引資金(証拠金)と取引スペースを提供する。そのうえで利益が出れば、あらかじめ定めた契約に則って分配しあう。取引結果はリスク分析等を加え、必要ならば自社ディーラーが指導するサービスも付加する。
 ブローカーは当然、取引手数料を徴収するが、その額は一般委託者より安く設定する。また取引スペースのレンタル料金も徴収する。米国では月間25万?70万円程度との推計がある。
『アーケード』のトレーダーはあくまでも委託者で、その点が『プロップ・ショップ』とは異なる。ブローカーはこれらの収益をうまく組み合わせてリスクを抑えながら収益の獲得を目指すが、有能な人材は社員として抱え込み、より多くの証拠金を与えて自己取引を任せることが多い。つまり教育資金は将来の『歩合制ディーラー』自身が負担していることになる。
 ここで重要な役割を果たすのが取引スペースだ。欧米では「シカゴもニューヨークもロンドンもフランクフルトも」と多数の取引環境(プラットフォーム)にアクセスできることがセールスポイントになるが、日本の商品先物業界はそうした状況にはない。
 そこで試金石になるのが、今回東工取が認めた板画面情報の拡大だ。一般投資家のレベルなら『5本値』と、各社がネット取引で提供するさまざまな取引ツールで問題ない。しかし『プロ』を目指す委託者に東工取会員と同等の情報を提供することで、取引員は他の委託者には請求できないスペース料を課すことが可能となり、『アーケード』ビジネスの第1歩を踏み出せるようになる。
『アーケード』の出現は、欧米の電子取引の出来高を著しく増加させたとの評価がある。取引員の新しいビジネスモデルの確立、有能なトレーダーの発掘、業界全体の出来高低迷脱出など、国内の『アーケード』出現は大きな意味を持つ。
(小島栄一)

      (2006年3月13日―第833号)