第 176回
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米良 周            
1936年、旧満州新京市生まれ60年早大第一政経学部卒、同年日本経済新聞社入社。73年商品部次長、78年編集委員を経て、94年より日経産業消費研究所首席研究員、96年日本経済新聞社退社。
 現在は先物ジャーナル社・代表取締役。
著書としては「日経商品面の読み方」(78年)「商品先物取引入門(95年)が、訳書として「金ー21世紀への展望」(88年)がある


プラチナ強さの象徴
鉱山会社(ロンミン)に求婚合戦

「正月需要がなくなって、荷動きの閑散月(2月)入りで売られて節分天井、春の行楽需要の手ごたえを感じて買い人気が芽生えて彼岸底。節分天井・彼岸底は季節的なモノの動きをベースにした市況格言だと思う」
「ただ、過去から語り継がれてきた相場の流れに逆らうなという心理的要因がこの格言を長命なものとしている。またセールス・トークの有力なツールとなっていることもあるのではないか」
 2月20日、久し振りに訪れた某社店頭で、わが相場コンサルタントYさんから市況格言解釈を聞く。Yさんは30歳代前半、相場は伝承されていくもの、という思いを深くする。
 で、調整安一巡といった局面のいま買い推奨はなにか。
「トウモロコシ。南米産の減産予想、主力の米国産はエネルギーコストなどの上昇をカバーしにくいトウモロコシの作付けが減り、コスト的に見合う大豆は増反となる。ラニーニャの発生で米産地は干ばつの懸念もある」
「プラチナは台風の目になる可能性がある。まず、インフレ懸念の芽生えによる貴金属のグループ買いの対象となる。米国、欧州の金融のカジ取り役が、インフレ懸念を表明している。2月3日に史上最高値を更新したようにプラチナは貴金属の中で最も需給バランスが良好。自動車触媒用需要は衰えを知らない。供給の6割が南ア、南アで事があれば供給に穴があく」
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「ロンミン、ゴールド・フィールズとメタルグループ結成へ」
 英紙ファイナンシャル・タイムス(FT、2月18・19日付週末版)の一面の記事見出しだ。
 ロンミンとはアングロ・プラチナ、インパラ・プラチナに次ぐ南ア同時に世界3位のプラチナ生産者。ゴールド・フィールズは南ア籍の世界4位(05年)の産金業者。
 記事にはロンミンサイドの「話し合いは全くの予備段階」というコメントが出ているが、この動きは鉱山株の"ゴールド・ラッシュ現象"を招き、鉱山株全般を押し上げたほか、調整局面にあった貴金属相場の反発要因となった。
 FT(2月21日付)のマーケット・インサイトというコラムは「ロンミンへの関心、プラチナの潜在的価値を浮き彫り」という見出しが付いている。
 記事のポイントを整理してみる。
「ロンミンへの求婚者はゴールド・フィールズとみられるが、市場ではリオ・ティント、BHP・ビリトン、ファルコンブリッジ、エクストラタなど国際的な有力鉱山資本の名が取りざたされている、プラチナ部分の魅力が大きいことを示している」
「シティグループは最近、プラチナの06年平均価格予想を1トロイオンス886ドルから1013ドルに引き上げている。南アで供給障害が絶えず、増産計画は円滑には進まない。南ア通貨ランドが強いため、新しい開発プロジェクトも採算に乗りにくい。需要の半ばを占める自動車触媒用は各国の排気ガス規制強化によって増勢が続いている。06年には7年連続の需要超過となり、07年も供給不足が予想される」
 ロンミンへの求婚者の群れ(?)はプラチナ相場の持続を確信してのもの、という解説だ。
 Yさんの大相場ありうべしの有力な状況証拠ともいえる。
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「値動きに相関性がないものを選べばいいのよ。わたる君がやっている投資が株ならば、さしずめ商品先物取引ってことかしら」
「商品先物取引?!ヤバクないですか?」
「何ですって!あなた知らないの?商品先物取引は、日本人の心よぉっっ!」
「ネットで簡単!リカがやさしく教える商品先物超入門」(三次理加著、柏書房)を読む。
 引用部分はプロローグのリカさん登場の一部。大学後輩の投資相談に週末の昼、ビールを飲みながら応じるリカさんが分散投資について説明している件りだ。
 著者はカネツ商事の社員。マンガ、図表を使っての説明は明快である。引用にみられるように初心者との対話方式でかんで含めるように仕組みを説明している。超入門という書名の通りである。
 ミニバブル?の株式にはそれこそ、入門書が山積されている。筆者も老若男女、入り乱れての状況だ。
 それに比べて商品先物本の少なさよ、と本屋に入るたびに思っていた。
 若い女性の手になる本書の登場を喜びたい。
 参考文献に「罫線に強くなる本」、「小豆相場に強くなる本」が出ている。カネツ商事・青年社長時の清水正紀さんの手になる。
 2冊とも読んだが、だれかに貸して手許にない。
 三次本で「無名だが招来ブレークしそうなアイドルやスポーツ選手を応援することを"青田買い"というが、語源は商品先物取引にあった。もともと稲を取り入れる前に収穫高を見越して前もって買うことの意味」とある。
 清水本で結婚も青田買いという表現があったと記録している。
「因果玉を抱え、切るに切れず、供用期限切れ」とはわれわれ老夫婦のこと。
 ともあれ、40年以上の間隔で清水本から三次本へのバトンタッチ。格調高い文体から、今風の軽快タッチへの変化はあるにせよ、相場への取り組み方は伝承されている。
 商品先物取引の解説書がもっともっとあってもいい。

     (週刊 先物ジャーナル 第831号 掲載)