「世界の農産物の需給構造は2,3年前から大変革をとげている。米産大豆の輸出市場に占める独占的地位は崩れ、ブラジルとアルゼンチンを合わせると、米国を上回り、トウモロコシでは南アが復活している。中国の豚、鶏、インドの鶏と畜産物需要の伸長は飼料穀物の需要を押し上げている」

「いま第4次石油ショックとみるが、供給の主力が政情定まらぬアラブとロシアとあって原油は大きく下がることはない。粗糖は先物のシュガーサイクル(6〜7年周期で上がる)の中にある。エタノール需要の増加は砂糖だけでなく、トウモロコシ需要も押し上げている。米産トウモロコシでは05年輸出とエタノール需要が拮抗している」
2月27日、東京穀物商品取引所が開催した「エタノールの現況と農産物市況への影響」と題する講演会での森實理事長の挨拶の要旨である。
開演10分前に東穀取2階の大会議室に入ったが、机のある席はほぼ満杯、開演時には椅子席も埋まった。
森實理事長が挨拶の冒頭に述べられたように「予想以上の集まり」。
大入り満員の背景は2つあろう。ひとつは05年まで商品の買い投機の中心は石油とメタルだったが、農産物は需給構造の変化をこれから相場に織り込んでいく段階という見方が会場に足を運ばしたのではないか。
新聞の切り抜き主体の顧客勧誘ではおぼつかない。需給情報を幅広く集め、自分の相場観を持って顧客に接するにしくはない、という考え方が外務員に広がり始めたのではなかろうか。
調査部会開催の講演会でも若手外務員が連れ立って来場する例が増えているという証言がある。
「相場観など持つな。とにかく歩いて顔を売れ」
新人外務員がギャン理論を検討、セールスのツールにしようとしたら上司に叱られたという話を本人から聞いたのはつい数年前のことだ。
「とにかく歩け」は古今を問わぬ営業の鉄則にしても「相場観を持つな」は情報提供を生業とする商品取引仲介の業に反する。
「歴史的にみて考えにくい転変例のひとつにランクされよう。テキサスの石油マンの出で、飲んだくれから立ち直ったブッシュ大統領は年頭教書で『米国は石油中毒に侵されている』とし、アルコールベースの燃料であるエタノールの利点を強調した」

英誌エコノミスト(2月11日号)のエタノールについての記事の出出し部分だ。
「大統領は"繊維系エタノール"を先端技術で6年内に実用化することを求めている」
記事には2012年のエネルギー法が求めるエタノールの生産目標のグラフが出ている。
記事からポイントを抜き出してみる。