国内商品先物市場で、東京への一極集中化傾向が顕著になっている。全国商品取引所連合会がまとめた7商品取引所の2月の合計出来高は913万枚。うち東京工業品取引所は615万枚、東京穀物商品取引所は205万枚で、2取引所が全体に占める割合は9割にまで達した。こうした動きを「時代の流れ」と受け止めるのか、代替機能とサヤ取り機会の喪失と危惧するのか、業界人の受け止め方はさまざまだ。

2月度出来高の定点観測では、過去3年間の「東京集中率」は70・4%(平成17年)、73・1%(同16年)、71・3%(同15年)とおよそ7割で推移している。事態が動きだしたのは昨年11月。中部商品取引所が前月の2割から突然12・1%に落としてからだ。
その後も中部商取の月間出来高は前年同月比40%程度の約100万枚で推移。2月は同31・9%、80万枚に減らし、占有率は8・8%に。これが結果的に東京集中率を89・9%という「いまだかつて聞いたことがない」(日本ユニコム・木原大輔顧問)水準に押し上げた。
木原氏は集中化の原因を昭和60年前後の「エリア主義」の撤廃に遡って分析する。かつてある地方で上げた営業成果はその地方の取引所につなぐというルールがあった。その撤廃が東京集中の始まりとなった経緯があるが、ITの普及が実現した情報通信の容易化と高速化は、改めて「エリア」撤廃したと考えることができる。
だが、商品先物市場の一極集中は市場利用者にとって喜ばしいことなのか。
別の大手取引員の幹部は「心情的には残念」としながらも、マーケット機能向上の観点からは望ましいと話す。特定の市場の流動性が高まれば「海外玉やファンドといった大口利用者が集まり、それがまた流動性を高める好循環をもたらす」と考えるからだ。
その一方にあるのがリスク管理に基づく「もうひとつの市場」の代替機能喪失危惧であり、取引戦略上のサヤ取り機会の問題だ。地域経済や歴史・伝統を訴える声ももちろん高い。
最も望ましい姿は、東京域外の取引所が独自性を発現し、出来高を回復することだ。
そのひとつの例に中部商取の国際化戦略がある。同所は昨年3月に海外準会員制度を創設。石油市場ではこれまでに台湾19社、韓国10社、香港3社、マレーシア・フランス各1社の計34社の準会員が誕生した。結果、石油市場では委託玉に占める海外玉の割合が前年に比べ倍増させた。
さらに3月と4月には台湾・韓国企業を対象にセミナーを開催。海外企業に市場利用の促進を働きかける一方で、取引員との交流の場を設ける予定だ。中部商取会員にとってのビジネス機会創出であり、取引所は出来高増につながる。一極集中とは異なる「好循環」が期待される。